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親から相続した建物の敷地が「定期借地権」だった場合の注意点

2022.10.20

亡くなった家族が所有していた建物を調べてみたところ、敷地の権利が定期借地権だった……。このような場合には、定期借地権特有の問題に注意が必要です。

今回は定期借地権の概要と、相続した建物の敷地の権利が定期借地権だった場合の注意点をまとめました。

1. 定期借地権とは

定期借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地賃借権のうち、契約の更新・建物の築造による存続期間の延長・建物買取請求権がないものを指します。

借地借家法に基づき、建物の所有を目的とする地上権・土地賃借権(=借地権)については原則として、借地権者の権利が厚く保護されています。

たとえば、地主による更新拒絶に正当な事由が必要とされる点(同法6条)、終了時に地主に建物を買い取ってもらえる権利が認められている点(同法13条)などです。

しかし、定期借地権の場合は例外的に、借地借家法に基づく上記規定の適用がありません。そのため、地主にとっては負担が軽い権利である反面、安い価格で取引される傾向にあります。

最近では販売価格を抑えるため、所有権ではなく定期借地権の敷地に建てられた戸建・マンションが取引されるケースも増えています。

2. 敷地の定期借地権が終了するとどうなる?

敷地の定期借地権の期間が満了した場合、その上に建っている建物を取り壊し、更地にしてから地主に返さなければなりません。

通常の借地権であれば、地主による更新拒絶には正当な事由が必要とされているため、借地権者が希望すれば更新が認められるケースが大半です。

これに対して定期借地権の場合、そもそも更新が認められていません。そのため借地権者は、定期借地権の期間満了に伴い、直ちに土地から立ち退かなければならないのです。

3. 定期借地権を相続する場合の注意点

定期借地権も財産権の一種であるため、借地権者が亡くなった場合は相続の対象となります(民法896条)。

ただし、定期借地権やその上にある建物を相続する場合には、特に以下の各点にご注意ください。

3-1. 定期借地権は相続税の課税対象となる

定期借地権にも財産的価値が認められるため、所有権と同様に相続税の課税対象となります。定期借地権の相続税評価額の計算式は、原則として以下のとおりです。

相続税評価額=(①/②)×(③/④)
①定期借地権の設置時における、借地権者に帰属する経済的利益の総額
②定期借地権の設置時における、その土地の通常の取引価額
③課税時期における、その定期借地権の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
④定期借地権の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率

かなり複雑な計算式となっていますので、相続税額の計算等は税理士へのご相談をお勧めいたします。

3-2. 地代の支払いを要する場合がある

定期借地権の対価として地代が設定されている場合には、相続人が地主に対して地代を支払う必要があります。

ただし、定期借地権を設定する段階で「権利金」を一括精算し、地代は無償とする例も見られます。

地代の有無および金額は、定期借地権設定契約に定められますので、遺産分割を行う前に必ず契約内容を確認しましょう。

3-3. 中途解約できない場合が多い

定期借地権設定契約は、期間の途中で解約できないのが原則です。したがって、地代の定めがある場合には、基本的に期間満了まで地代を払い続けなければならない点にご注意ください。

ただし例外的に、定期借地権設定契約において中途解約権が認められている場合は、借地権者による中途解約が可能です。中途解約ができるかどうかについて、契約内容をあらかじめ確認しておきましょう。

なお、地主による定期借地権設定契約の中途解約を認める規定は、借地借家法の強行規定に違反するため無効です(同法9条)。

3-4. 終了時には建物の解体費用が発生する

定期借地権が期間満了によって終了する場合、建物を取り壊さなければならないため、借地権者には解体費用の負担が発生します。

建物の規模にもよりますが、解体費用は数百万円程度に上ることが多く、まとまった出費を覚悟しなければなりません。

4. 定期借地権の相続を回避するには?

地代や解体費用、さらに建物の管理に要する費用などを考慮すると、定期借地権(+建物)の相続を回避した方がよい場合もあります。

もし他の相続人が定期借地権の相続を希望している場合には、その人に相続してもらえばよいでしょう。しかし、価値が低く管理が大変な定期借地権については、誰も相続したがらないことも想定されます。

他の遺産も一切相続できなくなってしまいますが、それでもよければ相続放棄をすることが有力な選択肢です。相続放棄をすれば、定期借地権の相続を回避できます。

相続放棄は原則として、相続の開始を知ってから3か月以内に行わなければなりません(民法915条1項)。かなり短い期間で手続きを行わなければなりませんので、早めに検討に着手してください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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