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商品企画担当者が認識すべきヒット商品づくりおける「規格」や「ディテール」の意味

2023.01.23

自分の考えた商品や事業が世に出て、お金を出して買ってもらえる。商品開発の仕事には多くのやりがいがあると思いますが、せっかく一生懸命考えても、一向に売れない商品やサービスも数限りなくあります。そんな時の企画担当者は、ホントにつらいものです。

お菓子メーカーの「江崎グリコ株式会社」で21年、そして「株式会社バンダイ」で16年、新商品企画及び新規事業開発の仕事に携わってきた山崎進一氏は「商品開発、企画開発」には実はコツみたいなものがあって、そのポイントをうまく押さえられているかどうかが、成功するかしないかに大きく影響してくるのではと、だんだんとシンプルに考えられるようになってきたといいます。

たくさんの商品を世に送り出し、時にはヒットに恵まれ、時には鳴かず飛ばずの苦汁を舐め、またそれぞれの会社の先輩や仲間からとっても多くのことを学んだ山崎氏の著書開発マンの上司は消費者である!商品開発のツボ30+αから若いマーケッター、商品企画担当者に伝えたい、企画開発のコツを一部抜粋・再構成してお届けします。

開発マンの上司は消費者である!
商品開発のツボ30+α
山崎進一
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商品開発のツボ(18)「全ての規格に意味がある」

 商品の狙いや切り口が決まり、コンセプトが決定すると、そのコンセプト通りに「商品の詳細規格」を決めていく作業に入ります。

 規格とは、お菓子であれば、その商品の原材料、配合、内容量、生産加工方法、パッケージ形態、パッケージサイズといったモノの基準です。

 電化製品であれば、部品の種類、ナンバーから製造組立方法、完成商品のサイズ、梱包形態に至るまで、その商品の構成要素を細かく分解した全てのハードの基準です。

 こういった商品の細かい部分にこだわることは、実は大変重要なことです。

 グリコのジャイアントポッキーのシリーズからお土産ジャイアントシリーズが生まれた話は先述しましたが、もう1品、私がこのジャアントシリーズから発展させて創った新商品がありました。おつまみスナック「ビアボー」という商品です。ご存じない方も多いかもしれませんが、グリコのヒット商品おつまみスナック「クラッツ」の基となった商品とも言えるものです。

 ジャイアントプリッツの味を検討している際、様々な味の試作品も作られていましたが、ある濃厚な味付けがとても気になり、「ん、これは、おつまみにもなりそうだナ」と思い、企画を進めてみようと思いました。

 ちょうどその頃は、流通側から、売り場で新規性のあるカテゴリー開発や、そのチェーンだけで売るPB商品の開発が要求され始めていました。

 そのため、この企画を大手のコンビニエンスチェーンに持ち込んでみたところ、先方のバイヤーもすぐに乗ってきてくれて、共同開発をしようじゃないかとなりました。

 濃厚で旨みのある味がたくさん試作されました。その中で私が気に入ったのが、チョリソーソーセージのような旨みとあらびきマスタードのピリッとした辛みの「マスタード味」と、ザワークラウトを参考にした酸味の利いた「ビネガー味」でした。

 味はこの2味でいくことになりました。

 味のこだわりの次は、商品の長さと包装形態でした。通常のプリッツより太く長くし、ジョッキでビールを飲む時のイメージにぴったり合うようにし、2本入の小袋に入れました。これは、ジョッキビールを1杯飲む間にちょうどつまめる量でしたので、これで内容量も決定しました。そのために何度も何度もビールを飲みました(*^_^*)

 つまりグラム数(内容量)や本数、太さ、味の濃さも全てキチンと意味のあるものなのです。規格には全て意味が必要です。その商品のコンセプトの具現化が規格化であり、その細部に至るまで、しっかり意味を持たせることが重要です。

「神は細部に宿る」とはこのことです。
「全ての規格に意味がある」と認識してください。

 これは、規格の最終段階のパッケージを決める際も忘れてはいけません。中身については、十分考え尽くしたとしても、包装等になると、これまでの商品と同じ形態や材質でいいやと進めてしまうことがよくあります。でも開発マンとしては、ここはじっくり踏みとどまって、この包装形態で本当にいいのだろうかともう一度しっかり考え直してみてください。そしてその包装形態に意味を持たせてください。

 ビアボーのパッケージは、敢えて背の高いものにしました。これはコンビニの中段の棚に並ばないようにするために決めたサイズだったのです。

 一般的には中段の棚はゴールデンゾーンと呼ばれ、どの企業、どの新商品もそこを目指して商談します。しかし今回の商品はターゲットが完全に大人であったことで、コンビニの最上段でも問題ないと判断し、またグリコ的には、通常のポッキーやプリッツとは違う売り場にし、社内競合を避けたいという狙いもありました。そんな荒業の商品規格決定も、流通との共同開発だからこそできたのでした。

 このように、パッケージの数ミリにこだわり、規格の細部に命を宿らせる、この気持ちが、いい商品を創ることにつながるのです。今までこうだったからこのままでいこうではなく、今まで何故、こうだったのだろうと疑問に思い、そこにちゃんと意味があるかを、自分自身に常に問いかけてください。「全ての規格に意味がある」ということを忘れずに。

 

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<著者プロフィール>
山崎進一
昭和57年、明治大学商学部卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。「アーモンドクラッシュポッキー」「お土産ジャイアントシリーズ」「タイムスリップグリコ」等のヒット商品を開発。平成
15年、株式会社バンダイに転職。「ガンダムカフェ」の立ち上げ、「ベルばらの本格化粧品」の発売やキャラクター菓子の売上に貢献。令和元年、定年退職し、経営コンサルティング会社【企
画のびっくり箱 Y-BOX】を設立。またプライベートでは趣味のアウトドアの知識を活かして「おもしろ理科クラブ」を主宰。
また「ビートルズ研究家」としても有名。持論は、「仕事は楽しく、遊びは真剣に!」
Y-BOXホームページ https://www.y-box.tokyo

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