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リズを経て、ボリスを退陣に追い込んだスナクへ、デジャヴ感漂う英首相の交代劇

2022.10.30

■連載/Londonトレンド通信

ボリス・ジョンソン首相退陣の引き金を引いたのがスナクだった

10月24日にイギリスの首相に選出されたリシ・スナクが、翌日にはチャールズ王の承認も受けた。リズ・トラス前首相は、亡くなる2日前というぎりぎりでエリザベス女王による承認だったから、新王による初承認だ。

去っていった女王に前首相、在位70年だったエリザベス女王の逝去はまさに1つの時代が終わった感があったが、トラス前首相の方は在任期間6週間であっという間だった。

こんなことなら、最初からスナクにしとけば良かったのに。

そもそも、ボリス・ジョンソン首相退陣の引き金を引いたのがスナクだった。スキャンダル続きのボリスを容認できないとして財務相を辞任、同時期サジド・ジャビド保健・社会福祉相も辞任し、その後、辞任する政権幹部が続出したことでボリスも辞任に追い込まれた。

だが、ボリスに引導を渡した勢いで、首相まで上り詰めるかと思いきや、そうはならなかった。次の首相の最終候補まで残ったが、トラスに敗れた。

そして、今回、そのトラスに代わって首相になったのだが、トラスはスナクが追い落としたわけではなく、言わば自滅だ。

トラス前首相は、財務相に任命したクワシ・クワーテンとともに大型減税を打ち出すも、金融市場混乱でクワーテンを解任して、新たにジェレミー・ハントを財務相に任命。

ハントは次々と各種減税案撤廃を発表、公約として減税を掲げていたトラスは「自分は間違ったことをした」として辞任した。

極端に在任期間の短い財務相を作り、自身も在任期間の短い首相となってしまったトラスだが、この非常時に、急に首相になったのだから気の毒でもある。コロナにロシアのウクライナ侵攻が続き、何から何まで値上がりで国民生活をどうするのか、そうそう上手い解決策など誰が首相でもないと思う。

そう言えば、ボリスの前の首相だったテリーザ・メイにもほぼ同じ感想を抱いたのだった。

あの時も、今回の首相交代劇と似た構図だった。EU離脱となったことで、EUにとどまることを押していたデヴィッド・キャメロンが責任を取る形で首相を辞任。

離脱派を率いたのがボリスで、次の首相候補と目されたが、同じ離脱派だったマイケル・ゴーヴからの首相不適格発言もあり、結局、メイになった。

首相辞任に追い込んだ張本人が、女性首相を挟んで次の首相になるまでは同じ

そして、メイ首相は、離脱交渉が暗礁に乗り上げ、辞任となった。急に首相になり、難しいEU離脱を進める任についたメイ首相が気の毒だった。次に首相となったのがボリスだ。

首相を辞任に追い込んだ張本人が、女性首相を挟んで、次の首相になったところまでは同じだが、決定直後から再投票を望む声まで上がるほど反対が多かった離脱で、そこまで歓迎されない首相だったボリスに、アジア系初の英首相として、マーガレット・サッチャーが女性初の英首相になった時のような喜ばれ方はするスナクという違いはある。

それにしても、ボリスだ。国会議員となるも度重なる女性問題で評判を落としたと思ったら、ロンドン市長として復活、続いて国会議員に返り咲き、上述のようにEU離脱派を勝利させ、首相にまでなるも、またスキャンダルで辞任したのに、トラス辞任後、ボリスを次の首相に推す人が現れたのには驚いた。さすがに、それは実現せず、ホリデーを途中で切り上げ、イギリスに戻ったボリスの骨折り損となった。

いろいろやらかしても消えずにいるのはなぜだろう。そんな興味からか、首相時代のボリスがドラマ化され、名優ケネス・ブラナーがそっくりに演じている。

文/山口ゆかり ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。
http://eigauk.com


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