DATAFLUCTが提供する「becoz wallet」は、個人のCO2排出量を可視化して、カーボンオフセットをサポートするCO2版家計簿。アプリでライフスタイルに関するアンケートに答えると、その人の月間のCO2排出量が算出される。
事業担当の吉岡詩織氏に、新たに追加された「becoz card」との連携機能と、日本のカーボンオフセットの課題と対策を聞いた。
クレディセゾンと連携した個人のカーボンオフセット
今回のアップデートではクレディセゾンと提携し、日本で初めて(同社調べ。2022年8月時点)クレジットカード決済データからCO2排出量を可視化する機能をリリースした。「becoz card」(正式名称「SAISON CARD Digital for becoz」)で買い物をすると、「becoz wallet」に決済した店名、金額とともに、決済をした店に紐づくCO2排出量が算出される。
アンケートをベースにした従来の方法に比べて、実際の購買データによって正確かつ詳細に個人の排出量がみえる仕組みだ。前月との比較もできるので、個人の行動変容にもつながりやすい。
「becoz wallet」には、サブスクリプションでJクレジットを購入するなど、プラットフォーム内でカーボンオフセットへの具体的な行動を起せる機能が備えられる。今回、クレジットカードと連携したことで、将来的にはカードのポイントをカーボンオフセットに回したり、個人の排出量の削減に応じてポイントを付与するなどインセンティブの提供まで見据えている。
日本流「個人のカーボンオフセット」へ
クレジットカードの付加価値として、脱炭素のサポートにメリットを感じるユーザーが増えれば、事業としても成長が見込める。しかし、環境への意識が高まっているとはいえ、それがサービスを選択する動機づけまでになるかは、疑問が残る。
事実、ヨーロッパでは一足早く進んでいる個人向けの脱炭素サービスも、日本ではまだ珍しい存在だ。
「日本では、脱炭素は個人よりも、企業の課題として語られることが多い。何をしたらよいかわからない、という人が多く、行動に移せていないのが現状」と同社の吉岡詩織氏は分析する。
同社資料より。データの出典:博報堂「⽣活者の脱炭素意識&アクション調査」
「難しいビジネスに挑戦するプレイヤーがいなかった。競合がいないだけにチャンスがある(吉岡氏)」。当面のターゲットは、環境に対する意識が極めて高いおよそ3%の先進層で、それでも単純計算で400万人の市場が見込まれる。
さらに、前述のように企業にとって脱炭素はシビアな課題。一定規模以上の企業には、CO2排出量の算定と報告が義務付けられており、その削減は企業価値にも影響する。そのため、個人に直接訴求するだけでなく、企業を通して、さまざまなメリットとともに環境価値を提供するのが同社の方針だ。
「becoz card」では、クレジットカード会社を通してCO2排出量が可視化され、さらにポイントなどの形で、環境への貢献が個人の経済的なメリットにもつながる。日本流のカーボンオフセットの良いモデルになり得る事業だ。
同社では、今後も移動や住環境など、ライフスタイル全般に関わるデータと連携し、個人のCO2排出量の可視化と、その先のカーボンオフセットを支援する。
DATAFLUCTが展開する個人向けCO2排出量可視化・オフセットサービス「becoz wallet」、クレジットカードの決済データを活用したCO2排出量の可視化機能を8月18日(木)より提供開始
取材・文/ソルバ!
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