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グループインタビューの司会を経験することで得られる商品開発者にとって必要な知見

2023.02.09

自分の考えた商品や事業が世に出て、お金を出して買ってもらえる。商品開発の仕事には多くのやりがいがあると思いますが、せっかく一生懸命考えても、一向に売れない商品やサービスも数限りなくあります。そんな時の企画担当者は、ホントにつらいものです。

お菓子メーカーの「江崎グリコ株式会社」で21年、そして「株式会社バンダイ」で16年、新商品企画及び新規事業開発の仕事に携わってきた山崎進一氏は「商品開発、企画開発」には実はコツみたいなものがあって、そのポイントをうまく押さえられているかどうかが、成功するかしないかに大きく影響してくるのではと、だんだんとシンプルに考えられるようになってきたといいます。

たくさんの商品を世に送り出し、時にはヒットに恵まれ、時には鳴かず飛ばずの苦汁を舐め、またそれぞれの会社の先輩や仲間からとっても多くのことを学んだ山崎氏の著書開発マンの上司は消費者である!商品開発のツボ30+αから若いマーケッター、商品企画担当者に伝えたい、企画開発のコツを一部抜粋・再構成してお届けします。

開発マンの上司は消費者である!
商品開発のツボ30+α
山崎進一
ご購入はこちら

商品開発のツボ 「グルインの司会をする」

 中国の上海でグループインタビュー調査(以下グルインと言う)をした時は面白かった。それまで、私は日本でのグルインの司会は何度も経験していましたが、中国で新商品のための需要確認の調査をするのは初めてでした。

 まず主婦のグルインをしましたが、その時はとにかく見栄を張る人が多かったのです。

「私の家はこういう優雅な生活をしている」とか「私の主人はこんな重要な仕事に就いている」といった話題を一人の主婦がし始めたら、隣の主婦も負けじとばかりに、「いやいや私の家には高級テレビとオーディオセットがある」とか「うちは毎年海外旅行する」とか……。自慢合戦になってしまったのです。もちろん、話の半分は見栄や建前であることは、すぐにわかりました。

 また、その後の小学生のグルインも日本の子どものそれとは全く違って、ものすごくハッキリ自分の意見を言うのです。皆似たような意見が出ていた時に、「ボクはこう思う!」とたった一人で主張した子がいたのでした。しかも別の質問では、また別の子も同様に自分の意見をハッキリと言ったのです。

 日本の小学生の場合、しかも男の子は本当に自分から話す子が少なくて、誰かが言った意見に対し、違った意見を言う子はあまりいません。「ボクもそう思う……」と、決してそう思っていなくても、こんな答えがよく返ってきます。どうも人と違った意見を言うのが苦手のようです。やはり本音と迎合の感覚の違いでしょうか? それぞれお国柄というものはあるなぁと思いました。

 さて、商品の規格が決まってくると、消費者調査をすることになります。

 調査を大別すると、2種類あります。多くの被験者の意見を聞き、数多くのデータを集めて、規格決定の参考にしていく量的調査と、グルインのように少人数ではあっても、その意見の中に深く潜む顧客の傾向やニーズを抽出する、質的調査の2種類です。どちらも重要であり、その両方を使って、消費者調査をします。

 そんな中、とりあえずやってしまうという受け身な調査では、何も得られません。上司に指示されたとか、調査しないと会議にかけられないという理由で、自分自身が何も考えずに実施してしまってはいけません。調査前にはまず、しっかりとした「仮説」を持ってください。この仮説がないと、必ずと言っていいほど、調査は空転しますし、結論は出ません。少なくとも商品開発担当者である以上、自分の仮説をしっかり持って調査に臨み、その仮説の検証をしっかり自分ですることが必要です。

