小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

何気なく投げかけた言葉が我が子を苦しめる!?犯罪心理学者が警鐘を鳴らす「子どもを呪う言葉」

2022.11.02

「よかれと思って」の一言が非行をもたらす

東京未来大学こども心理学部の学部長である出口保行教授は、以前は法務省の心理職として22年間勤務。少年鑑別所などで、1万人以上の心理分析を行なった経験がある。

出口教授は、非行少年の心理分析を行なうなかで、「ある意味では親をはじめとする大人たちの“犠牲者”だと感じる」ことがしばしばあったという。

それはなにも育児放棄や虐待があったというような、「わかりやすい問題」をもつ家庭にとどまらない。一見して普通の家庭が、子どもを犯罪に走らせる土壌を作っていた事例が多々あったという。

それは、親が「よかれと思って」子どもに投げかける言葉。「早くしなさい」「頑張りなさい」「勉強しなさい」など、悪意なく使われている親の言葉が、ときとして子どもの心を破壊する。出口教授は、著書『犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』(SBクリエイティブ)の中で、そう説く、

■理想論の押しつけが子どもを苦しめる

本書から1つ例を挙げよう。

ワタルは、成績は中ぐらいで、クラスのみんなと仲良く付き合い、サッカー部で活躍する、ごく普通の中学2年生。

そんなワタルにも悩みがある。それは自己主張ができないことだ。両親からは「みんなと仲良くしてね」と常々忠告されてきた。

そのため、人の顔色をうかがうのが性格として根付いている。それが、同じサッカー部に所属し、ハッキリものを言うタイプのシンジには気に障った。シンジから、ことあるごとにつっかかられたワタルは、そのことを気に病むようになる。

うつむきがちなワタルに声をかけたのはミツヤだ。自分の胸のうちを明かしたところ、親友のように受け止めてくれたミツヤに、ワタルはなつくようになる。

実はミツヤは万引きの常習犯。

ある日、ミツヤは「今度一緒に万引きしない?」とワタルを誘う。罪悪感よりもミツヤと「秘密を共有する」という感覚が強く、誘いに乗ったという。以来、万引きが成功した時のスリルが忘れがたく、万引きを繰り返すようになる……

単純に考えれば、万引きという犯罪に誘ったミツヤが悪い、それに簡単に同調したワタルも悪いということになるだろう。しかし、出口教授は、それとは異なる視点を持つ。

“ワタルは両親から「みんなと仲良くしなさい」と言われ続けたために、自己主張ができず、ストレスをためていました。両親は「協調性が大事」という価値観を持っていたようです。この価値観自体は何も悪くありません。
ただ、すべてにおいて協調性を優先し、ワタルの気持ちを聞かなかったのがよくありませんでした。「みんなと仲良く」=「個性を抑えろ」というメッセージになってしまっていました。”

こうして自己主張ができなくなった子どもは、自己決定する力も弱い。人を批判的に見る力もなくなり、ワタルのように流されて、悪事に手を染めることもある。

さらに出口教授は、「みんなと仲良く」という理想論(きれいごと)の押しつけが、子どもを苦しめ、問題をはらむ種になるとも指摘する。また、大人ですらできないことを言ってくる親に対して、不信感すら抱きかねない。

■子どもの殺意をもたらした親の言葉

次の例は、高校2年生が、3Dプリンターを使って拳銃を模造し、夜眠っていた両親に発砲したという凄惨な事件だ(さいわい両親はケガですんだ)。

コウジは思春期の頃から開業医の母親に、「勉強しなさい。医学部に進んで、医院を継いでほしい」と、期待をかけられていた。兄がいたが、勉強ができるタイプではなかったため、母親の期待は、コウジひとりに向かった。

兄は、将来はアニメーターになりたいと、工業高校に進んで、デザインの勉強をしている。

コウジは、「兄ちゃんは自分で将来を選べるのに、なぜ僕はできないの」と、母親に不信の念を抱き始める。悩みを父親に打ち明けるが、まともに取り合ってくれない。

中学を卒業後、親の期待に沿って地元の進学校に通い始めた。しかし、成績は振るわず、親にそのことを隠そうとしたが、すぐに露見。

「こんなに期待しているのに、わかっていないのか」などと両親からなじられ、「このままでは自分は幸せになれない。両親にいなくなってもらうしかないと」と、先に述べた凶行に及んだ。

周囲から「おとなしくて、いい子」と思われていた少年が、凶悪犯罪を敢行したという報道を時おり耳にするが、コウジの事例は1つの典型であろう。

親の期待が励みになり、実業やスポーツの世界で活躍している人たちは大勢いる。その一方、コウジのように、まったく逆の結果を生んでしまうことがあるのはなぜか。出口教授は、次のように解説する。

“期待してもらえるというのは、嬉しさもあります。実際、コウジは期待にこたえたいと頑張ってきました。しかし、大きな問題がありました。両親ともコウジの気持ちを無視していたことです。母親は一方的に期待を伝えるばかりで、話し合おうとはしていませんでした。そこでコウジは父親に相談したのに、まともに聞いてもらえず失望したのです。

もうひとつは、コウジ本人の努力を認めてあげなかったことです。高校では成績が落ちましたが、それは努力を怠ったからではありませんでした。それまでと環境が変わったことで、結果を出すのが難しくなったのです。両親はその結果だけを見て非難しました。コウジは大変なプレッシャーにさらされ、成績がバレないようにテストの結果を隠す、成績表を隠すなどしました。”

「テストの結果を隠す」といった行動は、「ひとつのSOS」なのだという。このサインに気づかず、コウジを追い込んだ「両親の対応は間違っていたと言わざるをえません」と、出口教授。

また、コウジの親は「勉強しなさいと」繰り返し伝えていたが、これは逆効果だという。心理学で「ブーメラン効果」という用語があるが、これは「人は行動を強制されると、それに反発したくなる」心理現象を意味する。

そして、言われる側も同じことを思っていると、ブーメラン効果は起きやすくなる。コウジは、もともと向学心・知識欲があった。なのに、親から「勉強しなさい」と言われ続けることで、かえってやる気を失っていった。母親への不信感はそれに拍車をかけた。


@DIME公式通販人気ランキング


@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2022年12月15日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「7色に光る!LEDメモボード」、特集は「2022ヒット商品BEST100」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。