XPAND社は、今まさに世界にはばたく「XPANDコード」の開発・販売を行うベンチャー企業。既存の技術を活かしながら、デザインの力で私たちの日常を変えようとしている。代表の南木徹氏に、その設計思想を聞いた。
近くはQRコード、遠くは「XPANDコード」
「XPANDコード」は、縦横比1:24と細長い帯状の次世代バーコード(リンクツール)。機能は一般的なQRコードと同様で、スマホのカメラなどリーダーで読み込むと、特定のリンクにアクセスできる。
特徴は、取り付け場所を選ばず、また景観を崩さないデザイン性だ。街の看板やサイネージ、競技場の大型モニターなどに設置し、遠距離からの読み取りが想定される。同社の実験では、最大約215mからも読み取りが可能。「XPANDコードジェネレーター」から無料で発行できる(年間5489円の有料版では、色やサイズのカスタムが可能)。
既存のQRコードは印刷物やレジのディスプレイなど、近距離からの読み取りを前提につくられている。大型の看板やモニターに設置すると、巨大なコードが必要になり、景観を損ねたり、サイネージのメッセージを阻害してしまう可能性がある。
近距離はQRコード、遠距離は「XPANDコード」という棲み分けができると、同社はにらむ。リアルのコードを読み込んで情報へアクセスする行動の間口が広がれば、さまざまな用途、ソリューションもうまれるはずだ。
「XPANDコード」は、海外も含めてユースケースが模索されており、現状で次のような用途で利用されている。
・展示会等のゲートやパネル
・スポーツチームのユニフォーム
・競技場の大型ビジョン
・ビルの壁面
・交通機関の案内表示
・ステッカー、マスク、額縁など
デザイン起点でテクノロジーを活用
前述のとおり、機能はQRコードと変わらず、新しい技術を開発したわけでもない。「XPANDコード」の真骨頂は、あくまでデザイン的な調和だ。
XPAND社の前身は、Web開発や多くの交通向けデザインを手掛けてきた銀座交通デザイン社であり、「XPANDコード」の発想も地下鉄の案内表示のデザインからうまれた。
行き先を多言語で表示するコードが、案内表示についていれば、日本語が読めない外国人にとっては便利。QRコードでは表示そのものを邪魔してしまうので、別のコードが必要なったというわけだ。
テクノロジーの進化は進んでいるが、社会に実装するには体験を含めたデザインが重要。使い古されたように思われる技術が、デザインを再考することで、新しく生かされる可能性は十分にある。
日本発の「XPANDコード」は、世界に新しい体験価値を提供するか? ビジネス視点で注視していきたい新規事業だ。
取材・文/ソルバ!
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