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円安は日本企業に正と負のインパクトをどれだけ与えているのか?

2022.11.20

日米の金利差拡大による急速な円安が一服、2022年11月17日には1ドル139円前後で取り引きされました。これは11月10日に発表されたアメリカの消費者物価指数が事前予想と比べて低く、FRBの利上げ見通しが下方修正したため。

11月10日は1ドル146円台から140円台へと1日で急速な円高が進行しました。しかし、一時的な物価指数でインフレ局面が終焉を迎えたとは考えづらく、仮にFRBが利上げ幅を縮小するとしても、インフレ退治を目的とした金融引き締めに警戒感を募らせています。

その一方で、日銀は一貫して金融緩和継続への姿勢を崩していません。再び急速な円安に向かう可能性は十分にあります。

「日本は円安メリットが薄くなった」と言われるようになりましたが、それは本当なのでしょうか。また、円安は企業活動にどれほどの影響を与えているのでしょうか?

5,650億円のプラス効果が働いたトヨタ自動車

多くの企業は、円安に加えて、ウクライナ危機を背景としたエネルギー価格の高騰、物価高に直面しています。

トヨタ自動車は、2023年3月期上半期の営業利益が前年同期間比34.7%減の1兆1,414億円でした。その増減要因を見ると、為替とコスト高がどれほど業績に影響しているのかがよくわかります。

円安の影響で5,650億円のプラス効果がありましたが、資材の高騰が7,650億円のマイナス要因となっているのです。トヨタは1,150億円の原価改善を行いましたが、差し引き6,500億円のマイナス。円安によるプラス効果が打ち消されています。

トヨタ自動車決算説明資料より

なお、トヨタの説明資料にもある通り、資源高は為替の影響を受けていません。円安だからコストが上昇したのではなく、単純に資材の仕入れ価格が上がっているのです。

もし、円安効果がなく資源高が利益を圧迫した場合、トヨタの上半期の営業利益は1兆円を下回っていた可能性があります。

製造業の多くは拠点を海外に移し、円安メリットを失ったと言われることもありますが、26の国と地域に海外の製造拠点を持つトヨタでさえその効果が根強く残っていることがわかります。

任天堂の通期業績上方修正に潜む為替差益

円安の好影響を真正面から受けているのが任天堂。2022年11月8日に通期業績の上方修正を発表しました。

経常利益を16.7%増の5,600億円、純利益を17.6%増の600億円に引き上げました。なお、売上高は3.1%増に留まっています。また、本業の稼ぎである営業利益は当初の予想を据え置きました。経常利益に影響に好影響を与えているのが円安です。

任天堂の直近の損益計算書を見ると、為替差益が異常に膨らんでいるのがわかります。

任天堂決算短信より

2023年3月期上半期は為替差益が764億6,700万円。前年同期間は17億9,700万円でした。4.3倍に膨張しています。その一方で、営業利益は2,199億5,900万円から2,203億8,700万円と、ほとんど変化がありません。

任天堂の利益が押し上げられた主要因は円安による為替差益です。

値上げをするも原価率が上がる牛丼チェーン

輸出に強い業種は円安の恩恵を受けていますが、負の影響を受けている企業も当然あります。典型的な産業が牛丼チェーン。すき家や吉野家は主にアメリカから牛肉を仕入れています。

円安によって仕入れ価格は高騰します。すき家は2021年12月23日に価格改定を実施。牛丼並盛を350円から400円(14.3%増)に引き上げました。吉野家は2021年10月29日に牛丼並盛を387円から426円(10.1%増)に値上げしています。

価格改定を行っているにも関わらず、原価率は上がるという厳しい現実が浮かび上がります。

ゼンショーの2022年度上半期の原価率は47.3%。前年同期間は46.9%でした。0.4ポイント上昇しています。吉野家ホールディングスは33.7%から35.2%へと1.5ポイント悪化しました。

※決算短信より
ゼンショーホールディングス
吉野家ホールディングス

吉野家は、2022年10月1日に牛丼20円の値上げに踏み切りました。

円安の影響により、牛丼チェーン以外にも庶民の味方と言える会社が値上げを断行しています。その一つがニトリ。2022年9月30日に一部商品を1~2割引き上げる方針を明らかにしました。

ニトリは2023年3月期上半期の経常利益が前年比10.9%減の704億円でした。売上高の増加で77億円のプラス効果が働いているにも関わらず、減益となった主要因が円安。為替の影響で71億円のマイナスとなっています。

ニトリホールディングス決算説明資料より

新型コロナウイルス感染拡大、ウクライナ危機、アメリカの金利引き上げなど、2020年に入って経済は一変しました。それ以前にデフレの象徴として知られていた会社の多くは、為替や資源高の影響を受けて値上げに踏み切っています。

ソニーはM&Aで1,000億円の追加資金が必要に

意外なところで影響を受けているのがM&A。日本企業が海外企業を買収する場合は現地通貨で決済します。特に海外企業の買収は巨額の投資になりやすいため、ダメージが大きいのです。

ソニーは2022年2月1日にアメリカのゲーム開発会社バンジーを買収すると発表しました。買収額は36億米ドル。この時点では、4,140億円での買収になるとしていました。しかし、7月19日の買収完了の発表では、5,140億円に買収額が膨らんでいます。

わずか5か月の間で急速に円安が進行。1,000億円もの追加資金が必要になったのです。

今のところ日本企業による海外企業の買収の勢いが衰える様子はありませんが、円安の進行は大型投資の意思決定を阻む要因になる可能性があります。

取材・文/不破 聡


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