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注目はコネクテッドテレビ広告!モバイルアプリトレンド2022から読み解く次世代アプリマーケティング

2022.11.02

モバイルマーケティング分析プラットフォームの「adjust(アジャスト)」は、『モバイルアプリトレンド 2022』日本版レポートの発表にあたり、「Liftoff Mobile」と合同でオンライン記者発表会を開催した。2021年から今年のモバイルアプリについて、ゲーム、Eコマース、フィンテック、マッチングアプリ、コネクテッドテレビ(CTV)といった各ジャンルがどのような動きを見せているのか最新データで解説。発表会は、アプリマーケティングに精通するAdjust日本ゼネラルマネージャーの佐々直紀さんとLiftoff Mobileシニアカントリーマネージャーの天野 耕太さんが登壇した。

Adjustの日本ゼネラルマネージャーの佐々直紀さんとLiftoff Mobileシニアカントリーマネージャーの天野 耕太さん。

モバイルアプリはコロナ禍時から引き続き好調が続く

日本のアプリ市場については、コロナ禍で生活習慣の変化が大きく影響して好調が続いているという。今回はゲーム、Eコマース、フィンティック、マッチングについてのデータが紹介された。「世界的傾向と同じだが、コロナ禍の2年間で日本のアプリ市場は急激に成長しました。全アプリでインストール数は19パーセントも伸びていますが、ゲームアプリに関するインストール数は突出していて52パーセントも伸びています。Eコマースは13パーセント、フィンティックは11パーセント、マッチングが4パーセントの伸びでした」(佐々さん)

ユーザーがアプリを起動したり見たりするセッション数(1接触=1セッション)については、日本では過去2年間でほぼすべてのアプリが伸びている。2021年は前年比23パーセント増という驚異的な数字を記録する右肩上がりで、2021年8月が過去2年間の最高値を記録。2022年上半期も前年比12パーセント増で、まだ増加傾向が続いており、しばらくこのトレンドは続きそうだという。1セッションでアプリをどのぐらい滞在して連続で使うかの時間については、やはりゲームジャンルが大きい。

「カテゴリー別のアプリ内滞在時間は、ゲームが突出して1セッションで26.46分。すべてのカテゴリー平均は14.93分なので、ゲームは10分以上も上回っています。ほかのジャンルの接触時間は、マッチングが14.4分、Eコマースが10.29分、フィンティックが4.43分でした。ゲームは1セッションで1時間も2時間もプレーするヘビーゲーマーもいるので、それが平均を押し上げています」(佐々さん)

モバイルゲームアプリはコロナ禍の動向と連動

ゲームアプリは、ユーザーがどのぐらい接触しているかのセッション数の推移については、コロナ禍の世の中の動きに比例して影響を受けているが、ロングスパンで見るとゲーム自体の利用は増え続けているという。

「2020年春先の最初の緊急事態宣言が出されたところで最初の山があって、2021年年明けの2度目の緊急事態宣言でもユーザーの可処分時間が増えてゲームの利用も大きく伸びている。秋に宣言が解除されますが、その後のオミクロン株などの流行で再びピークを迎えて、直近の世の中が動き出したところでユーザーのアプリ起動とセッション数がやや減っています」(天野さん)

ゲームをジャンル別にみると、セッション数に大きく貢献しているのはRPG、アクション、パズルなどで、ユーザーが新しく利用し始めるゲームの新規ダウンロードでは、簡単に遊べて種類が多いハイパーカジュアルが突出している。RPGなどは長寿のゲームを遊び続ける傾向があるが、ハイパーカジュアルは各社が次々と新規タイトルを出しており、コロナ禍のすきま時間で簡単に遊べるものをいろいろ試しながらプレーするユーザーが多いようだ。

「OS別のアプリシェアではiOSが67パーセント、Androidが33パーセントで日本のシェア通りだと思います。日本では特にiOSを意識してビジネスをする必要がありますが、アップルの個人情報保護法関連のアップデートもあり、ユーザー獲得の必要がある各企業は対応に苦慮したタイミングでもあります」(天野さん)

カジュアルゲームを新しくダウンロードしてもらうための獲得コストであるインストール単価(CPI)の日本の平均は5.46ドル。一般的にRPGなどの長く遊ぶゲームやゲームに取り掛かるのに大変なタイトルは獲得コストが高く、手軽に遊べるハイパーカジュアルは安くなる傾向がある。カジュアルゲームは比較的安く獲得できるジャンルだが、グローバル市場ではカジュアルゲームのインストール単価は1ドル台なので、日本は獲得コストが高いといえる。「グローバルなゲームアプリの企業にとって日本は単価的に少しハードルが高い市場で、日本市場の企業は海外展開では少しコストが安くできるといえます」(天野さん)

ゲームアプリの継続率は、グローバル、APAC全体、日本を比較すると日本はやや低い傾向。一方でマネタイズについては、最近は広告を使ったものが主流で、多くのカジュアルゲームがゲーム内課金と広告掲載のハイブリッドで収益を上げているという。

