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アルミ製カップ、環境対応ストロー、シェアタクシー、加速するスポーツスタジアムのサステイナブルな進化

2022.11.09

サッカーや野球、バスケットボールなどのスポーツスタジアムにおけるサスティナブルな取り組みが活発化している。場内で生まれる大量のプラスチックごみや、車による来場者がもたらす排気ガスやCO2排出などの課題が焦点だ。そのスポーツスタジアムを起点とした3つの取り組みを紹介。詳細や、スタジアム来場者及び社会にもたらしたい影響、今後の展望について尋ねた。

1.アルバルク東京×東洋製罐グループ

●どんな取り組み?

プロバスケットボールチーム「アルバルク東京」は、2021-2022シーズンより社会的責任プロジェクト「ALVARK Will」を立ち上げ、地域やコミュニティの抱える課題やニーズに応える活動を行っているが、環境問題に対しても、アリーナでのプラスチックごみ削減の活動などを積極的に推進している。

先日は、容器包装の製造・開発事業等を営む東洋製罐グループと、SDGsパートナー契約を締結。包装容器の資源循環にチャレンジする「Re-CUPプロジェクト」を始動し、様々な取り組みや実証実験を実施している。

東洋製罐グループはこれまで「ごみ」となっていたアリーナで利用する飲料カップを、再生・再利用できる資源に変えるため、カップ洗浄機やアルミカップの開発を進めてきた。今回、その知見と技術を活かし、アルバルク東京では2022-2023シーズンから次の2つを導入した。

・カップ洗浄機「Re-CUP WASHER」

紙コップを“可燃ごみ”から“循環資源”へと変えるための仕組み。残しや汚れなどの残渣があることで、アリーナでの飲料用紙コップは産業廃棄物(可燃ごみ)となるが、利用者が自身で“洗う”というワンアクションを行うことで、再生紙原料に生まれ変わることができる。

・リサイクル可能な飲料用アルミカップ

アルミカップは、国内で96.6%のリサイクル率を誇るアルミ缶と同じ素材でできているため、回収すればまたアルミ素材へと生まれ変わることができるという。アルミ再生地金は新地金に比べ、生産時のCO2排出量を97%削減※1することができるそうだ。先日のホーム開幕戦ではアルミカップ入りのビールを販売した。回収時には紙カップ同様に洗浄機での洗浄を促す。

※1 アルミ1kg生産するのに排出されるCO2量(単位:kg- CO2)
(出典:(社)日本アルミニウム協会「アルミニウム新地金および展伸材用再生地金のLCIデータの概要」)

●取り組みについての解説

回答者:東洋製罐グループホールディングス株式会社 イノベーション推進室 三木逸平氏

「東洋製罐グループは100年以上様々な包装容器をつくり、“包むこと”に真剣に向き合ってきました。そして、“包むこと”と同じくらい真剣に向き合っているのが“捨てること”です。自動販売機の横にあるリサイクルボックスの設置推進や、小型飲料ペットボトルのリサイクルスキームの確立など、私たちが作った容器を分別・回収・リサイクルできる仕組みづくりも行ってまいりました。

そして現在は、容器がまた同じ容器へと生まれ変わる『Package to Package』の実現を目指しています。アルミカップは私たちがつくる飲料缶と同じ素材を用いることで、またアルミカップや缶に生まれ変わります。紙コップも、現在はほとんどが燃えるごみになり、回収されてもトイレットペーパーやティッシュペーパーに再生されることが多いですが、お客様に洗浄いただくシステムを導入することでまた紙コップへと循環できるよう、取り組んでいます」

●社会にもたらしたい影響は?

「資源循環に重要なのは、製品そのものの設計や、回収インフラ、再生する技術、販売網など、いろいろな要素がありますが、『人の行動』も大きな役割を担います。日本では缶は缶、びんはびん、ペットボトルはペットボトルと、分別して捨てることが“当たり前”になっていますが、この“当たり前”を実現するのはとても大変なことです。

本取り組みを通して『紙コップはサッと洗って分けて回収する』という行動や、従来の使い捨てカップではなく、再利用・循環できるアルミカップが“当たり前” なってくれることを願っています。B.LEAGUE(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)の中でも、社会貢献や循環型社会の実現に積極的に取り組んでいるアルバルク東京と一緒に、持続可能なアリーナでの資源循環を目指します」

●今後の展望

「初年度は、アルミカップやカップ洗浄機は目新しく映ると思います。まずは認知、利用していただき、慣れて、無意識になっていくまで、継続して取り組みを続けていくことが重要だと考えています。使っていただく皆様と対話をしながら、デザインや設置場所、回収スキームを常にアップデートできればと思っております。

この取り組みが注目され、いろいろなところで広がっていくことは嬉しいことではありますが、最終的には誰からも注目されなくなり、生活になじんでいくことが私たちの本当の成功だと考えています。これからもアルバルク東京と一緒に次世代の“当たり前”を創っていきたいと思います」

2.東北楽天ゴールデンイーグルスの「楽天生命パーク宮城」

●どんな取り組み?

プロ野球チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス」を運営する楽天野球団は、本拠地である「楽天生命パーク宮城」を日本一のサステナブル・スタジアムにすることを目指すと宣言している。

2022年4月1日からは、自社の事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来の電力へと切り替え、電力使用によって排出されるすべてのCO2削減を実現。また、プラスチック使用量削減の一環として、今シーズンからスタジアムで提供するビールカップ、ストロー、スプーンおよびフォークを、環境対応素材配合のものへと切り替えた。

環境対応素材を配合したビールカップとエコ素材のストロー、スプーン、フォーク (C)Rakuten Eagles

●取り組みについての解説

回答者:株式会社楽天野球団 スタジアム部 部長 サステナビリティ担当  山縣 大介氏

「公共性の高いプロ野球チームの運営に携わる企業として、プラスチック使用量削減という環境課題に対して取り組むロールモデルとなることは、意義があることだと考えています。しかしながら、こうしたサステナビリティの取り組みは、素材が変わっただけ、手に取っただけでは変化が分かりにくいという面が少なからずあるもので、今シーズンに実施した『サステナブルデー』等のイベントを通じて可視化し、発信することで、お客様に身近に感じていただけるようなアプローチも併せて行っています」

●社会にもたらしたい影響は?

