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相続において死亡保険金の非課税枠を利用する時の注意点

2022.11.28

相続において、死亡保険金の活用は重要だ。利用する際の注意点を解説する。

死亡保険金の相続税非課税枠

被相続人(亡くなった方)が被保険者(保険をかけられている)かつ契約者(保険料を支払っている)となっていて、被相続人が亡くなったことを要因として受け取った保険金つまり死亡保険金は、上記の金額内で非課税となる。

上記非課税額は、誰が実際に相続したなどに関係なく計算される。

例えば、配偶者、子ども2人が相続人だとすると、非課税金額は500万円×3人=1,500万円となり、子どもが1人だけ死亡保険金を1,500万円受け取った場合にはその死亡保険金全額非課税となる。

死亡保険金は、生命保険会社を通して直接保険金受取人に振り込まれる。その性質上(民法上)、被相続人死亡後に遺産について分け方を話し合う遺産分割協議の対象とならず、死亡保険金は遺言書がなくても必ず被相続人の渡したい人に渡すことができる。そして、その相続人への資金の移動の迅速さから納税資金にもなる。

ただし、死亡保険金は相続税がかからないわけではなく、相続財産の中に含めて相続税が計算される(相続税上みなし相続財産とされ、上記非課税金額範囲内は非課税になる)。

なお、相続税は相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告する必要があるが、基礎控除額、債務・葬式費用やこの非課税枠を利用して相続税がゼロのときは申告が不要となる。

また、死亡保険金額が非課税金額を超えた場合には、受け取った死亡保険金の金額でそれぞれの非課税金額が按分される。

非課税枠を利用するときの注意点

非課税枠を利用するために、保険に加入する際には以下の点に注意したい。

・契約者が被相続人以外になっていると、所得税(または贈与税)の対象となり、非課税対象とならない。

例えば、契約者:相続人A 被保険者:被相続人 保険金受取人:相続人Aとなっていると、一時所得となり、相続人の所得税の対象となり、非課税対象ではない。

・誰かが相続を放棄してもその人数は通常通り加算される。

相続人のうち相続放棄した人がいても相続人の数は変わらないが、相続放棄をした人が受け取った死亡保険金に対しては非課税の対象とならない。

・相続人以外が受け取る死亡保険金は対象とならない。

例えば、通常孫は相続人とならないため、孫に対する死亡保険金は対象にならない。ただし、孫を養子にした場合は対象となる。養子は実子がいるときは1人まで、いないときは2人まで相続人にすることができる。

・まずは今を大切にする。

相続税対策として、一時払い等で生命保険に加入すると、自分が死亡したときに保険金がおりるため、その大きな資金は基本的には自分で使えないお金となってしまう。しかも、解約すると元本割れしてしまうことが多い。どれだけ長生きするか分からないものだから、老後資金の確保を最優先として余裕があれば加入をするのが良い。

今後の非課税枠の展望

死亡保険金の非課税枠については、昨年2021年から非課税枠を拡大する旨金融庁から要望が出ている。

要望内容としては、世帯主を亡くした配偶者または未成年が受け取った死亡保険金に対しては、その配偶者または未成年それぞれ500万円を加算するというものだ。

これは、大黒柱を失った家族に対する死亡保険金はその後の生活を保障するためのもので、そこに税金をかけないようにするという趣旨のものだ。

このような各省庁から出る要望は8月ごろに財務省に出され、12月に与党税制改正大綱でとりまとめられ、その後翌年の4月にほぼその大綱通りに施行される。したがって、要望時点では確定ではなく、大綱で決まればほぼ決定ということになる。昨年この要望は見送られてしまったうえ、この要望が通れば税金が減収となるため、要望が通るかは今の11月時点ではわからない。

税理士に相談するのがおすすめ

大きな遺産があるのに、相続税をゼロにするようなあからさまな相続税対策は、追徴される可能性があるが、きちんと法にのっとって相続税ができるだけ少なく済むようにするのは、相続人のためになるうえ、悪いことではない。

死亡保険金の非課税枠を使うなど、事前に税理士に相談して必要な保険に加入し、適切な金額が相続人に渡るようにしておくことは重要だ。

死亡保険金は遺産分割の対象とならないうえ、相続人に被相続人の意思が伝わる。また、被相続人が準備をしていないと、紛争になってしまうこともある。

相続後紛争となってしまう相続価額は、富裕層とは限らず、多くの紛争は1,000万円以下、5,000万円以下で起こっている。

相続税なら税理士、遺言書作成は弁護士、司法書士、行政書士に相談できる。

相続税の対策をしなかったために納税資金に相続人が困ったり、紛争が起こり弁護士費用などさらなる負担がかかってしまったりすることもあるため、遺産価額にかかわらず準備が必要だろう。

(参考)

No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁 (nta.go.jp)
税制改正の概要 : 財務省 (mof.go.jp)
日経新聞 202288日 相続手続きに専門家活用
司法統計 結果一覧 | 裁判所 – Courts in Japan

文/大堀貴子


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