11月8日に行われた米中間選挙は、市場にどのような影響を与えるのだろうか?
三井住友DSアセットマネジメントは11月10日、同社チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏がその時々の市場動向を解説する「市川レポート」の最新版として、「2022年11月米中間選挙の途中経過~おおむね予想通りの展開に」と題したレポートを発表した。レポートの詳細は以下のとおり。
上院、下院でほぼ予想通りの展開に
米国では11月8日に中間選挙が行われた。上院は今回、定数100議席のうち、3分の1が改選。民主党の改選議席数は14(非改選36)、共和党の改選議席数は21(非改選29)だ。
報道によると、米国東部時間の午後7時(日本時間の11月10日午前9時)時点で、当選確実は民主党が12、共和党が19となっており、非改選議席を含め民主党と共和党が共に48議席を確保した模様だ(図表1)。
一方、下院は今回、定数435議席の全議席が改選される。中間選挙前の議席数は、民主党が220、共和党が212だった。報道によると、米国東部時間の午後7時時点で、当選確実は民主党が188、共和党が208となっている(図表2)。いずれも過半数の218に届いていないが、共和党が優勢の状況となっており、一部では早々に、共和党が下院の過半数を奪還と報じられている。
下院の多数派は共和党の見通し、焦点は上院で12月6日のジョージア州決選投票の結果待ち
中間選挙前の議席獲得予想では、上院がほぼ互角、下院は共和党が優勢となっていたため、おおむね予想通りの展開となっている。ただ、共和党の巻き返しに思ったほど勢いがないとの指摘もあり、共和党が無党派層を十分に取り込めなかったものと推測される。それでも、下院の多数派は民主党から共和党に移る可能性が高く、焦点は上院で民主党が多数派を維持できるか否か、となる。
現時点で、上院選の結果が判明していない州は、アラスカ州、アリゾナ州、ジョージア州、ネバダ州の4州だ。なお、ジョージア州では、得票率が50%以上の候補がいなかったため、12月6日に上位2人の決選投票が実施される。三井住友DSアセットマネジメントは、アリゾナ州で民主党が勝利し、アラスカ州とネバダ州で共和党が勝利するとみており、民主党が49議席、共和党が50議席を確保して、ジョージア州の決選投票を待つ展開を予想している。
上院の結果に関わらず、バイデン政権は大きな政策変更が困難に、市場の関心は再度インフレへ
以上を踏まえると、中間選挙の結果、①上院は民主党が多数派を維持する一方、下院は共和党が多数派、②上下両院とも共和党が多数派、のいずれかになると考えられる。それぞれのケースにおける、バイデン政権の政策については、10月27日付レポート「2022年11月米中間選挙の注目点を整理する」でまとめており、ねじれ議会の影響については、10月28日付レポート「米国がねじれ議会となった場合の心構え」でまとめている。
バイデン政権は、①の場合、上院の人事承認権を用いた閣僚の指名や大統領令で、環境などの規制強化は可能であり、②の場合、通商・外交の積極化は可能だが、いずれも大きな政策変更は困難と思われる。ねじれ議会では、政府機関の閉鎖リスクが懸念されるが、株価への過度な警戒は不要と考える。そのため、中間選挙後は程なく、市場の関心は再度インフレに向かうとみている。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント
構成/こじへい
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