コロナ禍を経て、よりニーズが高まった空気清浄機。ウイルス以外にも、春や秋には花粉対策に活用し、夏はカビや湿気の匂いの除去、そしてこれからの冬には室温を下げずに換気・匂いを除去と1年中活躍する家電です。
ダイソンが新製品の開発にあたり、新たな除去ターゲットとして狙いを定めたのは、有害物質のホルムアルデヒド。その発生源は、室内だけでも木材製品、カーペット、洗浄剤、壁紙、ワニスなどの塗料などに可能性があります。ホルムアルデヒドの大きさは0.1ミクロンのサイズの粒子の500分の1サイズと言われており、一般的なフィルターでは捕集が難しい化学物質。
ダイソンのエレクトロニクス エンジニアのダイ ジン リー氏は、ステイホーム需要の増かで起きた自宅の改修や新しい家具の購入により、さらに屋内のホルムアルデヒド濃度が高まっている可能性があると指摘。
ダイソンではホルムアルデヒドの検知機能を空気清浄ファンに組み込んだ「Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehyde 加湿空気清浄機」(PH04)を販売しており、今回、これにさらに機能を追加した新製品「Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde 空気清浄ファン」を発表しました。
Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde 空気清浄ファン オープン価格(ダイソン公式ストア実売価格 9万2400円)
1台でヒーター・ファン・空気清浄機で通年出しておける便利家電
Dyson Purifier Hot+Cool Formaldehyde 空気清浄ファンは1台でヒーター、ファン、空気清浄機がセットになっており、複数台で分けていた機能をこれだけでこなせる家電です。
このモデルには固体ホルムアルデヒドセンサーを含む4つのセンサーを搭載し、独自のアルゴリズムによって空気の質を正確に診断、表示し、自動的に反応。 仕組みとしては本体に組み込まれたHEPA +活性炭フィルターが空気中のホルムアルデヒドを含むガスを捉え、0.1 ミ クロンの微粒子でも 99.95%除去。酸化分解触媒フィルターがホルム アルデヒドを分解し。Air Multiplierは、清浄したきれいな室内に循環させます。
本体に下部に配置されたHEPA フィルターは、200回以上のプリーツ加工が施されていて、延ばすとその長さは9m。折ってプリーツ状にすることで、同じスペース内に汚染物質を捕捉するための表面積を増やしています。
フィルターはHEPA フィルター以外にもカーボン、SCOのフィルターも搭載されていて、3つのフィルターを使うことであらゆる微粒子も除去することが可能になりました。
日本のHEPAフィルターはアルコール除菌するとウイルス除去力が半減!
発表会に関連して実施されたセミナーに登壇した国立大学法人電気通信大学の石垣 陽 特任准教授によると、夏や冬などの冷暖房を使っていて窓を開けての換気が難しい環境なら、HEPAフィルターを使ってのウイルス除去は約100%可能なので、ウイルス対策の切り札に。ただ、禁忌事項やHEPAフィルター使用をうたった怪しい製品には気を付ける必要があるといいます。
HEPAフィルターには大きく2種類、「物理的に粒子を捕集する」ものと「静電気でゴミを吸着する」ものがあります。そして、静電気でゴミを吸着する「静電HEPAフィルター」は、アルコールによって放電が発生して捕集性能が半分以下になるそうです。しかも、一度放電したフィルターは、ふたたび帯電することはないといいます。
「注意したいのが、アルコールでHEPAを消毒しないことです。フィルター部分をアルコールで消毒してしまうと、静電HEPAフィルターは放電してしまい、ウイルス除去の放電性能が半分以下になってしまいます。ただ、これは日本の規格での話で、EUでの規格に準拠しているダイソンの製品は含まれていません」(石垣氏)
ヨーロッパの規格(EN 1822 1)においては、HEPAフィルターは「粒径0.15μm前後に対して放電後の捕集効率99.95%以上」というのが要件。ヨーロッパ規格で基本的に物理タイプのHEPAフィルターを想定しており、アルコールによって「知らないうちに捕集効率が大きく落ちていた」という問題が生まれない。
ほかにも「なるべく首振りモードで使い、特定の人を風下に置かない」「窓や換気口の下は避ける」「怪しい広告や性能に惑わされない」ことが重要だと語りました。
発表会には出産を控えるモデルの福田萌子さんも登壇。出産に向けてダイソンの空気清浄機を2台目導入しているため、今回の話のなかには常々抱いていた疑問を解消できたと語っていました。
国立大学法人電気通信大学の石垣 陽 特任准教授(写真左)とモデルの福田萌子さん(写真右)
・Dyson
https://www.dyson.co.jp/
取材・文/北本祐子