 また最近では、調査の企画から調査用紙作成、グルインの司会も含め全て、調査専門会社や広告代理店にまとめてパックで発注する担当者が増えています。確かに商品開発担当が全ての業務をやり出したら、いくら時間があっても足りないのかもしれません。しかし、これには私は大いに反対です。「ディレクトするのが、我々の仕事」とばかりに、プロデューサー気取りの企画担当者が多すぎます! そんな調子だから、広告代理店に舐められて、高い調査代を請求されてしまい、肝心な調査の結果に関してもまともな意見が言えないのです。

 調査は自分で一度全てやってみることです。

 調査企画から調査用紙の一字一句を、「自分の仮説」に基づいて作るべきです。そして被験者を集め、自分でグルインの司会をしてみましょう。

 一般的にグルインの司会は、客観的な意見を聴くために「第三者」である調査会社が担当すべきとされています。自分の担当商品であれば、どうしても熱が入りすぎて、お客様に気付かれて、気を遣わせて「お世辞」を言われ、正しい意見の集約ができないというのです。バイアスがかかるというわけです。そのためメーカー担当者は、マジックミラー越しに暗い隣の部屋から覗くことになります。

 しかしこれでは、本音の表情がつかみにくいのです!

 グルインには「ホンネとタテマエとウソ」の3つがあると教えてくれた先輩がいました。まさしくその通りです。冒頭の中国の話のようなことは、日本でもあるのです。

 グルインで、いくら「今日は本音で話してください」と言っても、公の場で完全に本音で話す訳がありません。つまり、自分でもわかっていながら、場面場面では、都合の良いウソをつくことがあるのです。それとやっかいなのは、自分ではウソと思っていないけれども、実際の行動は違う場合がよくあるのです。

 例えば、「私は健康のため、通勤時に毎日隣の駅まで歩いています」とか「駅ではいつも階段を使っています」とか言っている人でも、よくよく掘り下げて聞くと、今日は雨だったから隣の駅までは歩かなかったとか、たまたまエレベータに乗ってしまったとかで、実は週に1〜2回しかその行動をとっていないということがあります。これは、いわゆるタテマエなんです。他人に話す時には、私はこういう自分であると言うことにしているという訳で、実際の行動とは若干異なる場合があります。

 グルインをする際、こういった「ホンネとタテマエとウソ」が入り混じりますから、上手に見抜くことが大切です。調査では多かれ少なかれ「お世辞発言」は出ます。人任せではなく、自分で司会をすることで、ちょっとした表情や仕草で、そういった被検者の微妙な心理に気付いてください。

 開発担当者自身がその部分に気付くかどうかは、プロジェクトの進行に大きな影響を与えます。調査会社に任せ、一応データが良かったから、と発売したら、お客様の反応が全く違ったなんてことはよくあることですが、このように自分でしっかりお客様に向き合うことで、事前に把握できる問題点がたくさんあります。

 そして、何度かそういった司会を繰り返しているうちに、「消費者との距離を知る」ことになるのです。自分は作り手であり、メーカー企業の立場で商品を企画していますので、どうしても完全には消費者の気持ちにはなれない部分がありますが、お客様と何度も真剣に向き合ううちに、消費者と自分の距離感がわかってきます。この距離感がわかればしめたもの。冷静に司会もできます。開発マンとして成長した証です。

 まずは、今すぐ自分の担当商品の調査で、グルインの司会をしてみてください。必ず、大きな発見がある筈です。

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<著者プロフィール>
山崎進一
昭和57年、明治大学商学部卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。「アーモンドクラッシュポッキー」「お土産ジャイアントシリーズ」「タイムスリップグリコ」等のヒット商品を開発。平成
15年、株式会社バンダイに転職。「ガンダムカフェ」の立ち上げ、「ベルばらの本格化粧品」の発売やキャラクター菓子の売上に貢献。令和元年、定年退職し、経営コンサルティング会社【企
画のびっくり箱 Y-BOX】を設立。またプライベートでは趣味のアウトドアの知識を活かして「おもしろ理科クラブ」を主宰。
また「ビートルズ研究家」としても有名。持論は、「仕事は楽しく、遊びは真剣に!」
Y-BOXホームページ https://www.y-box.tokyo

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