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クラウドに商機を見出したMicrosoftがGoogle、Facebook、Amazonより成長性が高い理由

2022.11.27

アメリカの株式市場をけん引するビッグ・テックの業績に異変が起こっています。

Meta(旧Facebook)とAlphabet(Google)、Amazon、Appleが減速。Microsoftは為替の影響を受けながらも堅調に推移しています。

とりわけ広告事業を主体としていたMetaとAlphabetの失速が鮮明。クラウドに商機を見出したMicrosoftが一歩リードしました。

次なる成長戦略に向けた一手をすでに打っており、今後の成長にも期待できます。

営業利益率は驚異の43%

Alphabetは2022年7-9月の売上高が前年同期間比6%増の690億ドルとなったものの、営業利益は同18.6%減の171億ドルとなりました。営業利益率は32%から25%へと7ポイントも下がっています。

減益の要因がYouTube広告の縮小。この部門の売上高は2%減少しています。コロナ禍の反動減に見舞われたほか、TikTokなどの新興勢力に市場を奪われました。

Metaは同時期の売上高が前年同期間比4.5%減の277億ドル、営業利益は同45.7%減の56億ドル。Metaはメタバースの研究開発費の先行投資が嵩んで営業利益が急減しました。

業績低迷を背景に、Metaは大規模な人員削減を決定しました。Alphabetは株主のアクティビストファンド・TCIから人員削減するよう求められたと報じられています。

Microsoftは2022年7-9月の売上高が前年同期間比11%増の501億円、営業利益が同6%増の215億円でした。Microsoftは急速なドル高の影響を受けなければ、売上高は16%増、営業利益は15%増だったとしています。

AppleやAlphabet、Amazonは、スタートアップの若手経営者の中でスター扱いされることが多い会社。Microsoftはどちらかというと地味な印象です。

しかし、ビッグ・テックの中ではMicrosoftは本業で稼ぐ力がずば抜けている優等生です。

直近四半期の営業利益率は42.9%。高収益体質と言われるAppleやAlphabetでさえ30%以下の水準です。

※各社financial resultsより筆者作成
Microsoft
Apple
Alphabet
Meta
Amazon

Microsoftは、2016年ごろは営業利益率が20%前後で推移していました。2012年から本格化させたクラウド事業が花開き、会社の業績をけん引する主力事業へと成長しました。

売上高が35%増という圧倒的な成長スピードのAzure

Microsoftの売上高を事業別にみると、「Intelligent Cloud」と呼ばれるクラウド事業の成長スピードが飛びぬけています。2022年7-9月の売上高は前年同期間比20.2%増の203億ドルでした。

financial resultsより筆者作成

クラウド事業の2021年7-9月の売上高は、かつての主力だったOffice365などの「Productivity and Business Processes」と比較して20億ドルのプラス。それが2022年同期間は38億ドル以上の差をつけました。

クラウド事業の中でも、売上高が前年比35%増という圧倒的な成長スピードを保っているサービスがMicrosoft Azureです。

financial resultsより筆者作成

Azureはサーバーや開発プラットフォームなどをクラウド上で組み合わせ、アプリケーションやWebサービスなどの開発ができるもの。この部門の競合として有名なのがAmazonのAWS。調査会社Synergy Research Groupによると、2022年2QのAzureのクラウドインフラのシェアは24%。AWSは31%でした。

この調査結果のポイントは、Amazonのシェアが横這いなのに対し、Azureはシェアを高めていることです。

Synergy Research Group「Q2 Cloud Market Grows by 29% Despite Strong Currency Headwind」より

2022年2Qのクラウドインフラの市場規模は前年同期比29%増の547億ドル。急成長しているマーケットです。Microsoftはその波に乗ることができました。

Azureがシェアを拡大している要因の一つに、OfficeなどMicrosoftが提供している既存のサービスとの親和性が高いことが挙げられるでしょう。

すでに会社が保管しているデータやリストと連携しやすいため、移行作業をスムーズに進めることができます。

Activision Blizzardの買収はメタバースを意識したものか?

高利益体質のMicrosoftは、保有する現金も潤沢。2022年9月末の段階で229億ドルの現金を保有しています。1ドル140円換算で3兆2,000億ドルにものぼる計算です。

豊富なキャッシュを背景として打って出た大胆な一手が、ゲーム会社Activision Blizzardの買収。2022年1月にMicrosoftが発表したもので、総額687億ドル(140円換算で9兆6,000億円)という途方もない巨額のM&Aです。

Activision Blizzardは『Call of Duty』という大人気シリーズを持つアメリカの会社。2019年10月に配信した『Call of Duty Mobile』は、今年5月に6億5,000万ダウンロードを突破したと発表しました。

Microsoft直近四半期の製品別の売上高をみるとわかる通り、Xboxとそれに付随するコンテンツは前年比3%の減少。Microsoftのゲーム事業は成長性が失われています。当然、今回の買収はゲーム事業のテコ入れという側面があるでしょう。

Microsoftは今回の買収目的をはっきりさせていませんが、メタバース分野への本格参入の礎にするのではないかと言われています。

メタバースはインターネット空間に、リアルタイムで複数人が参加し、コミュニケーションや経済活動を行うもの。Facebookが参入を決め、社名をMetaに変更したことで認知度が高まりました。

実は、メタバース空間と極めて近いものがすでに存在します。オンラインゲームです。

『Call of Duty』は複数のプレーヤーがミッションに参加し、コミュニケーションを図ることができます。ゲーム内ではアイテムをポイントで購入します。このポイントは現金で購入ができます。すなわち、経済活動が行われているのです。

Microsoftは2022年10月11日にMetaとメタバース領域で連携すると発表し、Microsoft TeamsをMetaのヘッドセットデバイスに導入しました。これによってTeamsの利用領域を広げたことになります。

Microsoftがメタバースに強い関心を追っているのは明らか。Activision Blizzardをメタバース空間の入口にし、新たな事業展開を計画している可能性があります。

取材・文/不破 聡

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