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イーロン・マスクによるTwitter社の大規模な人員削減、日本でやったらどうなる?

2022.11.16

こんにちは。

弁護士の林 孝匡です。

イーロン・マスク氏が大暴れしていますね。

Twitterを買収した瞬間、大規模な人員削減(報道によれば3700人)。

整理解雇ってやつです。

アメリカなら無問題ですが、日本法人(Twitter Japan)では日本の法律が適用されるので、

整理解雇が有効になるケースは少ない(=従業員が勝つ)

です。

今回の記事では、

●アメリカなら解雇は自由だけど
日本で整理解雇は認められにくい
●外資系企業の特徴
!退職勧奨に応じると戦えない
●解雇された時の戦い方

などをお伝えします。

「経営難だから、整理解雇しまーす!」

が裁判では認められにくいことをご理解いただければと思います。

アメリカの場合

アメリカは自由の国。

ってことで、解雇も自由です。

今日もどこかでバンバン解雇されてます。

終身雇用、などという生ぬるい文化は皆無。

「ユー、今日でグッバイ!」

出だしジャニーさんのようなフランクさで、不要となればビジネスライクに切られちゃいます。

日本の場合

しかし、日本では、長期雇用慣行が定着しているので、

↓ 労働者がガチガチに守られています ↓

労働契約法 第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする

何を言ってるか分からないと思うので

# 私も分からない

裁判所は、具体的に、整理解雇ができる4要素を定めました。
(東洋酸素事件:東京高裁 S54.10.29〉

1. 人員削減を行う経営上の必要性があるか
2. 解雇を回避する努力をしたか
3. 解雇する人を選定する基準は合理的か
4. 解雇する人と労働組合との間に十分な協議がされたか

この4要素をクリアするのは、メチャクチャ難しいんです。

裁判官が

「こりや、解雇は…仕方ないな」と思ってくれるまで、会社が立証しなければならないんです。
(財務状況などに基づく主張・立証)

生半可な立証じゃ、裁判所は首を縦に振りません。

むずい…。

ファミコン初期のクソゲーレベルの難易度です。

外資系企業の特徴

それでも外資系企業は整理解雇に踏み切ってくることが多いです。外国本社からの圧ですね。

あと理由で挙げられるものとしては、

・合意退職した従業員との公平性を保つ
・法的判断を仰いだれ、という気持ちが強い
・まぁ訴訟中に合意退職が成立することが多いから

というもの。

しかし、外資系企業が、裁判所の4条件をクリアするのは至難の業。

整理解雇がOKになるには、先ほど述べた

1. 人員削減を行う経営上の必要性があるか
2. 解雇を回避する努力をしたか
3. 解雇する人を選定する基準は合理的か
4. 解雇する人と労働組合との間に十分な協議がされたか

という条件を満たさないとダメなんですが、2の〈解雇を回避する努力〉でアウトになるケースが多いです。

なぜなら、解雇を回避する努力では、

↓ 下のような「ほかの手段を検討したの?」が吟味されるんですが、

・経費の削減(交際費、広告費、交通費など)
・役員報酬の減額
・新規採用の中止
・時間外労働の中止
・正社員の昇給停止
・賞与の抑制、削減
・配置転換、出向、転籍
・一時帰休
・非正規社員の雇い止め
★希望退職の募集

外資系企業は、希望退職を募集することが少ないんです。

あまり希望退職を募集しない理由は

「優秀な人が辞めちゃうじゃん」ってことらしいです。

基本的には、個別に「チミ、辞めてね」と働きかけることが多いようです。

というわけで、

「2の要件、ダメじゃん」となることが多く、外資系企業の整理解雇は有効となりにくいです。

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▼ マメ知識
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日本の会社の事件ですが。

社長がケチくさかった事例。

社長の報酬は1億7000万円のまま下げず、解雇された人には100万円も渡さなかった事例。

裁判所は「解雇無効!と判断。

「解雇回避努力が足りねーよ」と認定。
(日本通信事件:東京地裁 H24.2.29)

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