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正社員不足が深刻な業種TOP3、3位建設、2位情報サービス、1位は?

2022.10.11

企業の人手不足感が高まってきており、実際、人手不足が最も顕著となっていたコロナ禍前の水準に、既に近づきつつある。

コロナ禍3年目となり徐々に景況感が回復傾向にあるなかで、人手不足が企業の成長を阻害する要因となれば、国内経済にも影響を与える可能性もある。

実際に、人手不足が解消できず外注費の増加などを余儀なくされ最終的に倒産に追い込まれるケースも増加しており、今後もこうした企業経営への悪影響が懸念される。

そんな中、帝国データバンクはこのほど、「人手不足に対する企業の動向調査」を実施し、その結果を発表した。

調査期間は2022年7月15日~7月31日。調査対象は全国2万5,723社、有効回答企業数は1万1,503社(回答率44.7%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2022年7月の調査結果をもとに取りまとめている。

正社員の人手不足割合と人手不足業種

人手不足割合は47.7% 前年同月比7.0ポイント上昇、半数に迫る高水準

人手不足は、半数に迫る勢いで上昇している。2022年7月時点における従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員について「不足」していると企業は47.7%だった。前年同月から7.0ポイント上昇、2年前と比較すると17.3ポイントの大幅上昇となった。

コロナ禍前の人手不足割合に近い水準まで上昇しており、半数近い企業が人手不足感を抱えている結果となった。なお、人手が「適正」と感じている割合は42.5%、「過剰」は9.8%だった。

業種別では旅館・ホテルが66.7%でトップ、情報サービスや建設でも引き続き高水準

業種別においても、それぞれで人手不足の高まりがみられる。「旅館・ホテル」は66.7%となり、業種別でトップ。コロナ禍ながらも夏休みシーズンを迎えていたなかで、3社に2社が人手不足を感じていた。次いで、IT人材の不足が顕著に表れている「情報サービス」は64.9%で、依然として慢性的な人手不足が続いている。

「建設」も62.7%と高く、企業からは「工事の発注はあるが、人手不足で売上・利益ともに反映されていない」(高知県、機械器具設置工事)や、「人手不足のせいでなかなか利益につながらない」(土木工事、福島県)のような、人手不足が主な要因となって利益が圧迫されているという声が多くあがっている。

業種別で「旅館・ホテル」がトップとなったのは、過去最高だった2019年6月(73.1%)以来2年1カ月ぶり。当時は旺盛なインバウンド需要によって盛り上がりをみせていたものの、2020年に入ると新型コロナの感染が拡大し一転。

いわゆる「第1波」にあたる2020年4月には12.5%まで減少、「第3波」に見舞われた2021年1月には5.3%となり、人手不足割合は過去最低を記録した。以降は、徐々に「ウィズコロナ」が定着するなかで人手不足割合は上昇。新型コロナの感染状況によって左右されつつも、コロナ禍前のピークに迫る7割近い水準まで高まった。

非正社員の人手不足割合と人手不足業種

28.5%が人手不足 前年同月比6.0ポイント上昇で3割に迫る

非正社員について「不足」していると回答した企業は28.5%となった。正社員の傾向と同様に、前年同月から大幅に上昇した。また、人手が「適正」とした割合は63.2%、「過剰」は8.3%だった。
 
企業からは、「人材不足問題と燃料高騰などが発生し、それに応じた運賃の値上げは小規模・零細事業の運送会社では難しいのではないかと思われる」(事業協同組合、東京都)などの声があげられている。

業種別では「飲食店」がトップ 全業種で唯一の7割台、深刻な状況に

非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「飲食店」が73.0%で最も高い。全業種中で唯一の7割台となり、深刻な人手不足となっている。次いで、総合スーパーなどを含む「各種商品小売」(56.5%)や、「人材派遣・紹介」(55.4%)、「旅館・ホテル」(55.3%)なども高い。「教育サービス」(36.8%)は、コロナ禍1年目だった2020年7月から2年連続で減少している。

正社員が不足している企業の7割超が“賃上げ”を実施

正社員の人手が不足している企業における賃上げの動向についてみると、2022年度に「2%以上の賃上げを実施」した企業は41.7%となり、全体(36.9%)を4.8ポイント上回った。

また、「2%未満の賃上げを実施」は30.8%と3割を超え、合計すると人手不足企業のうち72.5%が2022年度に賃上げを行っていた。一方、「賃金を据え置き/引き下げ」は18.8%、「分からない」は8.8%で、いずれも全体を下回った。

企業からは、「円安で、国内回帰する企業が増えてきており、人手不足が懸念される。優秀な人材は新技術や新製品の研究開発業務に就くべき。能力を発揮して結果を出せば、賃上げなど問題なく大きく上げていける」(自動車部分品製造、三重県)などの声が聞かれた。

正社員が不足している企業のうち、3社に2社が「今後、賃上げを実施」するとも考えており、引き続き人手不足とともに賃上げに向けた動きが広がる可能性が示唆される。

今後の展望~ この状況が続けば苦境に陥る企業が増加か

正社員では旅館・ホテル業が2019年6月以来、コロナ禍以降で初めて業種別トップとなり、非正社員では飲食店で群を抜いた人手不足が浮き彫りとなるなど、従前から人手不足が慢性化している業種を中心に引き続き高水準となった。

今後もコロナ禍の状況や、景況感によってはさらに人手不足割合は上昇することも予想される。こうした状況が続けば、さらに苦境に陥る企業も増加しかねない。

帝国データバンク「全国企業倒産集計2022年7月報」によると、2022年1~7月の人手不足倒産は76件発生し、前年同期(59件)を17件上回り、2年ぶりに増加へ転じた。人手不足は自社のみならず、例えば取引先など周囲でも経営リスクとなっている可能性がある。企業にとって欠かせない資産である「ヒト」に関して、数・質ともにこれまで以上に重要視される項目となろう。

出典元:帝国データバンク

構成/こじへい

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