80年代は「ラジカセ全盛期」でもあった。
当時の録音媒体といえばレコードかカセットテープだった。前者は19世紀以来の製品だが、後者は誇張抜きで最先端のポータブル製品だった。
何しろ、レコードとは違いズボンのポケットに入れて持ち運べるのだ。その特性のおかげで自動車にオーディオプレーヤーを搭載することも可能になり、音楽市場にも大革命をもたらした。
そんなカセットテープが、今現在再注目されているという。
Bluetooth接続機能内蔵のラジカセ
昔録音したラジオ番組のカセットテープが、家の倉庫から出てきた。もう30年以上前の代物である。それを久々に聴いてみよう……という段になった時、自宅にラジカセがあるかないかという話になってしまう。
そもそも、今時ラジカセなど売っているのだろうか? いや、確かにAmazonで検索すれば、カセットテープに対応するプレーヤーはいくつも出てくる。いざとなれば、ネットオークションで中古のものを買ってもいいだろう。
しかし、何もかも「昔のまま」のものを買ったところで、結局は無用の長物になってしまうのではないか?
つまり、懐かしのカセットテープにも最先端のBluetooth接続にも対応できるプレーヤーがあればそれに越したことはない、ということだ。
そこで今回は、Makuakeに登場したラジカセを紹介したい。もちろんただ紹介するだけでなく、実際に製品を取り寄せて試してみるのが前提だ。
見た目はまさに「80年代のラジカセ」そのものである。角ばっていて、中央にカセットテープの挿入口がある製品。そして2つの大きなスピーカーがドンと内蔵されている。
このスピーカー、当たり前だがイヤホンやヘッドセットのそれとはまるでサイズが違う。
故に、どんなジャンルの音楽を流しても大迫力を堪能できる。最近の音響機器はポータブル化が進み過ぎて「大きいスピーカー」の影が薄くなっているが、ここは改めて「本格的な音質」を体験してみよう。
このラジカセにはバスとトレブルの調整ダイヤルが搭載されている。即ち、低音と高音のコントロール機能だ。
昔の高価格帯ラジカセの特徴でもあるが、これを駆使すれば再生中の楽曲に最適の音を演出することができる。
それに加え、この製品にはBASS BOOST機能も内蔵されている。「ドカン」と弾けるような低音も再現可能だ。
そしてこれは「ラジカセ」だから、もちろんラジオも聴くことができるぞ!
空気録音もできる!
しかし、筆者は1984年生まれの38歳。実のところ、80年代スタイルのラジカセはあまり馴染みがない。
筆者にとっての「オーディオプレーヤー」とは、正面から見たら楕円形のCDプレーヤーである。話の腰を折ってしまうようだが、筆者が小学校に上がった頃には既にカセットテープは「旧世代のもの」になっていて、代わりに台頭したのはCDだった。
故に、80年代スタイルのラジカセを見ても「懐かしい!」と思う前に「CDは非対応なの?」と思ってしまう。このあたり、今現在のアラフィフとの「意識の壁」が存在するのだが、それでも筆者は今回のラジカセを高く評価したい。
この製品にはBluetooth接続機能がある上、「カセットテープからUSBメモリへ」という記録媒体を跨いだ録音もできるからだ。
上の表を見ると、カセットテープをMP3データにすることも可能だが、逆にUSBメモリやMicro USBからカセットへ、またはBluetooth接続を使ってデバイスからの楽曲をカセットへ、ということも可能らしい。
つまり、現代の楽曲をカセットテープで視聴するという楽しみ方もできるのだ。
そしてこの製品にはマイクも内蔵されているから、テレビの音楽番組を空気録音することもできる。この一文を読んでギクッとした人、正直に挙手。
そして「空気録音って何?」と首を傾げているZ世代の諸君に説明しよう。
データをデジタル処理して転送することが当たり前でなかった時代、音楽番組を映している最中のテレビにラジカセを近づけてそのまま録音するということが広く行われていたのだ。これが「空気録音」である。
その最中に「ひろし、ご飯よ~っ!」という母ちゃんの呼び声が入ってしまったら、録音は台無し。再生をかけたら音楽を遮る形で「ひろし、ご飯よ~っ!」が流れてしまう。
このラジカセは、そうした昔懐かしい原始的な録音もできる製品ということだ。
災害時にも活躍必至!
特定の世代にとっては、思春期の甘酸っぱい思い出が蘇るこのラジカセ。Makuakeでは1万5,840円(10月25日現在)での予約を受け付けている。
一般販売予定価格は1万9,800円。
ちなみにこの製品、いざという時は単1電池6本で稼働するため、災害発生時にも活用することができる。
「昔ながらの製品」にはこのような使い勝手の良さもあるのだが、いずれにせよ様々な世代の人が楽しめるものに仕上がっていることは間違いない。
【参考】
機能は今どき、デザインは80年代へタイムスリップ「俺たちの青春ラジカセ」-Makuake
取材・文/澤田真一