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BEV一色の欧州メーカーの中であえてハイブリッドカーを投入するルノーの狙い

2022.11.05

ワイドなフォルムは力強く、スポーティで、シャープな印象。ヘッドライトユニットには、‘目’のような2つの造形、‘まつげ’を思わせる立体的なストライプを施してある。

フランス車ファンを中心に注目度を上げているルノーのコンパクトSUV「キャプチャー」。その人気モデルに加わったストロングハイブリッド仕様の「キャプチャーE-TECHハイブリッド(以下、キャプチャー・ハイブリッド)」。BEV(バッテリーEV)一辺倒に見える欧州メーカーで唯一(現時点で)のハイブリッドカーは、まさにストロングハイブリッドだらけの日本で、どんな魅力を見せつけてくれるのだろうか?

少しばかりフランス人を誤解していた事を反省

以前、6日間ほどフランスに滞在しながらカメラマンとともに取材をしなければいけない事があった。パリ市内なら、短期滞在のアパルトマン(家具付きのアパート)もそれほど苦労せずに手配できると言うが、地方都市では相当苦労するとのこと。そこでコーディネーターが準備してくれたのは、民泊だった。なんでもお子さんが大学に進学し、その部屋が空いているから2人に格安で貸してくれるという。

「お話好きで、日本にも興味をお持ちですよ」ということと、6日間、2人分の朝食が付いて3万円ほどと、リーズナブルなことがなにより嬉しかった。当然、色々と助かるので即決したのだが、少しばかり不安もあった。

当時は恥ずかしながら、「フランス人は理屈っぽくって、おまけにかたくな。英語もしゃべらないのでは」という、なんの根拠もないイメージを持っていたからだ。おまけにこちらはフランス語といえば、ありがとう、を始めとした日常的な挨拶と、領収書ください程度しか話せない。まぁ、特別話しかけられることもないだろうし、大丈夫かとも考えながら、訪れた。2階建ての可愛らしいおうちの玄関で、ご夫婦と中学生だというお嬢さんの3人が優しくにこやかに我々を出迎えてくれた。お嬢さんは少しだけ英語が使えると言うが、ご両親はほぼ話せないようだった。そして翌朝、お母さんが焼いてくれたクロワッサンとサニーサイドアップ、そしてコーヒーがダイニングのテーブルに並んでいた。そのクロワッサンの味は今も思い出せるほど美味しかった。その日の取材を終え、夕食を取ってから戻ると、お嬢さんが嬉しそうに我々を待ち構えていた。お互い、つたない英語を駆使して、5人の相互理解が始まったのである。通訳のコーディネーターが来たときなど、それまでのもどかしさを一気に晴らすように質問攻めに遭った。これほど“宿”に帰るのが楽しみだった取材も経験がない。そして最後の日など、全員で涙ぐんだりして別れを惜しんだ。

コーディネーターの分析によれば「フランス人は自分の文化に揺るぎない自信を持つと同時に、よく議論した上しながら相手の文化も理解し、リスペクトもする。それが理屈っぽく感じたり、かたくなに見えたりする一因じゃないか」というのだ。確かに19世紀後半にパリ万博を契機にいち早くジャポニズムが巻き起こったのもフランスだった。ルイ・ヴィトンのモノグラム柄が薩摩藩、島津家の家紋を参考にしたものであることも、すでに広く知られている。

かたくなどころか、ひょっとしたら彼らは日本人以上に高い柔軟性や許容力を持ち合わせていて、いいものは進んで取り入れようしているのではないか。そんなふうに考えを改められたのも、民泊経験があったからだと思っている。たまたまいい家庭に恵まれたからと、いわれるかもしれない。だが、その後に知り合うフランス人たちの多くは、互いに理解しようと努力する人が多かったように思う。

実は、この話を思い出したのはルノー・キャプチャー・ハイブリッドのステアリングを握ったからだった。BEV(バッテリーEV)一択の開発姿勢を見せる欧州勢にあって、唯一のストロングハイブリッドを敢えて投入してきた、その本音はどこになるのか? その出来ぐあいも含めて、なんと気になる存在なのである。

F1テクノロジーでキビキビ感が光るハイブリッドシステム

欧州委員会がCO2削減のため、2035年には内燃機関車の販売を禁止することを可決した一方で、その目標の実現は、あまりに危うい社会情勢の上に掲げられていることはすでに説明する必要はないだろう。だからと言ってカーボンニュートラルに向けた歩みは止めるわけにはいかない。日本代表のトヨタは「マルチ戦略」で臨み、欧州代表のフォルクスワーゲン(以下VW)を始めとした勢力は、100%バッテリーで走行するBEV(電気自動車)を中心に置き、EU+イギリスでの普及率は約6%(2020年)である。その進捗が留まることはないだろう。

ルノーについては、5月には電気自動車の事業を分離する新会社の計画について、連合を組む日産自動車などに参画を求めていることを、スナール会長が明らかにしている。そしてアライアンスを組む3社連合をさらに強化したい考えも示している。一方でルノーが計画するEV新会社について「出資するかどうかを判断するような詳細の検討に至っていない」という現状がはっきりたしてきた。日産や三菱の日本側の事情なのかもしれないが、ルノー主導の事業が一気に進むかは不透明である。あまりに急激なBEVシフトはやはり現実的ではないという本音のようなものも見え隠れする。事実、BEVの流れをリードしてきた中国でもハイブリッドが「現実的である」という意見もある。

