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健康診断に「嗅覚測定」が加わる!?ソニーがにおい測定のプロセスを簡易化した装置「NOS-DX1000」を開発

2022.10.12

「におい」を手軽に制御するTensor Valve(テンソルバルブ)テクノロジーを独自開発

ソニーは、嗅覚に対する新たな価値の創出に向け、「におい」を手軽に制御するTensor Valve(テンソルバルブ)テクノロジーを独自開発したと発表。

さらに、同技術を搭載した製品の第1弾として、におい提示装置「NOS-DX1000」も発売。医療機関や研究機関などにおいて、研究や測定の用途に展開する計画だという。なお、価格はオープンで想定市場価格は230万円前後、2023年春の発売予定となっている。

発表会の冒頭では、ソニー 新規ビジネス・技術開発本部 副本部長の櫨本修氏が登壇。ソニーグループでは、Purpose(存在意義)として「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」ということを掲げてきた。人の感動体験のベースとなる五感の中で、ソニーがこれまで主に取り組んできたのは「視覚」「聴覚」の領域であった。

また、「触覚」と連動した体験価値の提案も進めている。今回、「嗅覚」に関する技術開発テーマを加えることで、新たな価値創出をめざすと語った。

ソニー 新規ビジネス・技術開発本部 副本部長の櫨本修氏

嗅覚測定のワークフローをDX化

ソニー株式会社 新規ビジネス・技術開発本部 事業開発戦略部門 ビジネスインキュベーション部 嗅覚事業推進室 室長の藤田修二氏

今回ソニーが、新たに開発した独自技術のTensor Valveテクノロジー。そのにおい提示装置では、においの提示を機械化することで、測定プロセスを簡易化し、室内へのにおいの汚染を抑制し、嗅素(においの素)を手軽に提示。

サブカートリッジ

カートリッジ/写真提供:ソニー

本機では、アレイ上に連なる40種の嗅素成分を含むカートリッジを即時に切り替え、高出力・高ストロークな駆動により、十分な通風で被験者ににおいを届けるワイヤ式リニアアクチュエータを40機搭載している。また、におい漏れを抑制する高気密カートリッジ技術も独自開発した。

サブカートリッジ イメージ/提供:ソニー

さらに、すでにソニーが発売しているパーソナルアロマディフューザー「AROMASTIC」で培ったカートリッジ流路技術を発展させた、らせん流路構造を採用。

嗅素成分を効率よく被験者に届けるべく、においの気流が巡るよう設計されている。加えて、提示後に残るにおい成分を速やかに除去する脱臭機構も内蔵しているという。

実は、いままでの一般的な嗅覚能力の測定では、嗅素に浸したニオイ紙に鼻先を近付け、何のにおいかを被験者が特定できるまで、濃度の薄いものから順に濃いものへと試薬を変え、においの種類も変えるということを行なっているという。

そのため測定には、およそ30分以上の時間がかかる上、さらに試薬の発する臭気を広めてしまわないように専用空調設備のある試験室が必要なのだとか。

それをこの「NOS-DX1000」では、本技術を活用し、測定のワークフローをDX化することで10分程度での測定を可能とするだけでなく、空調設備等の環境を気にすることなく手軽な運用を実現。

最近の医療学術研究では、アルツハイマー病や、レビー小体型認知症、パーキンソン病などの神経変性疾患の前駆症状のひとつとして、嗅覚能力の低下が複数報告されており、これら疾患の早期発見に向けて、嗅覚測定の有用性を検証する研究の進展が期待されている。

ソニーは、「NOS-DX1000」により嗅覚能力の測定プロセスを簡易化・高精度化し、学術研究分野における嗅覚測定の実施のハードルをさげ、鼻科・神経内科等の研究への貢献をめざすとしている。

さらに本機は、当初は研究用として提供するが薬事承認の申請も視野に入れているという。それにより、例えば健康診断での視力検査と同様に嗅覚測定の普及を狙いたいとのこと。

