2022年2月、ソニーから発売された「LinkBuds(リンクバッズ)」。完全ワイヤレス型ヘッドホンでありながら、音を鳴らすドライバーユニットに穴が開いた大胆なデザインを取り入れ、話題を呼んでいる。
今回、このLinkBudsの開発に携わったソニー株式会社 モバイル商品企画部担当部長の奥田龍さんに、開発の経緯や商品に込められた想い、今後の展望についてお話を伺った。
*本稿はインタビューから一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。
日常生活に溶け込む、まったく新しいヒアラブルデバイス
LinkBudsの最大の特徴は、リング型ドライバーユニットを採用している点。穴が空いていることで、音楽を聴きながらも周囲の音や自分の声を自然に聞くことができる。奥田さんは、同製品のコンセプトと特徴について次のように話す。
「『オンラインとリアルをつなぐ「常時装着」可能なサウンドゲートウェイとして、新たな音体験を提案する』をコンセプトにした商品です。リアルの音とは、日常、家族と会話している時の声や、歩いている時に耳に入ってくる周囲の音などのこと、オンラインの音はスマートフォンなどを通して、音楽を聴いたり、動画を観たりといった時の、デバイスを通じた音です。『LinkBuds』という名称には、そんなリアルとオンラインをリンクさせるという想いを込めています。小さく軽量で、常時装着しても疲れにくいデザインを採用しており、音楽を聴いていない時も身に付けたままでもいられるんです。周囲の音を自然に聞きながら、好きな時にヘッドホンを通じて音楽やゲームを楽しんだり、オンラインの会議に参加したり会話をしたりと、日常生活に溶け込んだ使い方ができます」(奥田さん)。
さらに、2022年6月には新たなラインナップとして「LinkBuds S」が誕生。同シリーズの『オンラインとリアルをつなぐ「常時装着」可能なサウンドゲートウェイとして、新たな音体験を提案する」をコンセプトとしつつ、ノイズキャンセリング機能を搭載した。本体に穴は開いていないが、外音取り込み機能が備わっており、周囲の音を聴きたい時と没入感を楽しみたい時とで、自在にモードを切り替えられる。
「LinkBuds Sは、お客様からの要望が多かった『ノイズキャンセリング』を搭載した、没入感も楽しめるモデルです。こちらはリング型ドライバーではありませんが、ノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホンとして世界最小・最軽量(※)のモデルで、快適な付け心地を実現しています。ヘッドホンを付けていても、環境音が自然に聞こえる『アンビエントサウンド(外音取り込み)モード』を搭載しています。軽い付け心地で、快適な常時装着が可能です」(奥田さん)。
※2022年5月9日時点、ソニー調べ。LDAC対応完全ワイヤレス型ノイズキャンセリングヘッドホンにおいて。
開発の出発点は現代における「音に触れる体験の多様化」
奥田氏は、現代人は音に触れる体験が多様化しており、ビデオ会議などの普及により音に接する時間自体も長くなってきていると話す。
「Spotifyに代表される音楽ストリーミングサービスや、360 Reality Audioといった立体的な音場体験、そして音声SNSやボイスアシスタント、ゲームの音声と、音に触れ合うかたちが様々になっていて、音に接する時間も長くなっています。こうした中、音楽以外の音を楽しむ、新しい世代の耳になるようなヒアラブルなデバイス、リアルの音とオンラインの音を繋ぐものを作りたいと考えたのが、この商品の出発点でした」(奥田さん)。
開発に伴い、同社では完全ワイヤレス型ヘッドホンの購入者と購入意欲者を対象としたストリーミングサービスの利用動機に関する調査を実施。25歳以下の若年層のうち、3割以上が「ながら聴き」をすると回答したという。
「若い世代の方は他の年代と比べても、『ながら聴き』のリスニングスタイル需要がとても高いことがわかりました。また、直近の商品モデルの利用者アンケートでは、ヘッドホンの利用場所としては1位が自宅、2位が電車だったんです。過去の傾向と比較しても、自宅での利用が増えてきていることがわかります。使い方自体も多様化しており、例えば、若い世代では友だちと一緒に宿題をしている間に、存在を感じるために無言のままずっと通話を繋げておくというケースもあるようです。音楽だけでなく、TwitterのSpacesのような音声チャット、Discord、動画やゲーム、通話、こうした音との接点も増えてきています。このような状況でこそ、LinkBudsシリーズにメリットに感じていただけるのではないかと思っています」(奥田さん)。
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