大阪府は2022年9月26日、省エネルギー化を実現する最先端の建築物ZEB(ゼブ:ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の理解促進や導入推進に向けて、大阪府内のZEB化推進に係る連携協定をパナソニックと締結しました。
ZEBとは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物を意味します。
ではなぜ今、大阪府はパナソニックとZEB化の推進を連携する必要があったのでしょうか?
大阪府は2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で40%削減
脱炭素社会の実現に向けて、日本は温室効果ガス排出量の削減を目指しています。
もちろん大阪府も例外ではなく、2030年度の府域の温室効果ガス排出量を2013年度比で40%削減することを目標にしています。
大阪府の水田課長によると、府域で脱炭素化に向けて意識改革・行動喚起を行い、CO2排出の少ないエネルギー(再生可能エネルギーを含む)の利用促進や事業者での脱炭素化に向けた取組促進などを行うことが大切だそう。
そこで、令和4年7月25日に「おおさかカーボンニュートラ推進本部」を設置し、府域の2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)実現のため、取組方針などを全庁で協議し、強力に推進していくそうです。
その中に、〝府有施設ZEB化ワーキンググループ〟があり、庁舎や府有施設の建て替えなどでZEB化を推進。ZEB化によるコストメリットや課題整理、技術的な指針の作成、内装木質化などによる木材の利用促進などを調査・検討していきます。
さらに、ZEBの認知度向上、理解促進のため、事業者や市町村に対して、セミナー開催などによる普及啓発を実施します。
パナソニックが大阪府にできること
環境問題への関心が世界的に高まる中、脱炭素化社会実現に向けて歩み始めた大阪府。その中で、ZEB化は大きな課題となっています。
パナソニックは同社の資源やノウハウを活用し、ZEB建築物の導入推進に向けた取組みで大阪府と相互に連携を図り、脱炭素社会の実現に貢献しようと動き出しました。
特に、「既存建築物のZEB化が課題で、全国に先駆けてモデルをつくる」とパナソニック エレクトリックワークス社の稲継副社長は語ります。
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 副社長 マーケティング本部 本部長 稲継 哲章さん
連携の内容は、大阪府の既存建築物に対して、「ZEB化改修の可能性調査」を3件ほど実施。さらに、可能性調査後の導入方法の確認、交付金や補助金などの国策活用を検討するなど、「ZEB化手法」の検討を行います。また、セミナー開催や個別説明、ZEB施設への見学会などを実施。「ZEB化の認知度向上及び理解促進」を目指します。
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 マーケティング本部 綜合営業企画部 電材営業開発G 小西 豊樹さん
なぜ大阪府はパナソニックと連携したの?
今回、大阪府とパナソニックのZEB化推進に係る連携協定が締結されました。田中副知事によると、「2022年の3月にパナソニックから提案があり、お互いに協議していこうという話になった」とのこと。まずはパナソニックと連携し、今後、他社からオファーがあれば、連携も検討していくそうです。
大阪府は今後のZEB化推進にあたり、「既存建築物のZEB化では当然、建物が継続利用されています。それにより、工事の制限はないか? といった調査を進めていきます。そして、ZEB化に対してプランニングレベルから必要なのか? ある程度パターン化したものが必要かといった項目を検討していく」(田中副知事)そうです。
2030年度の府域の温室効果ガス排出量を2013年度比で40%削減、そして2050年脱炭素社会の実現に向けて、大阪府とパナソニックの調査が進むことに期待しましょう。
取材・文/中馬幹弘
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