筆者の過去の記事で何度も書いていることだが、レビュー記事というものは必ず「実験」を行わなければならない。
それをやって満足できる製品なら記事にし、そうでなければ記事にしない。この原則を徹底していなければ、筆者の記事はテレビの通販番組と同等の内容になってしまうだろう。
従って、「安いからこれはお得!」というような書き方は好きではない。が、実際問題「安くていいもの」は確かに存在する。
EarFunのオーディオ製品は、まさにそれだ。
よほど音質を追求する人かプロのミュージシャンでない限り、「いつも使うオーディオ機器はこのくらいで十分過ぎる」というものをいくつも輩出している。
今回はその中のひとつ、ワイヤレススピーカー『EarFun UBOOM L』が手に入ったので試してみよう。
55mm径ドライバーを搭載
高校生の頃の筆者は、父親から立派なオーディオプレーヤーを買い与えられていた。
それは90年代らしくラジオを聴取できるCDプレイヤーだったが、操作機構が集約された本体の両側に大型ドライバーを擁した立派なものだった。
それを父親は、筆者の自室に置いたわけだ。
こちらが「買って!」とねだったわけではない。いつの間にか自室に設置されていたのだ。
筆者はその時分から洋楽好きで、それが加熱して中学生の頃からライブハウスに顔を出してジャズミュージシャンと友達になるというオッサン臭い少年だった。
父親はそのあたりを見ていたのかもしれないが、とにかく高校卒業後の筆者は部屋にオーディオ機器がないと生活すらできないという男に育ってしまった。
ちなみに、筆者の父親の職業は刑務官で決して高給取りというわけではなかったことは追記しておきたい。
故に、「大型ドライバーの音楽を聴く」ことの喜びを筆者は一通り心得ているつもりだ。
『EarFun UBOOM L』に搭載されているドライバーは55mm径(2基搭載)。金持ちというわけではない一般家庭にとって実用的かつ現実的なスピーカーのサイズ上限は、まぁこのくらいではないかと思う。
そして、出力は28W。このあたりも一般家庭にとっては十分……いや、十分過ぎるスペックではないか?
Bluetooth対応のワイヤレススピーカーであるという点は現代的と言えばそれまでだが、『EarFun UBOOM L』に関して筆者が感心している点はふたつ。
ひとつは最大16時間の連続稼働時間、もうひとつは単純明快な操作機構だ。
簡単な操作ボタン
ワイヤレススピーカーを充電ケーブルなしで16時間も連続使用する、などということは筆者のライフスタイルではまずあり得ない。
ケーブルにつなぎっぱなしにしていれば連続稼働時間などというものはなく、当然ながらバッテリー残量を気にする場面も一切ない。
が、この製品をアウトドアで活用したいという人にとっては連続稼働時間は重要項目のはずだ。
最近のキャンプ場は電源が用意されているとはいえ、バッテリーの持ちが良いに越したことはない。
そして、『EarFun UBOOM L』の簡単で分かりやすい操作ボタンは、この製品最大のアドバンテージかもしれない。
Bluetooth接続もボタンひとつで実行できる。実際に触れてみるとよく分かるが、操作のためにいちいちストレスを与えないようになっているのだ。
ガジェットライターというものを生業にしていると、「Bluetooth接続が困難な製品」に当たることがしばしばある。
それは大抵の場合、開発者が操作機構の設計に凝り過ぎてむしろ使いづらい代物になっているというパターンだ。
そういう意味でも、『EarFun UBOOM L』は非常にありがたい製品だ。
AUX端子も搭載
『EarFun UBOOM L』の音質を一言で表せば「意外な裾の広さ」である。
低音の深みはさすがスピーカーと言ったところだが、それと中音域が程良く混ざり合って全周囲に拡散する……と書くべきか。
なお、この製品には「インドアモード」と「アウトドアモード」が搭載されている。
インドアモードの時は低音重視、アウトドアモードの時は音の広がりを重視という設定だ。
また、『EarFun UBOOM L』はBluetoothによる無線接続のみならず、AUX端子による有線接続にも対応。
故にこの製品を「ワイヤレススピーカー」と書くのは、実は正確ではないかもしれない。
「ワイヤレスにも対応するAUX端子搭載スピーカー」が、より正しい表現である。
ブラックフライデーセールが25日から!
『EarFun UBOOM L』はAmazonにて7,999円で販売されている。
が、諸々の資料と試供品を手配してくれたEarFunスタッフのJくんによると、11月25日から12月1日までブラックフライデーセールがあり、その期間は18%割引の6,599円で販売される予定とのこと。
これだけの機能とスペックが詰まったスピーカーが、僅か6,000円台!?
「コスパ最強」とは既に言い回された言葉だが、『EarFun UBOOM L』の突出したコスパに並ぶものは今のところ存在しない。
取材・文/澤田真一