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大企業に勤務する20代社員がベンチャーに転職する際に知っておきたいこと

2022.11.11

■連載/あるあるビジネス処方箋

前回と前々回で、大企業に勤務する20代の社員がベンチャー企業に転職することをテーマに人事コンサルタントに取材を試みた。

前回の記事はこちらから
前々回の記事はこちらから

今回は、大企業に勤務する20代のベンチャー企業への転職をテーマに、転職エージェントの高野秀敏さんに取材をした。高野さんは1999年、東北大学経済学部卒業後、人材会社のインテリジェンス(現 パーソルキャリア)に入社。2005年に退職後、ベンチャー企業への転職支援などをするキープレイヤーズを2005年に設立し、代表取締役社長に就任。1万1千人を超える会社員(若手クラスから管理職・CXOクラスまで)の転職支援に関わる。

キープレイヤーズが大切にしているのは、中長期的な目線でその人にとって理想のキャリアを描くこと。転職は通過点として、その後のキャリアアップを第一に考える。「転職しないこともひとつの正解」として、スタートアップ転職・ベンチャー転職のメリットはもちろん、リスクやデメリットも伝えている。

Q 最近は、大企業に勤務する20代の社員がベンチャー企業に転職する傾向は実際にあるのでしょうか?

高野さん(以下同):確かに、そのような人が増えています。以前は、ベンチャーや中小企業からベンチャーに転職する人が目立ったのですが、私が相談を受ける範囲で言えば、ここ数年は創業して日が浅いスタートアップのベンチャーにも、東大卒で大企業に新卒で入った人が転職するようになってきました。これは、新しい動きと言えます。

大企業からベンチャーに転職する人が増えるにともない、誤解と後悔に陥る人も増えているのです。特に新卒時、東大卒で一流の大企業や就職偏差値が高い投資銀行や戦略コンサルティング会社に入社した人たちです。この人たちの一部は、ベンチャーへの転職後に周囲の社員を前職の時のまなざしで見てしまう場合があるのです。

例えば、仕事の進め方、考え方や意識などです。一流の大企業や投資銀行、戦略コンサルティング会社では、多くの社員が上司から言われたことを納期前にきちんとできていたようです。ところが、スタートアップのベンチャーではそれを忘れたり、自分ひとりで判断し、優先順位をつけて「この仕事はやりませんでした。あの仕事を優先したからです」と答える人もいるそうです。東大卒のエリート社員からすると、スタートアップでは学生時代含め会ったことがないような人もいるようです。

様々な社員で構成されているのが、大半のスタートアップと言えます。スタートアップに転職後に「ここには優秀なメンバーが集まっていない」と嘆き、後悔する人ならば向いていないのかもしれません。

収入について後悔している人もいます。大企業からベンチャーへの転職の場合、収入がステイ(現状維持)もありますが、即戦力でない場合には下がることが多いのです。年収では、半分や3分の1になることもありえます。それでもやりたいことがあったり、将来は事業をやりたいなど、何らかの意思がある人がうまくいく傾向があるのです。こういう後悔で悩み、大企業にまた転職する人もいます。

Q どのようなタイプが大企業からベンチャーに転職し、うまくいくのでしょうか?

スタートアップに限らず、ベンチャー全般に言えることですが、転職者にはメンバーや会社を成長させ、さらにレベルの高いメンバーが集まってくるように努力することが求められるのです。

スタートアップにしろ、創業後に一定の年数が経ったベンチャーにしろ、10年前後で他社に吸収されたり、統廃合になったり、倒産・廃業になる場合は少なからずあります。こういうところで、自分の強みを見つけ、そこに力をフォーカスし、より強くしてキャリアを形成していくことができるか否かが、大切なのです。

取材を終えて

高野さんが話すスタートアップと、私が取材を通じて見てきたスタートアップは重なるものが多い。私がベンチャーを集中的に取材し、記事にしていたのは2005年10月から2008年8月頃まで。求人広告の記事を書くために、毎週1~2社のペースで都内のベンチャーを計250社程取材した。そのほとんどが創業数年以内で、売上は10億円以下。社員数は100人以下だった。業界は、9割がITや情報通信。

この250社程のうち、2008年秋のリーマンショックで70~100社が倒産・廃業もしくは他社に吸収合併された。2022年現在、存在しているのは約20社。ITや情報通信業界だから20社も生き残るのであり、飲食や不動産業界ならば10社以下になるのかもしれない。いずれにしろ、日本のような世界有数の経済大国で、市場が飽和している国で、創業して日が浅いベンチャーが生き残るのは相当に難しい。

読者諸氏が大企業からベンチャーに転職するべきか否か、と迷う場合はこのあたりまで含めて考慮し、進路を決めたほうがいいと私は思う。

取材・文/吉田典史


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