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企業が安易に内定を取り消すとどうなるか?最高裁の判例をもとに学ぶ注意点

2022.11.17

こんにちは。

弁護士の林 孝匡です。

今回は、裁判例のザックリ解説です。

大学生が内定を取り消された事件。

具体的には、大学卒業の1ヶ月半前に、会社が

「チミ、なんか暗いから内定を取り消すわ」

と、内定を取り消した事件です。

いやいや!

いま、2月よ…。

今からどうしろっちゅうねん!

内定もらったあと、他の企業に断り入れたのに!

およそ10年にわたる裁判の結果、

就活していた人が勝ちました!

(大日本印刷事件:最高裁 S54.7.20)

昭和の事件ですが、今も通用します。

最高裁さまが、内定取消しは違法と言ってる重要な事件だからです。

以下、事件を解説します。

バトルの当事者

就活していたXさんは、滋賀大学経済学部の4年生でした(昭和44年3月卒業予定)

ナゾの理由で内定を取消した会社は、大日本印刷株式会社。

流れをザックリ説明すると、

昭和43年5月13日に内定通知をもらい

昭和44年2月12日に内定を取り消されました

以下、詳しく解説します。

採用内定の通知

昭和43年5月13日、会社はXさんに対して、採用内定の通知を出しました。

通知書には、以下のように書かれていました。

こんなことが起きたら、内定を取り消しまっせ、ということです。

以下の場合は、採用内定を取り消されても何等異存はありません。

1. 履歴書身上書面等提出書類の記載事項に事実と相違した点があったとき
2. 過去に共産主義運動及び之に類する運動をし、又は関係した事実が判明したとき
3. 本年3月に学校を卒業出来なかったとき
4. 入社までに健康状態が選考日より低下し勤務に堪えないと認められたとき
5. その他の事由によって入社後の勤務に不適当と認められたとき

あとで解説しますが、9ヶ月後、会社は上記5の理由で内定を取り消しました。

Xさんはグルーミーな印象だ、という理由で。

なにそれ w

グルーミーとは、暗い、陰気な、陰うつな、という意味らしいです。

さて、会社から内定をもらったことで、Xさんは一安心。

ほかに応募していたダイキン工業へお断りの連絡を入れました。

近況報告書の提出

11月ころの話。

会社は、Xさん宅に、会社のパンフレットや会社の近況報告を郵送しました。

そして、Xさんの近況を知る目的で、近況報告書の提出を求めました。

入社への手続きが着々と進んでいた、ということです。

しかし、突如!

内定を取り消すとの通知

年があけて、昭和44年の2月12日。

会社はXさんに対して、採用内定を取り消す、との通知をしました。

理由はまったく示されませんでした。

おいおい、卒業の1ヶ月前よ…。

他社に断り入れたし、今からどうしろっちゅうねん!

ですよね。

Xさんは大学を通じて会社に抗議しましたが、その声は届かず…。

どこにも就職できないまま、卒業を迎えてしまいました。

そこで、提訴!

裁判所の判断

Xさんの勝訴です!

判決ではザックリ、

●内定=労働契約が成立している
●ってことは、内定取り消しは解雇だ
●解雇は、そんなカンタンに出来ない
●「Xさんがグルーミーな印象?」
●そんなんで解雇できるかい!
●グルーミーってなんやねん!(これはウソです)

と示されました。

少し詳しく解説します。

▼ 内定取り消しは解雇だ

内定=労働契約の成立なので、内定取り消しは「解雇」にあたります。

▼ 内定取り消しはカンタンに出来ない

で、解雇=内定取り消しはカンタンにはできません。

法律用語で言うと、

解約権の行使は、〜解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存在し社会通念上相当として是認することができる場合にのみ許される

ということです。

▼ 内定を取り消せるのは、こんなケース

裁判官は「内定を取り消せるのはこんなケースだ」と言ってます。

採用内定当時、知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的に認められ社会通念上相当して是認することができる場合

▼ グルーミー、なんじゃそりゃ!

会社は、こう主張しました。

「Xさんはグルーミーな印象なので当初から不適格と思われたが、それを打ち消す材料が出るかもしれないので採用内定としておいたところ、そのような材料がでなかった」

しかし、裁判官は、

「グルーミーなことは、最初から分かってたじゃん。それで内定取り消しはダメ!」

と判断しました。

で、裁判官は、

入社予定日から判決確定までの給料を支払え」との判決を出しました。

(これを「バックペイ」と言います)

会社からすれば打撃が尋常じゃない。

だって、今回のケースで言えば、昭和44年4月1日から判決確定の日(昭和54年7月くらい)までの約10年間の給料を払わなければならないから。

解雇無効を勝ち取れば、ものすごい金額も勝ち取れます。

まとめ

今回は、内定取り消しが違法となった事件について解説しました。

会社の担当者さんはご注意ください。

「なんかウチに合わなさそうだな」程度での内定取り消しは、違法になります。

裁判で負けると、恐ろしいバックペイの衝撃を受けるので、ご注意ください。

今回は以上です。

では、また次の記事でお会いしましょう!

取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。コンテンツ作成が専門の弁護士です。
webメディアで皆様に知恵をお届け中。「こんなこと解説してくれや!」があれば、下記URLからポストお願いします。
 https://hayashi-jurist.jp(←プロフィールもコチラ)
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