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笑えるディザスタームービーにして夫婦再生の物語、ノア・バームバック監督作品「ホワイト・ノイズ」の見どころ

2022.11.10

原作の現代社会への風刺と死への恐怖がバームバック風に描かれる

『ホワイト・ノイズ』が12月一部劇場公開、12月30日からNetflixより配信となる。ドン・レリーロの同名小説を原作に、ノア・バームバック監督が脚本も手掛けた。原作の現代社会への風刺と死への恐怖が、バームバック風に料理されている。

バームバック監督と言えば、前作『マリッジ・ストーリー』(2019)の大成功が記憶に新しい。離婚に向かう夫婦を描き、100を超える映画賞を受賞した。離婚を描いた映画には『クレイマー、クレイマー』(1979)、『ブルーバレンタイン』(2010)など名作があるが、そのどれにも似ていない新たな名作となった。そこで夫を演じたのが、今回も夫役を務めるアダム・ドライバーだ。

一方、今回の妻役であるグレタ・ガーウィグは、私生活ではバームバック監督のパートナー。ロンドン映画祭で開催されたイギリス・プレミアにも、2人そろって登場した。

ガーウィグは、等身大の女性像で話題を呼んだバームバック監督『フランシス・ハ』(2012)でも主演、脚本も監督と2人で書いている。ちなみに、ドライバーはこちらにも出演、主人公にかかわる1人となっている。 

そのドライバーとガーウィグが主人公夫婦となり、悲劇のようで喜劇でもあるバームバック世界を作り出してみせたのが、今回の映画『ホワイト・ノイズ』。ドライバーは中年太り体型になってアメリカのお父さんらしさを漂わせ、ガーウィッグは美しさと体型を維持しながらも不安気な妻になっている。

ヒーローやヒロインなどいない、普通の人が右往左往するブラック・コメディ・ディザスター・ムービー

夫婦は、いわゆる倦怠期を迎えている。どことなく、しっくりいかない。それでも、連れ子のいる大所帯は、にぎやかではある。

夫は大学でヒトラー学を教えている。終わった時に大喝采が起こるほどドラマチックな講義をしてみせるあたりは、面白味のある見せ場だ。

妻の方は生きあぐねている。怪しげな薬を手放せない。そんな中、近隣で何かが起こる。空が見たこともない大きさで真っ赤に燃えている。一家は避難を余儀なくされる。

避難所では、持論を説く人も登場してくる。現代への風刺が効いた場面だ。勇敢なヒーローやヒロインなどいない、普通の人が右往左往するブラック・コメディ・ディザスター・ムービーになっている。

この場面に限らず、飛行機のクラッシュ動画に夢中になる子どもたちから、大学の講義まで、そこここに現代社会への風刺が散りばめられている。

妻の薬に関する許しがたい秘密から、有毒ガスを吸い込み死を意識する夫がとる思いがけない行動へと、話は展開していく。

夫婦の危機に、災害の危機が重なるストーリーは、悲劇に向かいそうな瞬間にくるりと喜劇に転じたりする。鋭い現代社会評を織り交ぜつつ進む映画だが、後半、夫婦が迎える場面はどこか非現実的でSFのようでもある。

様々を経て、夫婦は最初の地点とは違う地点に運ばれていく。それが明るい未来へと続くかどうかはわからない。ただ、お互いをより知った、内に抱える弱さ、不安定さ、そして、いつか死ぬことを、深く知ったことだけは確かだ。

このところ、発表される1作、1作に注目が集まるバームバック監督の新作、しかも原作が大評判となった小説とあって、イギリス・プレミアには鬼才テリー・ギリアム監督も顔を見せた。

文/山口ゆかり ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。
http://eigauk.com


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