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初任給格差が拡大?初任給は上がり続けるも企業間の意識差が鮮明に

2022.10.14

ニコンが2022年9月29日、来年入社する新卒の初任給を引き上げると発表しました。大学卒の初任給は、2万円増えて23万円となります。大学院の博士課程を卒業した人も同じく2万円プラスとなり、初任給は30万円の大台に乗りました。

ニコンは2018年に年功序列化型の人事評価制度を廃止し、ジョブ型人事制度を導入。働き方改革を進めていました。初任給の引き上げは、経営戦略の実行を担う人材の獲得を目的としています。人材育成のプロセスを変革し、初任給を引き上げて優秀な人材の確保を本格化しました。

世間では給料が上がらないと言われていますが、ニコンに限らず初任給の水準は上がっています。

2010年比で5~6%増加した初任給

日本経済団体連合会は、毎年新卒の初任給の調査(「新規学卒者決定初任給調査」)を行っています。それによると、2021年の大学卒の初任給は219,402円。2020年と比較して0.4%増加しています。

大学院から高校卒まで学歴に関係なく上昇しています。

経団連「新規学卒者決定初任給調査結果」より

大学卒の初任給は、2010年と比較すると5.8%も増加しています。この傾向も学歴には関係ありません。大学院卒から高校卒まで、すべてにおいて5~6%アップしました。

経団連「新規学卒者決定初任給調査結果」より

ポイントは初任給が上がっている背景。初任給の決定要因を調査した結果では、「世間相場」と回答した企業が27.9%とトップでした。多くの会社は、他社の様子や世間の相場観を見極めて初任給を決めていることがわかります。

注目したいのは、「人材を確保する観点」が2019年は20.9%と高かったにも関わらず、2021年は14.4%まで下がっている点。

新型コロナウイルス感染拡大による商環境の悪化で、企業の雇用意欲が減退したことも要因の一つにあると考えられますが、2年連続で減少していることは見逃せません。

初任給決定にあたって最も考慮した判断要因

経団連「新規学卒者決定初任給調査結果」より

ニコンは初任給を引き上げた目的を、経営戦略の実行を担う人材の獲得としました。この決断には先見性があります。多くの企業で人材確保という意識が薄れているためです。

優秀な人材を確保したいと考えている企業の経営者は、今がチャンスだととらえるべきでしょう。

初任給を30%引き上げる会社も登場

一部の企業では初任給の大幅な引き上げを行っています。

子供服「ミキハウス」の三起商行は、2023年春から初任給を4万5,000円引き上げて25万円にすることを決めました。これは三起商行の再起を物語っています。

三起商行は2005年8月期に52億円もの赤字を計上し、負債額が200億円にまで膨らみました。財務状態を改善するため、2006年8月に投資ファンド東京海上キャピタル(現:ティーキャピタルパートナーズ)に40億円の第三者割当増資を実施。ファンド傘下で在庫整理などの再建策を進め、負債を圧縮。東京海上キャピタルは、三起商行の株式を帝人グループなどに売却します。

売却後の三起商行は、帝人グループの海外生産ネットワークを活用し、海外への出店を強めていました。人材への投資を強化することで、更なる成長に期待できます。

バンダイナムコホールディングスは、2022年から初任給を30%アップし、29万円としました。バンナムは全社員の基本給を平均5万円引き上げる新報酬制度を導入。働き方改革を進めています。

人材不足に悩むスタートアップに追い風

初任給は企業規模で大きく変わります。大卒の場合、3,000人以上の初任給は221,226円。300~499人規模の会社だと214,473円です。3.1%少ない計算です。

ポイントは規模が小さくなるにつれて初任給が下がるわけではなく、100~299人規模の会社から盛り上がりを見せることです。

経団連「新規学卒者決定初任給調査結果」より

これは新興企業や上場を目指すスタートアップなどが、成長力をつけるために初任給を引き上げて人材獲得を積極化していることが背景にあると考えられます。

よく、大企業への就職をあきらめた学生が、初任給の高いベンチャー企業にするべきか、初任給が低くても手堅い中堅企業を選ぶべきかという悩みを聞くことがあります。多くのケースで、成長意欲の高い人はベンチャー企業を選びます。

もし、企業の人材確保への意識が弱い状態が続くと、意識の高い学生がベンチャー企業へと流れる傾向が更に強まるかもしれません。

部長クラスはタイよりも年収が120万円低い日本

日本企業の問題点の一つは、入社した後の給料が上がりづらい点。経済産業省がまとめた資料では、日本の年収の伸びは世界に比べて緩やかなことが示されました。

部長の年収はタイと比較して120万円少ないといいます。

経済産業省「事務局資料」より

また、タイ企業の部長の昇進年齢は32.0歳と早いですが、日本は44.0歳と大きな開きが生じています。日本は年功序列型の文化が根強く残っているのでしょう。

日本の初任給は確実に上昇しており、人材獲得意欲の高い企業は積極的に引き上げています。しかし、その後の年収が上がらなければ優秀な人材は外資系企業などへと転職してしまうでしょう。

そうなれば、企業の人材への投資が無駄にもなりかねません。無理にベースアップを図るのではなく、ジョブ型雇用などへの人事評価制度の仕組みそのものの転換が求められています。

取材・文/不破 聡


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