また将来的には、学術研究分野に限らず、研究開発、ユーザー嗜好性のマーケティング調査など様々な用途での活用も想定しているとのことだった。

なお、発表会に登壇した金沢医科大学 耳鼻咽喉科学 三輪高喜教授は、以下のようにコメントしている。

「コロナ感染症や好酸球性副鼻腔炎に伴う嗅覚障害など、耳鼻咽喉科分野での嗅覚測定の需要が高まる一方で、嗅覚測定を行える医療機関は限られています。本機では手間なく、においもれなく、場所や時間を気にせず嗅覚閾値の測定が行えます。測定者の測定手法のバラつきも少なく抑えられることが期待され、結果の比較がしやすく、被験者の負担も従来よりも軽減すると期待しています」

また、東海国立大学機構 名古屋大学 大学院医学系研究科 神経内科学 勝野雅央教授は、次のようにコメント。

「神経変性疾患(パーキンソン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症)において、嗅覚低下がリスク評価や早期診断に寄与しうることが数多く報告されています。神経変性疾患においては、手軽な評価手段が少ないため、嗅覚測定は患者や医療従事者に負担の少ないスクリーニング手法として期待は大きく、また今後、嗅覚低下と神経変性疾患の関係について研究が進むことで、これらの疾患の原因究明、治療判断、予防などに貢献する可能性にも大きく期待しています」

におい提示装置「NOS-DX1000」を体験

さて、ensor Valveテクノロジーとにおい提示装置「NOS-DX1000」がすごそうだということはわかったが、それではどのように運用していくのか非常に気になるため、実際に体験させてもらった。

まずは、測定者が専用アプリで香りを選択するのだが、ブロックの横軸のAからEまでの5種類の香りを縦軸の-2から5までの8段階の濃度で設定してにおいを提示。

その際、濃度調整をする機能があるわけではなく、濃度の異なるカートリッジと切り替えて放出するのだという。この操作をタブレット上で行なえるため、毎回の煩わしい準備や片付けが不要で手軽だ。

ノーズガードを取り外した状態

そして被験者は、灰色のノーズガードの穴の部分に鼻を差し込んでにおいをチェック。本体上部のLEDランプが白く点滅したあと、LEDが青く点灯したら香りを放出する。

ちなみにノーズガードは、被験者ごとに取り換える使い捨てとなっている。さらに素材には、余剰バイオマスである米の籾殻から生まれた天然由来の多孔質カーボン素材トリポーラスと、竹・さとうきび・市場回収リサイクルペーパーを原料にした紙素材オリジナルブレンドマテリアルを独自配合した無臭かつ環境に配慮したものが使われている。

その後、被験者が、自分で感じたにおいをタブレットに表示された選択肢の中から選ぶというもので、測定結果までも専用アプリで記録。

さらに、その結果をアプリケーション上で比較して表示・分析できる上、Wi-Fiや二次元コード、USBなどで測定データを転送できたり、Bluetoothプリンターを用いることで出力も可能なのだ。

今回、筆者も甘いものからクサイものまで3種類の香りを体験させてもらったが、立て続けに香りが放出されているにも関わらず、においが残らずすぐに切り替わるのには感心した。それにしても、「納豆、蒸れた靴下」の強烈なニオイには、思わず声を上げてしまうほどであったが。

さて、嗅覚といえば、先述のアルツハイマー病やレビー小体型認知症などだけでなく、コロナについてもその関係性が指摘されるなど、体や健康にとって重要な感覚。

今回のソニーの技術や製品がもっと一般化されていけば、病気などといった健康リスクもかなり軽減できるようになる可能性があるのではないだろうか。さらに、ネットショッピングやメタバースなど、遠隔で香りを確認したり楽しむといったエンターテインメントの分野でも活躍しそうだ。

関連情報:https://www.sony.co.jp/Products/OlfactiveTechnologies/

取材・文・撮影/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)


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