銀行口座の管理や各種手続き、カードの支払い方法など、なにかと利用することのある金融機関のカスタマーサポート。
そこで、CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. パワー ジャパンが、金融機関のカスタマーセンターの満足度について調査を行ったので、その概要をお伝えしよう。
J.D. パワー 2022年カスタマーセンターサポート総合満足度ランキング
全国系銀行5ブランドを対象に満足度調査を行なったところ第1位は、三井住友銀行(709ポイント)が獲得した。
「利用のしやすさ」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」、「問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高評価を得ている。続いて三菱UFJ銀行、りそな銀行が同点で2位となっていた。
コールセンターと有人チャットで待ち時間が増加して満足度は低下
本年の業界全体の総合満足度スコアは708ポイントで、前回調査(2021年11月発表)より-12ポイントの低下となった。
サポート機能別にみると、オペレーターによる対応が必要な「コールセンター」と「オペレーターによるチャットサポート(以下、「有人チャット」)」において低下が大きく、「有人チャット」は前年比-20ポイント、「コールセンター」は-17ポイントという結果に。
オペレーターとやりとりを開始するまでの待ち時間(※1)と満足度の関係をみると、コールセンター・有人チャットともに、待ち時間が「3分」を超えると満足度が大きく低下する傾向がみられている。
今回、満足度が大きく低下したコールセンターや有人チャットでは、オペレーターとやりとりを開始するまでに3分以上の待ち時間を要したという回答が前年から増加していることが確認できた。
他のサポート機能と比較すると、これらのサポート機能は早期解決が望まれており、すぐに問い合わせが開始できることへの顧客期待も大きいと考えられるため、待ち時間の増加が今回の満足度低下に大きく影響しているのではないかと推察される。
※1 コールセンター利用者は自動音声ガイドの操作を終えてからオペレーターにつながるまでの待ち時間。有人チャット利用者はオペレーターとチャットを開始できるようになるまでの待ち時間を聴取。
若年層で自己解決型チャネルの利用が進む一方、依然として主流はコールセンター
直近で利用したサポート機能をみると、オペレーターによる対応を必要としない自己解決型チャネル(「自動応答によるチャットサポート(AIチャットボット)」及び「FAQ(よくある質問)ページ」)は、若年層の利用率が前年より6ポイント増加し4割に上るものの、中・高年層での利用はさほど進まず2割台に留まっていることが明らかになった。
一方で、コールセンターの利用率については若年層においては前年から減少し約4割となっているものの、中年層は約6割、高年層では約7割と依然高い水準となっている。
若年層を中心に今後も自己解決型チャネルは利用拡大が見込まれるが、中・高年層にとっては依然としてコールセンターがカスタマーセンターサポートの主要チャネルとなっているようだ。
現在、コールセンター業界における深刻な人手不足が懸念されており、本調査でも待ち時間の増加や満足度の低下が確認されている。
自己解決型チャネルのより一層の利用促進や機能改善を図りながら、コールセンターの呼量削減・負荷軽減を実現し、カスタマーセンターサポート全体の満足度向上を図ることが求められている。
調査概要
実施期間:2022年8月初旬~中旬
調査方法:インターネット調査
調査対象:金融機関においてカスタマーセンターサポートを利用した人(20歳~74歳)
調査回答者数:全国系銀行部門:1,700人
関連情報:https://japan.jdpower.com/ja
構成/Ara