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温室効果ガス排出量の見える化だけでなく、脱炭素への最適な手段を提案するアークエルテクノロジーズの「カーボンニュートラルシミュレーター」

2022.10.26

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

遺伝的アルゴリズムにより予算内で最も効果の高い施策の組み合わせを提案

カーボンニュートラルに向けたデジタルサービスの提供と企業向けのコンサルティング事業を展開している「アークエルテクノロジーズ」。温室効果ガスの排出量の可視化から脱炭素化への最適⼿法の提案まで、ツール内で自動化できる国内初の新サービス「カーボンニュートラルシミュレーター」を、2022年12⽉よりカスタム版の提供、2023年4⽉以降にSaaS版の提供を開始すると発表した。

国内でも2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」宣言がされ、企業の脱炭素化における具体的な取り組みが急務となっており、大手企業のみならず、中小企業にも脱炭素施策が求められる時代が到来している。

このような背景から近年、温室効果ガスの排出量の可視化サービスが続々と誕生。GHG排出量算定ツールを導入する企業が増え、見える化はスムーズにできるようになったものの、その後のアクションである「脱炭素化に向けた具体的な施策立案」についてはコンサルティング会社への支援を依頼する企業が多い。その他にも、手間やコストがかかる、必要のない機能が多い、自社が他社と比較してどの程度の状況なのかわからないといった課題や不満があることがわかった。

こうした脱炭素化に向けた課題を解決すべく「カーボンニュートラルシミュレーター」の開発を進めた。同社の考えるカーボンニュートラルに向けた進め方は、GHG排出量計測→カーボンニュートラル戦略策定→実装・運用の3つのステップと、電化、エネルギー効率化、再エネ化、燃料転換+クレジット・カーボン除去の5つの要素で構成している。

開発の参考になった事例として、アークエルテクノロジーズ代表の宮脇良二氏が挙げたのが、アメリカの高級スーパー「ホールフーズマーケット」のカーボンニュートラルの取り組み。

カリフォルニア州においては、2030年までに商業施設をネット・ゼロ・エネルギー(ZNE)化するという目標達成が企業の課題となっており、エネルギー消費の多いスーパーマーケットで、遺伝的アルゴリズムを用いて省エネを最適化する実証実験が行われた。

スーパーマーケットは空調、照明、冷蔵庫等によるエネルギー消費が大きいことから、冷蔵庫に扉を付ける、壁面ガラスを複層ガラスにするなど107種類もの省エネ手法から、予算内で最も効果の高い手法の組み合わせを遺伝的アルゴリズムによってピックアップ。その結果、施設全体で46%のエネルギー消費量削減を実現した。

このデータをもとに将来的な設備更新計画を策定、残ったエネルギー使用部分については、再エネ供給によりネット・ゼロを実現する方向性を打ち出した。

「このステップをツールに落とし込んだのが『AAKELカーボンニュートラルシミュレーター』。2つの機能で構成されていますが、市場にすでに多く出ているGHG排出量可視化機能に加え、計測されたGHGの排出量をどのように削減するのがという、排出量削減施策のシミュレーション機能が大きな特長になります。

予算範囲内で実行可能な施策をアルゴリズムから抽出し、拠点ごとに効果と経済性から優先度をつけ提案。機械学習による運用改善施策の余地の確認ができ、シミュレーション結果をもとに、弊社や他社の可視化ツールと組み合わせたコンサルティングが可能です」(宮脇氏)

入力作業も簡単で、カーボンニュートラルの目標として、GHG削減目標を立てる際の基準となる「基準年度」、排出量0を達成する「目標達成年度」、拠点ごとに予算額を使用する期間、予算額を入力。電化、エネルギー効率化では、現在使用しているガス空調、ガソリン車、電気空調、照明設備のスペックを入力。再エネ化、カーボンオフセットの項目では太陽光パネルを設置可能なエリア・方角・面積を入力し、電力会社の再エネ電力への切り替えを検討している場合、カーボンオフセットを利用する場合はチェックを入れる。

拠点全体と各拠点のシミュレーション結果は、GHG排出量の目標・予測・実績をグラフで表示し、現在の進捗率も数値で確認できる。電化、エネルギー効率化、再エネ化を実施した際のGHG排出量・エネルギー使用量(原油換算)・電力使用量・経済性(ランニングコスト)、設備種類毎のGHG排出量と経済性も表示する。

「拠点ごとにどのような施策をしたらよいのか、遺伝的アルゴリズムにより、予算内で最も効果の高い施策の組み合わせを、優先順位で提示するのがこのツールの大きなポイントとなります。さらに施策の内容までしっかりと踏み込んで詳細に表示。このツールと使うことでコンサルや省エネ診断などを入れることなく、初期の施策が拠点ごとに明確になります。

今後は、弊社既存のサービスの『EV充電マネジメントサービス』『エネルギーマネジメントシステムサービス』とのデータ連携を行い、カーボンニュートラルシミュレーターにフィードバックすることで、より精度と鮮度の高い見える化と削減策の抽出し、それぞれのツールを有機的に活用したカーボンニュートラルを進めて行きます」(宮脇氏)

現在流通している、GHG排出量見える化ツールは平均で1拠点あたり毎月8000円~1万円程度。見える化だけでなくシミュレーターも組み合わせた本サービスも、この価格帯を目指してリリースする予定とのこと。

【AJの読み】アジア太平洋地域の25社の革新企業に日本で唯一選出されたAAKEL

世界的にクリーンテックスタートアップに向けた投資が加速している中、アジア太平洋地域も過去2年で26%成長と投資も伸びているものの、ヨーロッパ158%、アメリカ54%などの欧米の伸びよりはまだ小さい。

アークエルテクノロジーズは、代表の宮脇氏が大手エネルギー企業を中心としたコンサルティング業務に携わった20年の経験や知見を活かし2018年に起業した、福岡を拠点とするスタートアップ企業。

2022年には米国カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするCleantech Groupが選ぶアジア太平洋地域の25社の革新企業「2022 APAC Cleantech 25」で、エネルギー&パワー分野において日本企業で唯一選出された。

2021年4月より東大先端研の杉山正和教授、辻真吾特任准教授と連携し、地域エネルギーの課題をデータサイエンスで解決する「次世代エネルギーシステムの開発」を開始。脱炭素化社会の実現に向け、集中型エネルギー社会から分散型地域エネルギー社会への転換が求められている中で、地域社会に存在する大量のデータを活用し、分散型地域エネルギー社会の構築を目指している。

「デジタルイノベーションで脱炭素社会を実現する」を企業目的に掲げ、気候変動問題の解決とビジネスとの両立を目指したサービスを提供しながら、地元福岡でのビーチクリーン、植樹活動、間伐材の有効活用支援、小学生を対象にしたSDGs作文コンテスト開催など、環境と地球を守るために持続可能な支援を実践しているアークエルテクノロジーズ。同社の取り組みは今後も注視していきたい。

文/阿部純子


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