Eコマースアプリはコロナ禍でユーザーが利便性を実感

コロナ禍でユーザー数と使用頻度が増えたEコマースアプリ。店舗に行けないことで、ECがアプリだけでなくウェブも含めて伸びた。特にそれまで利用していなかったユーザーが新たに使い始めたことは大きかったようだ。Eコマースアプリのカテゴリー別では、大手プラットフォームの楽天市場やCtoCのメルカリなどを含む「マーケットプレイス」が75パーセントで比率が大きい。

「緊急事態宣言が解除されて世の中が動き出してもEコマースアプリは全体的に好調で、今年前半も前年比7パーセントも増加しています。一度便利さを覚えると店にも行きますが、各Eコマースを便利だと感じて使い続けてユーザーがさらに増えています。Eコマースアプリの継続率は、グローバルよりも日本はやや少なめで1日目の継続率は17パーセント。海外の企業が継続率のためにどんな施策を行っているか、事例をみるのはマーケッターとして意味があるかも知れません」(天野さん)

地銀アプリなどを中心に今後注目のファンティックアプリ

スマホ決済やバンキングなどのフィンティックアプリについては、コロナ禍で消費者が非接触型の決済方法を選ぶようになり、日本政府もキャッシュレス決済を推進。2025年までにアプリの普及率を40パーセントにする目標を掲げている。そういう背景もあり、フィンテックアプリは、2020年から2021年にかけて47パーセントほど増加。好調なトレンドは継続していきそうだという。ジャンル別では、上位3位は「スマホ決済」が73パーセント、「バンキング」が15パーセント、「仮想通貨」が12パーセントだった。

「フィンテックアプリには、株取引や家計簿アプリも含まれるが、そういったものよりもスマホ決済アプリが大きすぎるが、それぐらい浸透しているということでしょう。今後は、バンキングアプリが注目です。最近は日本でも銀行のバンキングアプリがAdjustのような計測ツールを導入するのがブームになっています。特に地銀は計測ツールをしっかり活用して、各支店からインストールのユーザー数を増やそうとする動きやアプリを使ってユーザーに銀行を利用してもらう動きが高まっています。サービスが充実してくれば、日本のアプリ継続率も底上げされていくと思います」(佐々さん)

「メガバンクは以前からアプリに取り組んでいましたが、最近は通帳アプリや口座開設だけのアプリなど複数のアプリを展開しています。銀行のアプリ重視の傾向が続けば、伸びも続いていくと思います。アメリカではフィンテックアプリは、資産管理アプリや海外送金アプリなど数多くあります。日本の状況を見ていても、今後はバンキングだけじゃなくファンティック業界全体でアプリは増えていきそうです」(天野さん)

マッチングアプリはオンオフのハイブリッドで利用されそう

すでに一般化して着実に利用者を増やしているマッチングアプリは、今回のデータでは2021年上半期と2020年と比較して7パーセント増加し、2022年上半期は前年比13パーセントの増加だった。マッチングアプリは季節による変動が激しく、各社が暖かくなる季節からプロモーションを強化し、コロナ禍以前は季節を要因にユーザーは変動していた。それがコロナ禍では、「人に出会えない」、「マッチしても直接会うことができない」などの理由から自宅でメッセージやビデオチャットの相手が欲しいなどといった行動やニーズに変化が生まれたという。

「各社は動向データを吸い取って、サービス内容の変更や機能追加などの策を行っていますが、セッション数は単純に会えないから減っていくではなく、新たな需要を取り込んで成長してきたと言えます。直近で人に会う機会が増えてもコロナ禍で生まれたニーズは残るだろうし、利用はオンラインとオフラインのハイブリッドになりそうです」(天野さん)

ちなみにマッチングアプリのインストール単価(CPI)は平均5.46ドルだが、マッチングアプリの場合は、提供元はユーザー情報を入力してアプリ登録したところまできて顧客が利用し始めたと認識する。そのためのアプリ登録単価(CPA)は平均9.92ドルになる。「CPIは2022年4月あたりが最高値だったが、その後で登録単価を含めて下がっています。基本的な使い方の人に会いたいということが、人の動きとともに増えているのでユーザーを獲得しやすくなっているといえます」(天野さん)

今後の注目はコネクテッドテレビ広告

ネット接続できるテレビでさまざまな動画を見る時に出るネット広告もいまや定着している感はある。「TVer」や「Ameba」など動画配信サービスをテレビの大画面で視聴する人も多いが、最近ではNetfilxも広告付きサービスを発表。コネクテッドテレビは大きな広告市場になると予測されている。今回はデータ的な解説はなかったが、注目点などが紹介された。

