「上手な説明には「コツ」があります」26万人超の登録者を擁するビジネス系YouTuberのハック大学 ぺそ氏は言います。
説明が下手な人は、なぜ、同じ失敗を何度も繰り返すのか? それは、根本的な「考え方」「思考」に欠陥を抱えているからで、「ちょっとしたテクニック」を身に付けて、上手に使い分けられるようになれば、誰だって説明力はぐっと上がるそうです。外資系金融機関に勤める現役ビジネスパーソンである同氏がビジネスの最前線で出会った「説明が上手い人」がどんな話し方をしているのかを観察し、導き出した著書『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』から「説明下手な人の特徴」を一部抜粋・再構成してお届けします。
ハック大学ぺそ著/アスコム
『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』
数分にわたる資料説明が一区切りついたタイミングで
[×]「ここまでで、何かご質問はありますか?
(リアクションなし)
もしないようでしたら先に〜〜」
単なる区切り、礼儀として質問の有無を確認しているだけで、せっかくのタイミングを活用していない。
[○]「ここまでで、何かご質問はありますか?
(リアクションなし)
一点補足ですが、もしかすると、このグラフが少し変なのでは?とお考えの方もいるかもしれません。実はここに重要なポイントが〜〜」
強調したいポイントの前で質問を促し、質問が出ても出なくても詳細な説明ができるように展開している。
大人数を相手に説明するときでも「一人ツッコミ」は有効
説明は飽きられると不利になるため、特に長い説明になればなるほど、説明する側は説明を受ける側を飽きさせず、集中させる工夫が必要になります。
これをより攻めた形で使うと、飽きさせないための工夫をしながら、さらに相手の納得感を高めることもできます。
その際、活用するのは質問です。しかも、相手から出る質問ではなく、自分から相手に質問を適宜していくことで、相手を泳がせ、自分の目論んでいる説明の流れにうまく引き込むこともできるようになります。
ここでも大切になるのは、アドリブっぽさ、少し難しく言うならインタラクティブ性です。相手がただ説明を受けるだけではなく、自分からも話の流れに関与し、積極的に参加している(と思わせる)ことで、こちら側の説明の価値をより向上させられるわけです。
■「何か質問はありませんか? 」を有効に使う
相手からの質問は、自分の都合で発せられることもあれば、ここまで述べてきたように、こちらのしかけたポイントにうまく反応してくれて、ツッコミを入れてくれるケースもあるでしょう。
もうひとつのやり方としては、説明の区切りに応じて、むしろこちらから質問を促すという手があります。
「ここまでで、何か気になられた点や、ご質問などありませんか?」という問いかけは、よく聞く話です。
ただ多くの方は、いったん説明のペースを緩めたり、相手の理解度を確認したり、あるいはただなんとなく休憩の代わりに、または説明を聞いてくれている相手への気づかい、礼儀、お作法として、このフレーズを挟んでいるだけのように思います。
その使い方も決して間違っているわけではありませんが、少々もったいない気もします。というのも、この一言をただ漫然と発するのではなく、相手を泳がせ、一挙に引き込む契機にできるからです。そのためには適切な準備をしておきましょう。
■質問を促す時点で答えを3つは仕込んでおく
私が説明者として人前に立つ場合、途中で「ここまでで何かご質問はありませんか?」と聞く際には、そこまでで自分が説明した内容に即した想定質問とその答えを、3~5通り程度は確保し、仕込み済みです。
もちろん、その質問が本当に相手から出るかどうかはわかりません。そもそも「特にありません」という反応も考えられます。
しかし、もし用意していたものと極めて近い質問が発せられたら? 当然私は完璧に準備しているので、立て板に水のごとく答えることができます。
相手は自分が泳がされているとは思っていません。質問はあるかと聞かれたので、その時点で気になることを聞いたら、100点に近い答えが返ってきた……。がぜん、私自身、そしてその後に展開される説明の内容も信頼度が上がります。
こう述べると私がさもすごい人のようですが、慣れてくれば3〜5通り程度の仕込みで、相手の質問を狙い撃ちできる確率はかなり高まります。
そして、もし外れてしまったり、質問自体がなかったとしても、様子を見ながら
「○○という疑問を持つ方も多いんですが……」と誘導したり、「一人ツッコミ」して、せっかく仕込んだ内容を開陳してもいいのです。
個人的には、この章で述べてきた準備を完璧にしておけば、自分自身が説明しているときにも「いろいろ準備しているから安心」と思えて、安定して説明できる効果も感じます。お守りというか、飛び道具を隠し持っているといえばいいでしょうか。
何かピンチがあったり、予定通り説明が進まなかったとしても挽回できるきっかけがあちこちにあるので、変に焦ったりはしなくなります。
そんな姿が結局は、「説明力が高い」「あの人の説明はわかりやすい」「堂々としている」という評価に結びついていく面もあるのではないでしょうか。
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自らのビジネスへの向き合い方を再検証し、気づきとともに、正しいテクニックを学べば格段に身に付きやすくなるはず。筆者がビジネスの現場で「説明が上手い人」から学び、実際に試して確実に役に立つことを証明できたスキルだけを厳選した『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』。ぜひ「考え方」と「テクニック」の両方を学んで、ビジネスの荒波を乗り越える力を身に付けてほしい。
ハック大学ぺそ
ビジネス系YouTuber、1988年生まれ。主にYouTubeチャンネル「ハック大学」を通じて、仕事術、キャリア戦略などビジネスに役立つ情報を発信。チャンネル登録者数は25万人を超える。チャンネルにアップされた動画のなかでも、説明に関する動画は人気のコンテンツ。専業YouTuberではなく、普段は外資系金融機関に勤める現役のビジネスパーソンで、年収は約2000万円。著書に『行動が結果を変える ハック大学式最強の仕事術』(ソシム)、『「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム)がある。