自動車産業の約5割がEV普及を「マイナス」と回答
「脱炭素化」を目指す動きが世界的に加速している。日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを宣言しており、7月27日に脱炭素関連政策を推進する「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」の初会合を開いた。
会議ではGX実現に向けて、今後10年間で官民合わせて150兆円の投資を実現する方針が示された。他方、脱炭素の実現に向けた一つの戦略として、政府は2035年までに新車販売で電動車100%の実現を表明している。
こうした動きへの対応はビジネスチャンスとなる一方で、対応が遅れた場合は事業にマイナスの影響をもたらすことが危惧されている。そこで、帝国データバンクは、脱炭素社会に向けた企業への影響についてアンケート調査を実施した。
脱炭素社会の進展、金融業界ではプラス、ガソリンスタンドや自動車小売業ではマイナスの影響が目立つ
脱炭素社会の進展は、今後の自社の事業にどのような影響があるか尋ねたところ、「プラスの影響」があるとした企業は14.0%と、2021年に実施した同様の調査から0.8ポイント減となった。
一方、「マイナスの影響」とした企業は同3.4ポイント増の19.5%となり、マイナスの影響がある企業はプラス影響がある企業を5.5ポイント上回っている。他方、「影響はない」は、1.2ポイント減の33.8%であった。
脱炭素社会の進展により「プラスの影響」があると考えている企業を主な業種別にみると、「金融」が23.3%。また、「農・林・水産」(22.6%)や「電気機械製造」(22.3%)なども2割超という結果に。
一方、「マイナスの影響」 では、ガソリンスタンドなどを含む「専門商品小売」(55.8%)が全体(19.5%)を36.3ポイント上回った。
また「自動車・同部品小売」(42.2%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(35.8%)、「運輸・倉庫」(35.5%)は全体より15ポイント以上高くなっている。
企業からは、「脱炭素を踏まえた融資商品の設定など、取り組みが進みつつある」(金融、和歌山県)といった声が聞かれた一方、「脱炭素社会が進むにつれて、実際にどのような設備投資が必要になるかが不透明であり、設備投資を行う際の資金面においても不安であり課題でもある」(ガソリンスタンド、北海道)といった、先行きに対する不安感を述べる意見も聞かれた。
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