後継者難で廃業する中小企業を、「個人M&Aで買い取りトップに立つ」という新しい事業承継例が増加している。起業ほどの難しさがなく、さらには経営経験がなくても社長になれる一大チャンスが到来している。
アナログなマーケティングを大幅に刷新!ITツールの導入で売上高は1年で約2倍に
アイゼック・代表取締役社長
中村龍一さん
電気系大学を卒業後、大手プラント企業に入社。7年目29歳という若さで最年少管理職になるが、10年目の2019年に独立のため退職。その後後継者人材バンクを知り、2020年2月にアイゼックを承継し、代表取締役社長に就任。
※後継者人材バンクの解説はこちら
起業より低リスク。すぐ一定規模の会社社長に
大手プラント企業で10年間、電気設備の設計を行なってきた中村龍一さんは大企業の職務に物足りなさを感じて退職。その後、起業準備をする中で後継者人材バンクの存在を知った。
「独立のため、商工会議所の起業支援セミナーを受講した際に後継者人材バンクを知りました。とりあえず登録したところ、6か月後にセンターからアイゼックの紹介を受けました」
前経営者と2度の面談を経て、独立2か月後には承継の基本合意に至った。しかし、不安もあった。
「個人M&Aは中小企業庁の金融支援認定を受ける必要があり、日本政策金融公庫の融資実行までに約半年かかりました。基本合意が早かった分、少し焦りました」
無事融資を受け、事業承継した初年度に売上高は前年比で約2倍に。
「経営判断は間違っていなかったと思います。起業前にMBAなどの資格を取得する方もいますが、私はネットなどを使い、独学で経営学を学びました。これから起業する人には、経営経験がないことにびびらず、挑んでほしいです」
アイゼックは防犯カメラや映像伝送装置、キャプチャーボードを製造販売する企業。写真は主力商品・ドーム型赤外線カメラ。