「コネクテッド広告の市場規模は、日本では2021年が175億円、今年は300億円近くまで行きそうで、2024年には558億円まで伸びると言われています。ただ米国では2021年に2兆円ぐらいに市場規模が拡大して爆発的に伸びており、すでに日本とは100倍以上の開きがあります。いまのユーザーは地上波テレビをリアルタイムで番組を見ることはありつつもオンデマンドで好きなものを好きなタイミングで見るようになっています。テレビの大スクリーンで見ようという傾向もあって、コネクテッドテレビが普及する要因だと思います」(佐々さん)

コネクテッドテレビには3つの特徴があるという。まず圧倒的なリーチ数。「地上波テレビもまだ強いですが、ネットにつながっているテレビ端末の普及がものすごく拡大しており、すでに人口の4分の1にリーチできます」(佐々さん)

次にデジタルなのである程度のターゲッティングができること。各ストリーミングサービス事業者によるユーザーデータがあり、そういったものを活用すれば、ある程度の属性を狙った広告が打てる。そしてデジタルなので広告が表示された時のさまざまなデータを計測できること。計測したデータとアプリとマッチングすることで、その広告がどのぐらい貢献したかある程度わかるようになるという。

さらにコネクテッドテレビを見ている時の特徴として、「デュアルスクリーニング」と「インターアクティビティ」というキーワードがある。「デュアルスクリーニング」はテレビと一緒にスマホなどを使っていること。世界のユーザーの75パーセント以上がコネクテッドテレビを見ながら手が届く範囲にスマートフォンを置いているという。テレビを見て気になったものを検索し、アプリストアに飛んですぐにアプリをインストールする。スマホで動画視聴している時に、それを中断してアプリをダウンロードさせるのは難しいが、コネクテッドテレビを見ながらスマホでインストールはやりやすい。さらにコネクテッドテレビの広告は一時停止ができるので、QRコードなどを工夫して活用することでアプリインストールを増やす施策もできそうだという。

コネクテッドテレビ広告の成功事例については、いまはテレビCMを修正したものが多く、まだ試行錯誤の最中のようだ。ターゲットをある程度は狙えるが、幅広い視聴者に向けて今まで触れていなかったユーザーを刈り取っていく使い方が効果を発揮しそうだ。「日本ではクリエイティブのバリエーションが少ないが、欧米では動画を一時停止した時に出る広告やメニュー画面上に広告があって、あらかじめユーザーが選択できるようになっているものがある。日本では広告表示のさせ方もこれから発展させていく必要がある」(佐々さん)

コロナ禍でニーズが高まったアプリは、その利便さで多くのユーザーを獲得した。これから人が動き始めることで社会がまた変化しそうだが、その生活習慣にあったアプリは今後も伸びていきそうだ。

Adjust/日本ゼネラルマネージャー・佐々直紀さん
PROFILE:2000年4月からデジタルマーケティングに携わり、三井物産グループのオンラインモール「キュリオシティ」からデジタルマーケティングに参加し、以降は「Yahoo! ショッピング」、「ビカム」、「Vizury」などを経て2016年1月からアプリ計測ツールの「TUNE」の日本法人の立ち上げメンバーとして、本格的にアプリ計測分野に参入。2016年11月よりAdjustに参画し、現在はゼネラルマネージャーとしてAdjustの日本オフィスを統括。「Adjustは、日本シェア1位のモバイル計測パートナー。本社はドイツ・ベルリンで日本支社は立ち上げから9年目です。Adjustは、「MEASURE(アトリビューション計測)」、「ANALYTICS(広告効果・ユーザーの利用状況分析)」、「AUTOMATE(業務の効率化・自動化ツール)」、「PROTECT(アドフラウド対策としてプロテクト)」の4つを柱に展開。Adjustの国内マーケットシェアは、2022年6月1日調査では、アプリのトップセールス100の中で純国産は67アプリでしたが、そのうちの65アプリがMMP計測SDKを導入済みで、その中で57アプリがAdjustSDKを採用しています」

Liftoff Mobile/日本・韓国代表シニアカントリーマネージャー・天野耕太さん
PROFILE:ウェブ・モバイル広告業界で長く従事し、20年以上のキャリアを持つ。ガラケーのベンチャー、Overture、ヤフーで配信メディアネットワーク拡大に寄与し、その後でインド発アドテク企業InMobiに参画して黎明期のスマートフォン広告業界で日本事業立ち上げを経験。2012年よりフランスのCriteoに入社し、2017年より「Liftoff」でカントリーマネージャーに就任。日本で立ち上げを経験し、現在は日本と韓国のビジネスを統括。「Liftoffは、設立10周年を迎えるシリコンバレー発のモバイルアプリのマーケティングおよびリターゲティングプラットフォームです。これまでは独立系スタートアップとして成長を続けていたが、業界再編の中で1年前にモバイルベンチャーのVungle(バングル)と合併して、リブランディングして新生Liftoffとして生まれ変わりました。カリフォルニア州に本社を置いて、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、東京、韓国、パリに支社を持ち、世界有数のアプリ配信会社やブランドと提携しています」

構成/久村竜二


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