自分の考えた商品や事業が世に出て、お金を出して買ってもらえる。商品開発の仕事には多くのやりがいがあると思いますが、せっかく一生懸命考えても、一向に売れない商品やサービスも数限りなくあります。そんな時の企画担当者は、ホントにつらいものです。
お菓子メーカーの「江崎グリコ株式会社」で21年、そして「株式会社バンダイ」で16年、新商品企画及び新規事業開発の仕事に携わってきた山崎進一氏は「商品開発、企画開発」には実はコツみたいなものがあって、そのポイントをうまく押さえられているかどうかが、成功するかしないかに大きく影響してくるのではと、だんだんとシンプルに考えられるようになってきたといいます。
たくさんの商品を世に送り出し、時にはヒットに恵まれ、時には鳴かず飛ばずの苦汁を舐め、またそれぞれの会社の先輩や仲間からとっても多くのことを学んだ山崎氏の著書「開発マンの上司は消費者である!商品開発のツボ30+α」から若いマーケッター、商品企画担当者に伝えたい、企画開発のコツを一部抜粋・再構成してお届けします。
開発マンの上司は消費者である!
商品開発のツボ30+α
山崎進一
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商品開発のツボ(13)「企画即行動」
ここでは、企画を進める上で大切な、スピードについての話をします。
経営の神様、松下幸之助の「まず汗を出せ。汗の中から知恵を出せ。それができないものは去れ」という話はよく知られています。サントリーの創始者、鳥井信治郎の「やってみなはれ」も有名な言葉で、「やらなわからしまへんで」ということで、過去にビジネスを大成功させた人は、必ず行動力が並大抵ではなく、最初は自分で動きまわって、経験を積んできた人が多いのです。相田みつをも、「とにかく具体的に動いてごらん。具体的に動けば具体的な答が出るから」と言っています。
さて、最初の方でアイデアを探して外を歩きましょう、という話をしましたが、今の時代PCやスマートフォンを使えば、ネット上から様々な情報が瞬時にいくらでもとれる訳ですが、やはり人に会ったり、具体的な行動をとったりすると、一見同じように見える情報でも、その鮮度とパワーは全く違うと私は思っています。
バンダイに入社した時にバンダイバリューというものを教えてもらいましたが、この言葉が私は大好きです。
「まずやってみよう、そこまでやるか、やるんだったらおもしろく」
非常に簡潔で、エンターテインメントを追求するバンダイの企業の姿勢を的確に表している言葉です。私はこの言葉の通り、仕事をしていこうと常々思っています。特に最初の「まずやってみよう」という最初の一歩が肝心です。
企画の仕事に就く人は、四六時中、いろいろなことを深く考えている訳ですが、時に考えすぎると、どうしても行動力が鈍ったりとか、ちょっと自信がなくなって躊躇したりとかなりがちです。そんな迷いを振り切るためにも、やはり思い切って行動してみることで、次の手が割と簡単に見つかることが多いのではないかと思っています。
基本的には、およそ我々が考えていることは、ライバルの担当者や、競合他社も同じように考えている、と思った方が良いと思います。自分の考えていることの8割は他の人も考えている、人間が考えることは、皆そう大差ないと思ってください。
ではライバルに勝つポイントとはいったい何でしょう?
私自身は、自分の経験上「スピード」と「本気度」の2つだと思っています。
まずは「スピード」。とにかく誰よりも早く対応して、先手を打つというのがポイントです。また思いついたことを具現化するためには、まわりの関係者の協力を得られなければ進められないことが多く、自分が、「本気度」を見せないと人は動かせないし、巻き込めない、ということです。この2つがとても重要であり、皆さんもぜひ仕事の中で心掛けて欲しいと思っています。
私がいくつかやってきた仕事の中でも、「企画即行動」して、うまくいった事例として、夕張メロンポッキーの話をしました。電話で断られても諦めず、とりあえず先方に行って話してOKをもらいました。タイムスリップグリコの時も一緒でした。海洋堂に直接電話して、会ってみて話が初めて成り立った。後述しますが、コールマンに行った時も然りですね。先方が大手企業なのでこっちが少し遠慮気味でしたが、行ってみたら実は向こうも望んでいた、ということもありました。
スピード感と本気度が如何に大切か、会って話すことがどれほど重要かということです。 世の中のスピードは益々速くなっています。
常に人より先回りし、面白いアイデアを思いついたら、
「企画即行動」でまず動いてみてください。本気でスピードを上げれば、成功確率も上がります!
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<著者プロフィール>
山崎進一
昭和57年、明治大学商学部卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。「アーモンドクラッシュポッキー」「お土産ジャイアントシリーズ」「タイムスリップグリコ」等のヒット商品を開発。平成
15年、株式会社バンダイに転職。「ガンダムカフェ」の立ち上げ、「ベルばらの本格化粧品」の発売やキャラクター菓子の売上に貢献。令和元年、定年退職し、経営コンサルティング会社【企
画のびっくり箱 Y-BOX】を設立。またプライベートでは趣味のアウトドアの知識を活かして「おもしろ理科クラブ」を主宰。
また「ビートルズ研究家」としても有名。持論は、「仕事は楽しく、遊びは真剣に!」
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