「グローバルメタバースを目指す日本発のプロジェクト」とうたうfondi社の「fondi」。昨今数多く登場しているメタバースの事業のなかでも、世界の共通のニーズをとらえた興味深いビジネスモデルを構築する。代表の野原樹斗氏に、サービスの現在地とビジョンを聞いた。
ビジュアル解説
英語がどんどん話せる仕組みとは?
「fondi」は、英会話学習に特化したメタバースのスマホアプリ。「カタコト英語から始まる、バーチャル海外生活」をコンセプトとしているとおり、教師から生徒に教える学習とは異なるスタイル。広場や公園、バー、共同生活の住居など、仮想空間の中でユーザー同士で英会話を楽しみ、擬似的に海外生活を体験する。
月額1950円で使い放題と、英語学習のソリューションとしては割安だ。2020年5月にグローバルでアプリを提供開始し、2022年9月現在、累計インストール数は33万件以上。東南アジア・アフリカ地域のユーザーが多く、海外ユーザー比率は94%を超える。
良くも悪くも、ユーザーがネイティブな英語話者でないことがポイントだ。正しい文法やネイティブスピーカーならではの発音、表現を学ぶ点では、従来の学習法には及ばない点があるだろう。
いっぽう、「英語学習者はネイティブより、非ネイティブ同士のほうが話しやすい」と野原氏。英語を話すハードルが下がり、文法は多少間違っていても、気軽にどんどん話して英語に慣れることができる。語学レベルの合うユーザー同士なら、会話に置いていかれる心配もない。
顔みせなしのアバターで交流するので、「うまく話せなかったら…」「恥ずかしい思いをしないか…」といった心配も少ない。英語でコミュニケーションをとれるサービスは他にもあるが、安心してトライアンドエラーを繰り返しやすい仕組みは、「fondi」のユニークな点と言える。
グローバルで共通のニーズをとらえたサービス
創業の原点には、野原氏が高校卒業後、英国の大学に進学した際の体験がある。「自分の価値観の外にいる人たちと接したことが大きな刺激になった。未知のものと遭遇し、自分のアイデンティティをゆさぶられる体験が重要だ(野原氏)」。
従来の英会話サービスとは一線を画す「fondi」は、基本思想からして「英語学習を介した異文化コミュニケーション」の場でもある。
ユーザーはまず英語で話し、伝わったことに自信を得て、共通のテーマでコミュニケーションを深めていく。やがて、気の合う友人ができて、コミュニティが形成されてると、リアルな学校のクラスのように、メタバース上で人間関係が発展していくという。
「自然なコミュニケーションの促進には、身体を持って交流することが重要だと考えた」と野原氏。この点は、ビデオ通話やグループチャットではなく、アバターで参加する仮想現実の意味が大きいだろう。
英語学習、異文化コミュニケーションともに、グローバルで共通のニーズ。現在のところ、類似した仕組みを持つ競合はなく、日本発で世界的なサービスに成長する要素はある。
今後は、イベントやゲームなど、コミュニケーションを活性化する仕掛けを増やしていく見込み。また、積極的に会話するなどサービスに貢献したユーザーに、トークンで報酬を支払うなど、ブロックチェーンの活用も予定する。
取材・文/ソルバ!
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