「スタジアムは、多くのファンの皆様や地域の皆様が訪れる大規模イベント(ホームゲーム)の会場です。イベント主催者として、環境に配慮した試合運営およびスタジアム運営を推進していくことで、ご来場いただく皆様にサステナビリティを身近に感じていただいたり、新たな気付きを得ていただいたりするきっかけとなるだけでなく、さらには意識変容や行動変容にもつながっていけばと思っています」

●今後の展望

「今年は、日本一のサステナブル・スタジアムを目指すという宣言を通じ、環境・社会・地域の3つのテーマを軸を据え、サステナビリティの取り組みにおいて進むべき道標を明らかにしました。今後も、楽天野球団らしい新たな施策を生み出していき、野球を通じた社会課題解決にひたむきに取り組んでまいります」

3.名古屋グランパス×トヨタ・コニック・プロ/NearMe

●どんな取り組み?

プロサッカーチーム「名古屋グランパス」のホームスタジアムである豊田スタジアムでは2022年9月17日、10月1日、10月29日の名古屋グランパスホームゲームに「スタジアムシェアタクシー」の実証実験を実施。駅からスタジアムまでのルートにシェアタクシーを運行することにより、スタジアム周辺の渋滞によるCO2排出や排気ガスによる環境問題、交通事故など様々な地域課題解決を目指す。

実証実験は、トヨタグループ傘下で広告/マーケティング・事業開発/コンサルティングを展開するトヨタ・コニック・プロ株式会社と、MaaS事業を手掛けるスタートアップである株式会社NearMeが実施。乗り物をシェアすることによって、ドアツードアによる移動体験を提供するNearMeのサービス「スマートシャトル」を利用する。来場者のうち、希望者同士がタクシーをシェアすることによって、「おトクに、快適に」直行することを実現する。

●取り組みについての解説

回答者:トヨタ・コニック・プロ株式会社 ビジネスプロデュース本部 佐藤 萌里子氏

「スタジアムシェアタクシーは、豊田スタジアムの最寄り駅である豊田市駅、そして自宅周辺などのお好きな地点から豊田スタジアム間の移動をタクシーの相乗りにより、お得にスムーズに、ダイレクトなアクセス手段を提供するサービスです。

名古屋グランパスホームゲーム来場者の約6割はマイカー利用であり、スタジアム周辺の交通渋滞や駐車場枯渇といった地域の交通課題や、マイカー利用に起因するCO2・排気ガス排出という環境課題も顕在化しています。

また、豊田スタジアムまでは、公共機関を利用する場合、数回の乗り換えが発生することが多く、豊田市駅からは徒歩15分ほどかかります。そのため、シェアタクシーサービス提供により、上記のような地域交通・環境課題解決はもちろん、来場者の利便性向上に大いに貢献できるのではと考え、本サービスをスタートしました」

●社会にもたらしたい影響は?

「相乗りタクシーは、昨年11月に国土交通省より認可された新しい移動手段です。1台を複数人数でシェアするので、エコノミーかつエコロジーな取組みとして受け入れられ、CO2の削減や交通事故逓減、道路渋滞緩和に役立ってほしいと思っています。

さらには、本取組みを通じて、希望者同士で乗り物をシェアする文化が身近なものとして根付くことで、タクシー事業者のビジネスの拡大や様々な地域交通課題の解決に繋がり、SDGsで掲げられている『11.住み続けられるまちづくりを』にも貢献できるのではと考えております。

これまでの2回の実証実験を通じて、徐々に認知・利用者も拡大し、利用ニーズの確認をできました。ホームサポーターはもちろん、遠方から来訪されるアウェイサポーターやご年配の方など、移動に多少の不便さを感じている方からの評価、利用意向も非常に高く、あらゆる観戦、鑑賞をもっと身近にすることを機としたさらなるエンタテイメント文化活性化にもつながる可能性を感じています」

●今後の展望

「トヨタ・コニック・プロは、トヨタグループとして、全国各地のトヨタ販売店や、自治体、地域企業、様々なテクノロジー企業等のパートナー様との共創による地域課題の解決に取り組んでいます。今回ご一緒したNearMe社は、移動ニーズの最適マッチングというテクノロジーを用いた、バスとタクシーの“いいとこどり”の新たなドアツードア移動サービスによる移動問題解決という点で、想いが重なりました。今後も2社でタッグを組み、地域活性・地域課題解決に通じるあらゆるソリューション提供をともに目指してまいります。

第一歩として、まずはスタジアムシェアタクシーの2023年シーズン中の実導入を目指しています。その後はJリーグ、豊田スタジアム起点はもちろん、他のスポーツ観戦やコンサートなどの各種イベントへの拡張も目指しています。将来的には、高齢者の移動問題解決や観光者の利便性向上といった、各地域に根付いたサービス拡張の視野にも入れており、『住み続けられるまちづくり』の一助となることを目指しています」

スポーツスタジアムは、多くの人が一堂に会する、エキサイティングな場所。そんな魅力ある場所だからこそ、そこへ集う一人一人がサスティナブルな意識を持つことで、よりエキサイティングなスポーツ観戦が実現するのではないか。そんなことを3つの事例から感じることができた。

取材・文/石原亜香利


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