人の心を掴む巧みな話術で一世を風靡した、テレビショッピングの女王。
しかし彼女の正体は、視聴者を騙して金儲けをする詐欺師だった。
2022年9月21日よりNetflixで独占配信中の『ヴァンナ・マルキ: TVショッピングの女王』は、イタリアで起こった詐欺事件を取材したドキュメンタリー・シリーズ。
逮捕されたヴァンナ・マルキ本人とその娘、関係者らの独占インタビューを中心に全4話で構成されている。
あらすじ
天才詐欺師ヴァンナ・マルキの人生は、苦労の連続だった。
1942年貧しい農家に生まれたマルキは18歳の若さで結婚したのだが、彼女の夫は浮気癖がひどく家にお金を入れなかった。
それでも娘を育てるために女性ひとりで稼ぐ方法を模索し続けた結果、セールスの天才的な才能が開花する。
脂肪溶解クリーム、開運商法・・・・・・いかにも怪しい商品を売って売って売りまくり、大金を手にしたマルキ。
放火や脅迫などトラブルも絶えなかったが、持ち前の狡猾さと打たれ強さで何度も復活する。
しかし、”天網恢々疎にして漏らさず”で、マルキは遂に詐欺と脅迫の容疑で逮捕されてしまう。
見どころ
ヴァンナ・マルキという女性は、苦労人であり努力家であったことは間違いない。
さらにコミュニケーション能力が高く魅力的で、類いまれな商才もあった。
娘を養いたい一心で血の滲むような努力をしてきたのだから、愛情深い母親でもあったのだろう。
だからこそ余計に残念でならないのが、モラルが欠落していたが故に努力の方向性を間違ってしまったということだ。
しかし本作の独占インタビューでは、逮捕を経て少しはしょんぼりしているのかと思いきや、相変わらず自信満々で強気な態度のまま。
反省するどころか、自力で切り開いてきた人生を誇りに思っているようだ。
「詐欺師が反省の色ゼロ」と文章で説明すると憎たらしくふてぶてしい印象を与えるかもしれないが、動画で実際に喋っているマルキを見てみると、やっぱり面白い。なぜか惹き付けられる。
聞き手を人情話でホロリとさせたり、毒舌で笑わせたりするバランスが絶妙なのだ。
変に悲劇のヒロインぶらず、いつも明るく前向きでブレないところが、見る人に好感を与える。
何が起ころうがへこたれない、肝の据わったマルキの性格に「大したもんだなァ」と呑気に感心したところで、そういえば詐欺師だったなと思い出す。
しかし筆者のような視聴者がこんな風に思ってしまうのも、稀代の詐欺師にとっては思う壺なのだろう。
Netflixシリーズ『ヴァンナ・マルキ: TVショッピングの女王』
独占配信中
文/吉野潤子
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