炊飯中は米に向かって直接遠赤外線を放出!
「ティファールの調理家電」といえば、電気ケトルや電気圧力鍋を思い浮かべる人が多いが、じつはグローバルにおいては炊飯器もティファールの重要な家電アイテム。
なんとティファールは25年前から炊飯器を販売しており、累計販売台数は世界で1億台を突破する実績がある。
そんなティファールが、10月14日より日本向けに5.5合炊きの本格IH炊飯器「ザ・ライス 遠赤外線IH炊飯器 5.5合」(以下、ザ・ライス)を発売開始した。
「ごはん」にこだわるユーザーが多い日本の炊飯器市場向けの製品とは一体どのようなものか、新製品発表会にて実機をチェックしてきた。
ザ・ライス 遠赤外線 IH 炊飯器 5.5 合。カラーはブラックとメタリックの2色。本体サイズは約幅312×奥行き258×高さ232㎜、重量約5.1kg
■フタの裏に遠赤外線ヒーター搭載! 米を遠赤外線で「直火」炊き
ザ・ライスはフランスメーカーの製品ながら、日本でも違和感のない外観デザインを採用している。デザインで目を惹くのは本体蓋に配置された円形のスパイラルパーツ。一見すると扇風機の羽根のようにも見えるが、これは炊飯中の吹きこぼれを防ぐための蒸気口パーツで、とくに回転などはしない。
本製品の最大の特徴は、製品名称にもある「遠赤外線」ヒーターの搭載。本体フタを開くと、内側に遠赤外線ヒーターを配置しており、炊飯中は断続的に米に向かって直接遠赤外線を放出する。
遠赤外線とは電磁波の一種で、放出されたときは熱をもたないが、物質に吸収されると熱に変化するのが特徴。ザ・ライスは主加熱方式に高火力のIHを採用しているが、この遠赤外線ヒーターを併用することで米に直接熱を伝えてより素早く米の中心まで熱を浸透させる。
ちなみに、炊飯器は構造上蓋の内側に「内蓋」があり、炊飯のたびに内蓋を洗う必要がある。ザ・ライスは、この遠赤外線ヒーターが配置されている都合上、取り外しできる内蓋部分が穴あき形状となっているのも特徴的だ。
炊飯加熱の主力となるのは、釜の下部を包み込むように配置された高火力IH。ザ・ライスはIHを効率的に利用するため、内釜の外側に発熱効率の高い鉄、内側には熱伝導性の高いアルミを組み込んだ複合素材を採用している。また、釜厚は蓄熱性を高めるために約3mmと厚めの形状だ。
面白いのが内釜の形状。一般的な日本製炊飯器の内釜よりかなり背が低く、一見すると平釜や土鍋のようにもみえるシルエットだ。
また、内鍋底部は炊飯時に釜内で熱対流がおきやすいように、底に丸みをもたせた形状。この丸みで炊飯時にしっかり釜内を対流させ、炊飯の加熱ムラを抑えられるように設計されている。
ティファールは、この独自の内釜形状と高火力IH、そしてザ・ライス独自の遠赤外線ヒーターを利用することで、中までふっくらと炊き上がりながらも、しっかりとした粒立ちを実現。さらに、旨みと甘みのある炊飯が可能になったと発表している。
新製品発表会の会場では、実際にザ・ライスで炊飯したごはんの試食もできた。試食で提供されたのは、味のバランスがよく、粘りが特徴の銘柄「ひとめぼれ」。
提供されたごはんをチェックすると、米の一粒一粒がしっかりと主張する炊き上がり。実際に食べてみると、中まできちんと柔らかいながら米表面にはハリと弾力があり比較的シャッキリとした食感。
炊飯器によっては米の味を強調するものもあるが、味はどちらかというとサッパリしており、おかずやカレーなどを引き立てる味だと感じた。
ちなみに、試食は「白米」の「ふつう」モードで炊飯したが、白米モードのほかにも無洗米、玄米、雑穀米、長粒米、すしめし、炊き込み、冷凍ごはん、お粥、玄米/雑穀粥の全10のメニューを搭載している。
長粒米モードは搭載していない炊飯器が多いのでこれは嬉しいポイント。また、約50分かかる通常炊飯のほか、約26分で炊飯可能な早炊き炊飯モードも搭載。さらに、やわらか、ふつう、かための3つの炊き分け炊飯ができる。
炊飯モードで注目したいのが「冷凍ごはん」の存在。このモードでは標準より米の弾力と粒感がアップし、米の水分が逃げにくい炊き上がりとなる。
このため、冷凍してもベチャつくことなく電子レンジで再加熱が可能という。ご飯を多めに炊いて冷凍で作り置きする家庭には魅力的な炊飯モードになりそうだ。
■ザ・ライスは日本の高級炊飯器ジャンルに食い込めるのか?
毎日炊飯することも多い家庭では、お手入れ性も重要。ザ・ライスは炊飯後に洗うパーツは内釜、内蓋、蒸気口の3つのみ。
ただし、蒸気口パーツは形状が複雑なほか、3パーツに分解して洗う必要がある。
最近はお手入れ性を高めるために蒸気口のお手入れ不要な高級炊飯器も増えているので、このあたりの手間が煩雑に感じる。ちなみに、内蓋と蒸気口、そして付属するしゃもじと軽量カップは食洗機に対応する。
操作部でもあるザ・ライズの本体上部はタッチパネルボタンを採用。このため、蒸気口パーツを除いて本体上部はフルフラットデザインで、汚れてもサッと拭きやすいデザインだ。
また、蓋を開けた本体フレーム部分も凹凸がほとんどなく、ごはんをよそったときに米が付着してもお手入れがしやすい構造になっている。
日本の家電市場では、5万円を超える炊飯器はハイエンドモデルと呼ばれることが多い。そんななか、今回発売されたザ・ライスは参考価格が63,700円と、まさに高級炊飯器のカテゴリーに含まれる製品だ。
国産の高級炊飯器は、メーカー独自の特徴的な機能を搭載していることが多いが、今回ティファールは遠赤外線ヒーターによる食感の良さを武器に日本の高級炊飯器市場に参入してきた形。
フランスメーカーの炊飯器ながら、早炊きモードや冷凍ごはんモードを搭載するなど、日本のニーズをしっかりと捉えて開発されている点も評価できる。ザ・ライスが日本でも「定番」の炊飯器として受け入れられるようになるのか、今後の動向に注目したい製品だといえる。
取材・文・撮影/倉本 春
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