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離婚してシングルマザーになる前に考えたい、自分が世帯主になることの意味

2022.10.19

■連載/あるあるビジネス処方箋

直近4回で、離婚と再婚をテーマに記事を書いた。1回目2回目で離婚と再婚を視野に入れた生活をする女性を、3回目で離婚の相談を受ける社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーの女性を、4回目では離婚、再婚時の名字の扱いについて弁護士に取材を試みた内容を紹介した。

1回目の記事は、こちらから。
2回目の記事は、こちらから。
3回目の記事は、こちらから。
4回目の記事は、こちらから。

今回は離婚、再婚シリーズのまとめとして、2021年に一般社団法人日本シングルマザー支援協会の代表理事の江成道子さんに取材を試みたうちの一部を紹介したい。同協会はシングルマザーの支援をする団体で、2013年に設立された。主に「お金(収入)を稼ぐ力を養う」「共感しあえるコミュニティ」「再婚という幸せ」の3つを実現することに重きを置く活動をする。

現在、会員は約10000。離別(離婚)や死別で夫と別れ、ひとりで生きるシングルマザーが大半を占める。様ざまな業界の会社や団体で正社員、非正規社員(パートや派遣、契約社員)として働く人が多い。

江成さんが取材時に話した内容で、多くの人が特に知っておくべきことと思ったのが、次のものだ。


 離婚した以上、かつての夫の経済と女性の経済は直接的な関係がなくなるのです。戸籍のうえでも縁が切れて、他人になるのですから…。養育費は、離婚時やその後の話し合いによって変わるのかもしれません。ただし、それはあくまで子どものもの。大人である以上、双方とも自分の生活は自分で担うもの。それが当たり前なのですが、シングルマザーの中には意外と認識ができていない人がいます。


厳しい指摘に思えるが、確かに養育費は子どものためのものであり、男女ともに生活の収入は自らの力で得て生きていくべきなのだと思う。1990年代から養育費をめぐるトラブルを取材すると、支払おうとしない男性(元の夫)に大きな問題があるのだが、女性(元の妻)の一部には、その男に生活の面倒を見てもらおうとするケースもある。これならば、離婚をした意味がないのではないだろうか。別れて自由や自立、自尊心をつかみ、守ることができたのだから、そこには本来は、責任や使命がつきまとうものだ。

江成さんは、こうも語っていた。

「シングルマザーになる場合は、通常は世帯主になるのです。夫がいないのですから、家計全体を担うことになります。ところが、主婦的な感覚のままで例えば、パートやアルバイトをして月に5万~15万円の収入の人がいます。いろいろと大変なのはわかるのですが、この収入の状態が長く続くと生活が苦しくなるでしょう。最悪の場合は、貧困の状態に陥るのかもしれません。

パートやアルバイトを長く続けても、キャリアの形成につながらない場合があるのです。例えば35歳で離婚し、パートとして10年働いて45歳になったとします。そこからさらに学費や養育費がかさむと思います。パートで月額5万~15万円の収入のままでは、そのお金を工面することができないかもしれません。

40代半ばになって、正社員になろうとしても遅い場合があります。会社によっては、パートの10年間の経験を正社員の登用試験や中途採用試験で認めないことがあるのです。40代半ばでパートのままでは、35歳の時よりも厳しい現実に直面するかもしれません。

まずは、正社員を目指してほしい。経済力を持つと、自由の選択肢が増えるのです。コロナウィルスの騒動で、シングルマザーは正社員として安定した収入を得る環境を早く作る必要があるとあらためて思います」

江成さんによると、シングルマザーの中には、子どもの環境を離婚する前と比べてできるだけ変えたくないと願う人がいるという

「お子さんと一緒にいたい思いはわからないでもないのですが、事実に即して考えると、離婚した場合は子どもの環境が変わることがあるのです。例えば、お母さんがお父さんのように働くことが必要になり、留守番をする機会が増えます。

お母さんが働くと、実は子どもとの関係がよくなったり、強くなる場合があるのです。留守番をきちんとするようになり、家庭を守らなきゃいけないと責任感を持ち始めます。夫婦がそろっていた家庭の子よりも意識の成長が早く、責任感が強くなります。成人後もお母さんを大切にして、立派で生き生きとした大人になっていくケースもあるのです。

私たちは、企業には「こうするとシングルマザーが働きやすくなるのではないですか」と提案する時もあります。シングルマザーの側も意識を変える必要があるのです。「企業にすべてのリスクを負ってください」とは思っていません。そうでないと、双方のミスマッチの連続になりえます。ついには企業が「シングルマザーは採用しないほうがいい」と考えてしまいかねない。私たちは、企業に貢献できる女性を作っていきたいのです。」

2021年、江成さんへの取材で、こういう現実的な視点で離婚、再婚をテーマにした記事をシリーズで紹介したい、と思ってきた。かねてから、離婚や再婚を扱うメディアの記事や番組に強い疑問を感じてきたからだ。離婚の影の部分を、例えば低収入や子どもへの虐待などをことさら強調する内容が目立つ。その意義はわからないでもないが、中には事実誤認や誇張しすぎのものもあり、差別的な世論をつくることになっているように思えてならない。

日本のマスメディアの報道は視野が狭く、リアリティーに欠けるものが多い。だからこそ、現実的な視点で離婚や再婚を捉えたかった。読者諸氏は、5本の記事で何を感じただろう。

文/吉田典史

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