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最低限知っておきたい「インボイス制度」基本のき

2022.10.29

多くの事業者や経理担当者にとって人ごとではない「インボイス制度」

最近になってよく聞く英単語に「インボイス」がある。「invoice」を英和辞典で調べると、明細書を兼ねた請求書といった意味。これが日本では、「適格請求書」となり、来年10月から施行される「インボイス制度」に必要な請求書の書式を指す。

多くの事業者や経理担当者にとって、人ごとではないこの新制度。スタートは1年先といっても、「適格請求書発行事業者登録番号」取得のための申請期限は来年の3月末。何かと忙しい年度末と重なるため、早め早めの準備が肝要だ。

今回は、制度のことは知っているが、具体的な知識はまだという方に向け、現時点でこれだけは知っておきたい基本のキを、税理士で『60分でわかる! インボイス&消費税 超入門』(技術評論社)の著者である土屋裕昭さんに伺った。

■インボイス制度が導入される理由

ーー自分もフリーランス(個人事業主)で、インボイス制度は無視できない存在ですが、そもそもこの制度が導入された理由や意図は何でしょうか?

最大の理由は、消費税の税収を増やすためです。これまで基準期間の課税売上高が一定額以下などの要件を満たす事業者は、免税事業者として消費税の納税を免除されてきました。

一方で、免税事業者も売上先(買手)や消費者に消費税をのせて請求することは認められています。これは「益税」とよばれています。

本来、消費税は「預かった消費税から、仕入等かかった消費税を引いた金額」を納税するものです。例えば税込7,700円で仕入れた商品を、税込11,000円で販売したとします。

課税事業者なら「預かった消費税1,000円-仕入等に係った消費税700円」の差額、300円を納税しますが、免税事業者はこの差額を自らの利益として売上に含めることができるのです。

免税事業者が課税事業者になれば、益税分が納税されますから、国としては効率よく税収を増やせます。そのため「免税事業者から課税事業者への転換を促していこう」というのがインボイス制度導入の意図と言えます。

■登録申請しなくても不利にならないケースがある

ーーご著書には、「インボイス制度の登録申請を『する』『しない』は事業者の任意」という項目がありますね。任意といっても、事業者によって、しないと不利になるケース、しなくても特に関係ない場合があるようですが、する・しないを判断するポイントを教えてください。

課税事業者は、原則としてインボイス制度の登録が必須と考えてよいでしょう。問題となるのは免税事業者です。判断の基準は、売上先、つまり自分が請求書や領収書を出す相手が、原則課税の課税事業者かどうかです。

消費税の納税額算出の仕組みを簡単に説明しましたが、インボイス制度では請求書がインボイス=適格請求書でないと「仕入等にかかった消費税」として認めらません。

課税事業者にとって未登録の事業者との取引は消費税額の負担増になるので、未登録事業者との取引を敬遠したり、消費税分の値引きを要求されたりするかもしれません。ただし、専門職など他に代替のきかない場合は、影響ないかもしれません。

一方で、売上先が一般消費者、BtoCの事業なら登録しなくてもあまり影響はないでしょう。学習塾や歯科医などの領収書が経費精算の対象になるケースはほとんどないからです。ただし、高級レストランなどビジネス客がメインの場合は売上の割合によって登録の検討対象となるでしょう。

■すでに始まっている登録受付

ーー直近では「適格請求書発行事業者登録番号」の取得という作業があります。このために必要な準備書類や段取りについて教えてください。

適格請求書発行事業者への登録は、すでに始まっています。原則として2023年3月31日までに、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を郵送するか、e-Taxで手続きをします。

登録申請書は国税庁のサイトからダウンロードできます。申請後は、税務署による審査を経て、1か月程度で登録番号が記載された登録通知書が送られてきます。

ちなみにe-Taxによる手続きを初めて行う場合は、事前に利用者認識番号と暗証番号、電子証明書の取得が必要です。

適格請求書発行事業者に登録すると、自動的に課税事業者となります。したがってそれまで免税事業者だった場合は、「原則課税」か「簡易課税」かを選択し、簡易課税を選ぶなら「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。

また、個人事業主の場合は適格請求書発行事業者公表サイトに「所在地や屋号も公表するか」、「外国人の通称や旧姓を併記するか」などの選択によって提出しなければならない書類が加わります。

■制度スタート後の経理作業の増加に備えよ

ーー登録番号を取得してから、制度が開始される来年10月までの間、どのような心構えや準備作業をしておくべきでしょうか?

経理部門の担当者が心がける点は2つ。適格請求書の発行不備で売上先に迷惑を掛けないことと、受け取った適格請求書の不備に気づかずに仕入税額控除が受けられないケースをなくすことです。

インボイスの発行側として適格請求書の要件を満たした書式のインボイスを準備するのは当然ですが、受けとる側としても購買や仕入部門の担当者とともに正しいインボイス制度の知識をつけて、現場に徹底させます。

また、インボイス制度の開始に伴って経理作業の増加も予想されます。まず、受け取った請求書が本当に適格請求書なのかの確認が必要になります。

また、インボイスは発行する側、受け取った側、双方に7年間の保存義務がありますから、関連書類の仕分けや保管に相当な労力と時間が必要になるので、電子データへの移行が進むと考えられます。

表計算ソフトなどを使えばコストを掛けずに電子化が可能ですから、そのための準備検討期間に充てるのもよいでしょう。

駆け足のお話となったが、自営業者などであれば、登録業者になるべきか、ならなくても特に支障はないかを検討。なるのであれば、登録番号を取得しよう。

その後、具体的にどのような準備をすべきか把握すると良いだろう。詳しい点については、土屋さんの入門書が分かりやすくとても役立つ。1冊手元に置いておくことをすすめたい。

土屋裕昭さん プロフィール
税理士、CFP、登録政治資金監査人。早稲田大学政治経済学部卒業。設立間もないベンチャー企業から上場企業まで、幅広い法人クライアントをサポート。特に中小企業のサポートを得意としている。共著に『小さな会社は「決算だけ」税理士に頼みなさい!』(ダイヤモンド社)、『やさしくわかる経理・財務の基礎知識』(税務経理協会)、『経理・財務スキル検定FASSテキスト&問題集』(日本能率協会マネジメントセンター)、「税理士ツチヤの相続事件簿」(星雲社)、監修に『いちばんわかりやすい確定申告書の書き方』(ダイヤモンド社)、『小さな会社社長が知っておきたいお金の実務』(実務教育出版)など多数。最新の著書『60分でわかる! インボイス&消費税 超入門』(技術評論社)は、初の本格的な入門書として話題に。
公式サイト(土屋会計事務所):http://www.th-kessan.jp

文/鈴木拓也(フリーライター)


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