生活者が直接触れることはないが、商品やサービスに大きな影響を与えているのが企業の物流だ。物流コストは価格に反映されるし、非効率な物流はCO2排出量を増やすなど、環境にも影響する。
そんな物流の改革に取り組むのがsouco社。古くからの倉庫業界に、スタートアップが持ち込んだ新しい仕組みとは?
その手があったか! 倉庫シェアリングの活用法とは?
「souco」は、BtoB倉庫シェアリングプラットフォーム。全国の倉庫業者の空きスペース情報を集約し、ユーザーである荷主企業のニーズに応じて保管サービスを提供する。
2022年現在、1500拠点以上の倉庫ネットワークを構築し、全国一律のわかりやすい料金体系を整える。1年未満の短期利用を中心に、ダンボール一箱からの小ロットでの倉庫利用を促進する。さらに、申込み手続き完了から最短3日で利用開始できるなど、フットワークよく保管スペースを使えるのがメリットだ。
「こんな使い方があるのか! と今でも驚かされる」というように、利用シーンは多様だ。
典型的なもののひとつが、急激に在庫を増やした小売事業者が、調整弁として利用するケース。例えば、コロナ禍でマスク需要が一気に増え、小売業者は大量に仕入れたものの、在庫の保管ができない。短期で利用でき、柔軟に広さも変えられるsoucoが重宝された。
また、全国的なアパレル事業者が、各地方にスペースを借りて物流コストを最適化した例もある。地方の小売店と首都圏の物流センターで在庫をやり取りしていたが、季節で商品が入れ替わるごとにかかる物流コストが大きい。
soucoなら地方に小ロットで在庫を保管でき、フレキシブルに入れ替えられる。
その他、オフィスの書類や機器を預けたい企業、店舗の什器を預けたい飲食企業、イベントの開催に合わせて短期で機材を預けたい事業者などが利用する。
また、2022年9月には、冷凍・冷蔵の保管荷物を段ボールで預けられるプランをスタート。おせちやクリスマスケーキ、うなぎなど、季節によるニーズの変動が大きい商品の保管ニーズに対応する。
業界の慣習と共存する新たなビジネスモデルを創出
従来は、倉庫のスペースが余っている一方で、その情報が共有されてこなかった。そのために、少ない荷物のために大きな倉庫を借りたり、余計な輸送が必要だったり、ひどい場合は在庫を廃棄しなければならないなど、さまざまなムダがうまれてきた。
背景には、大口・長期契約を前提とする倉庫業界の商慣習がある。小さなスペースが、短い期間空くことはあるが、倉庫事業者がそのために顧客を探す必要性は低い。
そこで、soucoは倉庫事業者の手間やリスクをなくすことで、業界に新たなビジネスモデルを持ち込んだ。
集客はsoucoがデジタルマーケティングを駆使し、ユーザーとの契約もsoucoが個別に結ぶ。ユーザーと倉庫事業者の間にsoucoが入ることで、両者の契約の手間を省き、ユーザーはワンストップで倉庫利用が可能となる。
もちろん、空いたスペースで収益が得られるのは、倉庫事業者のメリットになる。
ユーザーは、倉庫シェアリングを通して、輸送のムダや在庫のリスクを削減することで、利益を確保したり、商品を多様化したり、新たな領域へのチャレンジも可能。物流全体を最適化し、ビジネスをより自由にするのが倉庫シェアリングの本領だ。
取材・文/ソルバ!
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