そんな状況下で投入されたキャプチャー・ハイブリッドは、先に登場している「アルカナ」や「ルーテシア」とともに、まさにそうした現実を証明する存在のように思えるのだ。目指すべきものと現実的で最良なる解決策とは違うというギャップを、いかにもフランス人らしい合理性と柔軟性と許容力を持って形にしたのがこのルノーのハイブリッドシステムではないだろうか。

一方で、そのシステムはエンジンで発電してモーターを回す日産方式でもなければ、エンジンとモーターの利点を活かしたトヨタ方式とも少し違っていた。エンジンにメインとサブの計2基のモーターを組み合わせた「ルノー独自」のハイブリッドユニットを開発。そのテクノロジーの基本にはF1テクノロジーが存分に活かされていた。

ルノーはレーシングカーにも広く使用されている「ドグクラッチ」を使い、シンプルでコンパクトなメカニズムでありながらも、エンジンとモーターとの切り替えをショックもロスも少ないパワー伝達を実現した。ドグクラッチの弱点でもある連結時の大きめのショックを解消した、画期的とも言えるハイブリッドシステムである。同時に、ステアリングを握る人にもクイックでダイレクト感のある「運転の楽しさ」という恩恵を与えてくれたのだ。

事実、町中でのキビキビとした走りはフランスのコンパクトハッチ的な軽快さがあり、なんとも楽しいのである。さらにワインディングに持ち込んだ際の、適切なギアをセレクトしながら心地よく加減速するフィールはライトウエイトスポーツ的でもある。そしてなにより嬉しくなるのは、フランス車のお家芸、「しなやかな足」がここでも健在だと言うこと。BEVもハイブリッドも重量物であるバッテリーを搭載することで、どうしてもサスペンションは硬くなり気味。おまけにタイヤもエコ志向となれば、少々のゴツゴツ感は許容範囲と納得する。だがキャプチャー・ハイブリッドの路面の起伏などに対するしなやかな対応力は「さすがフレンチ」と感心させられる。

それほどに良く出来たクルマではあるが、迎え撃つ日本車も強敵揃いであり、価格面でも優位にある。さらに低速時に少しばかりドッグクラッチの衝撃を感じた事が、日本の渋滞路でどのような影響として現れるか? まだ使い込んでみないと見えてこない部分があるのも事実である。フレンチブランドである事や欧州唯一のストロングハイブリッドであることだけでは、アドバンテージにはならない。そんな現実な問題をフランス人の柔軟性や合理性があれば解決できるのだろうなと、軽快なドライブを楽しみながらずっと考えていた。ルノーの新たな電動化に向けての道はBEV一色の欧州でどんな色になるのか? 楽しみになってきた。

短めのオーバーハングによって軽快感がより際立って見えるサイドデザイン。伸びやかなクロームラインによって生まれたフローティングルーフがエレガントさを強調。

このキュートなスタイルが映える市街地走行では、ゼロからの発進は100%EVモードでスルスルッと出て行く。カタログ上だが80%をEVモードでカバーできるという。

センターコンソールのモニター画面もドライバー側に向けられている「スマートコクピット」。ドライバーを中心に設計され、スイッチやディスプレイは人間工学に基づき、視認性・操作性に優れている。

質感の高さを感じさせるフライングセンターコンソールと機能美が魅力的なe-シフター。

フォーミュラのトランスミッションやエネルギーマネージメントの技術を取り入れて開発したルノー独自のハイブリッドシステムは全速度域で爽快なドライビングフィールを実現。

上質で快適なシートヒーター付フロントシートを備える。優れたサイドサポートとともに、快適性とホールド性を高次元で両立。アイポイントも高く、車両感覚も掴みやすい。

掛け心地のいいリアシートには前後に160mmスライドする機構が備わる。写真はもっとも後ろに下げた状態で足元にもゆとりがある。

5人乗車時でもスクエアでフラットな床のラゲッジルームを実現。フランス車らしく合理的で実用性が高い。

6:4分割可倒式リアシートを前方に倒すと、段差にほとんどない床の広々スペースが出現。

(スペック)
車両価格:3,890,000円~(レザーパッケージ)
(C5X シャインパック)
全長×全幅×全高=4,230×1,795×1,590mm
最小回転半径:5.4m
車重:1,420kg
駆動方式:FWD
エンジン:直列4気筒DOHC 1,597cc
最高出力:69kW(94PS)/5,600rpm
最大トルク:148Nm(15.1kgm)/3,600rpm
メインモーター
最高出力:36kW(49PS)/1,677-6,000rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgm)/200-1,677rpm
サブモーター
最高出力:15kW(20PS)/2,865-10,000rpm
最大トルク:50Nm(5.1kgm)/200-2,865rpm
WLTCモード燃費:22.8km/l
問い合わせ先:ルノーコール 0120-676-365

TEXT:佐藤篤司(AQ編集部)
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。


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