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コロナ禍で注目度が急上昇した「レジリエンス」とは何か

2022.11.16

逆境から立ち直る力や回復力などを示す「レジリエンス」が注目されている。「レジリエンスが高い人ほど成功しやすい」、あるいは「成功者はレジリエンスが高い」といわれ、企業の人事や管理職にとって、何より働く人自身にとって必要な能力と認識されるようになってきた。なぜ、今、「レジリエンス」なのか? それは持って生まれたものなのか? 弱い人はどうすれば? グローバル企業の勤務時代にレジリエンスに出会い、そのトレーニング術に詳しい久世浩司氏に話を聞いた。

ストレスチェックで可視化されたストレス

久世浩司(くぜこうじ)/1972年生まれ。レジリエンスのトレーニング研修や講師を育成するポジティブサイコロジースクール代表。日用品メーカーP&Gに16年間勤務。自らレジリエンスの重要性と必要性を感じ、そのトレーニング方法を習得。著書に『「レジリエンス」の鍛え方』(実業之日本社)、『リーダーのための「レジリエンス」入門』(PHP研究所)など。

レジリエンス(Resilience)を辞書で引けば、回復力や立ち直る力。さらには、順応性、適応力、柔軟性といった幅広い意味をもつ。今、ビジネスマンや企業が注目しているレジリエンスも、ほぼこの意味上だが、使われる分野はメンタルヘルスマネジメントだ。

「レジリエンスとは、もともとは環境学で生態系の環境変化に対する復元力を表す言葉として使われていました。それが30年ほど前から、現代心理学で人の精神的な回復力を示す言葉として使われ始めました」と、久世氏はその来歴を語る。

久世氏は2014年に、はじめのレジリエンス本『レジリエンスの鍛え方』を上梓しているが、その時点ではまだこの言葉は市民権を得ていなかった。

「日本でレジリエンスが知られるようになったのは2015年くらいから。きっかけは企業に社員のストレスチェックが義務づけられたことです。これによって漠然と感じていただけのストレスが数値化され、可視化されたことで、本人にも企業にもストレスをマネジメントしなければという意識が生まれたのです」

2015年12 月、従業員50人以上の企業に、一年に一回、従業員にストレスチェックを実施する制度が導入された。この以前から指摘されてきたのが、仕事のストレスが要因とみられる、うつ症状の激増だ。さらにその前から日本の会社は大きく変わりだしていた。

日本にレジリエンスが認知されるようになった事情を、久世氏はこう説明する。

「もう終身雇用の時代ではない。会社はメンタル的に落ち込んでしまった社員の面倒を見られない。会社側は社員自らストレスマネジメントをして、落ち込んでも“自力で”立ち直ってほしい。

従業員のほうも、会社はそこまで面倒を見てくれないことがわかっている。何かあっても会社は助けてくれない、自分で何とかしないといけないとわかっているんです。若い人ほどわかっていると思います。会社も個人も、レジリエンスを高める必要性に迫られてきたのです」

日本的経営の象徴である終身雇用や年功序列は、いまだ根強く残っているとはいえ、決して主流ではなくなった。社員は自分で「キャリアデザイン」を描き、自分でスキルアップすることを求められる。ヘルスケアはセルフケアが当たり前。そこにストレスチェックによるストレスの可視化で危機感が芽生えた。

ちなみに、2008年からメタボ健診(特定健診のこと)が始まったが、メタボリックシンドロームのリスクが数値化され可視化されたことで、体重、体型に一気に関心が高まり、ライザップが栄えたという……。人間、リスクが目に見えないとなかなか腰を上げないようである。

海外の「レジリエンスの高い人」はパワフルでポジティブ

海外で(アメリカや西欧)で先行してきたレジリエンスだが、その意味合いは日本と少々異なると久世氏はいう。

「日本では人が逆境から立ち直る意味で用いられていますが、海外では、災害を受けた国が立ち直る際の文脈にもレジリエンスという言葉が登場します。国家や経済状況にも使われ、たとえばレジリエンス政策とかレジリエンス企業とか。今回のコロナ禍においてもresilienceという単語は頻出しています。

海外ではレジリエンスは非常にポジティブな印象の言葉です。 “レジリエンスの高い人”は強靱でパワフルなイメージです。一方、日本ではパワフルというより、しなやかさ、忍耐力、あきらめない心といったイメージが強いですね。それが日本人の心情に合っているのかもしれません」

一度落ちてしまった、凹んでしまった、折れてしまったメンタルを、がんばってなんとかゼロまで戻す。これが日本で期待されるレジリエンスのようだ。

コロナ禍で検索数が激増したレジリエンス

ストレスチェックを機に知られるようになったレジリエンスだが、その注目度が2020年のコロナ禍到来でさらに高まった。

「この2年で検索数が跳ね上がりました。コロナ禍前は、私の書いた記事やスクールのHPがトップページに来ていたのですが、気がついたら追い抜かれていました」と話す久世氏。レジリエンスの専門家も気づかぬ間にトレンドになっていた。

「コロナ禍前はレジリエンスを調べるのは、どちらかというと企業のヘルスケア担当や研修担当の人が多かったと思います。それが一気に個人に裾野が広がったのでしょう」

パンデミックは予期せぬ災難。当然、ストレスは増大する。

久世氏によると、仕事関係で生じるストレスの原因は大きく3つに分けられる。「人間関係の問題」「仕事の質の問題」「仕事の量の問題」だ。

人間関係の問題で代表的なものは、同僚や上司、部下との関係での悩み。「仕事の質の問題」とは、小さなミスもスケジュールの遅れも許されない、過度な緊張感による疲弊。「仕事の量の問題」は仕事が多すぎて帰れない、疲れているが休めない、といったことである。働いている人なら誰もが思い当たるだろうし、つまり、誰もがストレスを抱えている。

コロナ禍によって、もうひとつ「未来ストレス」が高じている。未来に対する不安はいつの時代にもあった。しかし、今回のように感染症の拡大によっていきなり来週から仕事がなくなるなんてことはなかった。そのダメージは、非正規雇用者やフリーランスに特に重くのしかかり、深刻な不安を生んでいる。

しかし、レジリエンスへの注目の高まりは、正規の社員にもコロナ禍で不安が高まっていることを意味する。久世氏は、その要因に「リモートワーク」を挙げる。

レジリエンスとは立ち直る力とともに、新しい環境に適応する力も意味する。職種や会社の体制に加え個人差が大きいが、リモートワークに適応できてない人たちにとって、この2年余り、「ストレスが積みあがり続けているのではないか」と指摘する。

→「レジリエンスの強い人とは? 弱くても鍛えられるのか?」につづく

取材・文/佐藤恵菜


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