インドでは、ヒンズー教の新年を祝うお祭り『ディワリ』が、毎年10月から11月にかけて開催され、国中が盛り上がる。
今年の『ディワリ』は10月24日で、その約1か月前から各地でセールが行われており、年間で最も消費が高まる時期だ。現地報道によれば、今年の『ディワリ』商戦は、ペントアップディマンド(繰り越し需要)に加え、コロナ感染の落ち着きによる消費者心理の改善を背景にかなり好調だった模様だ。
そんな中、三井住友DSアセットマネジメントは「盛り上がったインドの『ディワリ』商戦」と題したレポートを公開した。レポートの詳細は以下のとおり。
今年の『ディワリ』商戦は自動車を始め好調
現地報道によれば、10月26日時点で今年の『ディワリ』商戦は昨年に比べて売り上げが40%増との調査報告がある。多くのインド人が高額商品等を購入する祭事シーズンは、消費がかなり活況だったようだ。
高額商品の代表格である乗用車販売をみると、主要乗用車メーカーの10月の国内乗用車販売台数は、最大手のマルチ・スズキが前年同月比29%増となるなど、『ディワリ』商戦を迎えて各社とも大きく実績を伸ばしている。
ペントアップディマンドと消費者心理改善
インドの9月の消費者物価上昇率は前年同月比+7.4%とインフレが加速しているにもかかわらず、『ディワリ』商戦が好調な背景には、ペントアップディマンドと消費者心理の改善があると考えられる。
過去2年間、新型コロナウイルス禍で都市封鎖や行動制限等により人々の消費行動は抑制されていたため、大きなペントアップディマンドがあるとみられる。
また、インド準備銀行(RBI)公表の消費者信頼感指数によれば、新型コロナ感染の落ち着きに伴い、足元で消費者心理が大きく改善していることがわかる。経済再開による雇用回復で消費意欲は旺盛とみられる。
【今後の展開】消費堅調によりインド経済は高い成長が見込まれる
RBIは、インドの消費が来年3月までの今年度下半期に強まるとみている。都市部については『ディワリ』商戦により需要が高まること、農村部についてはモンスーン期の降水量が平年を上回り、豊作が期待されることを挙げている。
地政学リスクや、世界的な金融引き締め、外需の減速といった逆風があるものの、RBIは実質GDP成長率を2022/23年度+7.0%、2023/24年度+7.2%と予想している。インド経済は消費の回復で堅調に推移するとみられる。
※個別銘柄に言及しているが、当該銘柄を推奨するものではない。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント
構成/こじへい