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5年半に及ぶ長い戦いが終結、JASRACと音楽教室の仁義なき戦いとその舞台裏

2022.11.10

こんにちは。

弁護士の林 孝匡です。

今回は、裁判例のザックリ解説です。

JASRACと音楽教室の仁義なき戦いを解説します。

大きな争点は、「先生と生徒の演奏について、使用料を払う必要があるか」

バチバチに争われました。

10月24日に最高裁判決が出ました。

結論としては、ドロー!のような判決です。

どんな判決かというと、音楽教室はJASRACに対して、

● 先生の演奏については払いなさい
● 生徒の演奏については払わなくてOK

という、痛み分け判決です。

訴訟提起から、約5年半…。

長い道のりでした。

2017.6 訴訟提起
2020.2 第1審判決
2021.3 控訴審判決
2022.10.24 最高裁判決

以下、詳しく解説します。

どんなケンカなのか?

まず、JASRACとは、ザックリいうと音楽関係の権利を管理している団体です(正式名称:日本音楽著作権協会)

音楽を営利で利用したければ、だいたいJASRACのお許しが必要です。

このJASRACが、音楽教室に目をつけたんです。

「ウチが管理してる音楽を使って生徒に演奏を教えてるのに、ウチに利用料払ってないやん」と。

JASRACの主張の根拠は、演奏権(著作権法22条)です。

著作権法 第22条
著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する

ザックリいうと、

・音楽を演奏できるのはウチだけです。
・演奏したいなら利用料を払ってね

という規定です。

これに対して、音楽教室は反論します。

「いや、著作権法22条は適用されないよ。私たちは自由に演奏できます」

と反論。

折り合いつかず、舞台は法廷へ!

地裁判決(2020.2)

地裁では、JASRACの完全勝訴でした。

裁判所はザックリ、

「先生の演奏も、生徒の演奏も、音楽教室が演奏しているといえる。どちらの演奏についても利用料を払いなさい」

と判断。

音楽教室は、納得できず、控訴!

高裁判決(2021.3)

高裁では、音楽教室が巻き返しました!

先生の演奏については利用料を払わなければならないが、

生徒の演奏については払わなくてOK

との判決が出されました。

その理由はザックリ、

生徒は目標に向かって自主的に演奏してるだけだから、

というもの。

↓判決文そのまま

生徒は,専ら自らの演奏技術等の向上のために任意かつ自主的に演奏を行っており,控訴人らは,その演奏の対象,方法について一定の準備行為や 環境整備をしているとはいえても,教授を受けるための演奏行為の本質からみて,生徒がした演奏を控訴人らがした演奏とみることは困難といわざるを得ず,生徒が した演奏の主体は,生徒であるというべきである。

JASRACは「マジか…」と愕然としたと思います。

というのも、JASRACが完全勝訴すれば、数億円の徴収料を見込めたのですが、

生徒の演奏については徴収できないとなれば、大幅減は確実だからです。

もちろん、JASRACは、上告!
行くとこまで、行きまっせ!

舞台は最高裁判所に移りました。

最高裁(2022.10.24)

上告が受理されて、約1年半…待ちぼうけ。

なげぇ。

結論。

JASRACの想いは…届かず!

音楽教室「よっしゃ!」

高裁と同じ結論でした。

すなわち、生徒の演奏については払わなくてOK!

との判決となりました。

高裁のときと同じく、理由をザックリ挙げると、

生徒は目標に向かって自主的に演奏してるだけだから

というもの。

↓判決文そのまま

 演奏の形態による音楽著作物の利用主体の判断に当たっては、演奏の目的及び態様、演奏への関与の内容及び程度等の諸般の事情を考慮するのが相当である。

 被上告人らの運営する音楽教室のレッスンにおける生徒の演奏は、教師から演奏技術等の教授を受けてこれを習得し、その向上を図ることを目的として行われるのであって、課題曲を演奏するのは、そのための手段にすぎない。そして、生徒の演奏は、教師の行為を要することなく生徒の行為のみにより成り立つものであり、上記の目的との関係では、生徒の演奏こそが重要な意味を持つのであって、教師による伴奏や各種録音物の再生が行われたとしても、これらは、生徒の演奏を補助するものにとどまる。また、教師は、課題曲を選定し、生徒に対してその演奏につき指示・指導をするが、これらは、生徒が上記の目的を達成することができるように助力するものにすぎず、生徒は、飽くまで任意かつ自主的に演奏するのであって、演奏することを強制されるものではない。なお、被上告人らは生徒から受講料の支払を受けているが、受講料は、演奏技術等の教授を受けることの対価であり、課題曲を演奏すること自体の対価ということはできない。これらの事情を総合考慮すると、レッスンにおける生徒の演奏に関し、被上告人らが本件管理著作物の利用主体であるということはできない

まとめ

JASRACと音楽教室の仁義なき戦い。

5年半にも及ぶ戦いに終止符が打たれました。

最高裁が出した結論は、

●先生の演奏については払いなさい
生徒の演奏については払わなくてOK

というもの。

痛み分けです。

私見として、最高裁としては、

・先生の演奏は営利目的なんだから、払いなさいよ
・生徒の演奏分まで徴収するのは、チョット…ねぇ

という思いが働いたのではないかと。

いくら徴収するかについては、

今後、JASRACと音楽教室との間で協議が進められるようです。

JASRACはこれまで、年間受講料収入の2.5%を使用料として徴収するという方針でしたが、落ちる見込み。

以上、裁判例のザックリ解説でした。

では、また次の記事でお会いしましょう!

取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。コンテンツ作成が専門の弁護士です。
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