物価高のニュースをよく見るようになった。特に国内よりも、米国で深刻化しているという。投資にはどのような影響があるのか? マーケットのプロの話を聞くと、日本の超有名株の優位性が見えてきた。
三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト
市川雅浩さん
国内外の銀行で長年市場調査業務や為替トレーディング業務に従事した経験を持つ。現職では主に、日米欧や新興国などの経済や金融市場の分析、その情報発信を行なう。
深刻化する米国のインフレ抑制策が株価低迷の原因
米国で8月25~27日に行なわれた金融シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、米国の中央銀行FRB議長・パウエル氏は、深刻化するインフレの抑制策を続けると表明した。今年3月から始めた米国の政策金利の引き上げを続け、FRBが保有する金融資産を放出して市場からお金を回収するという策を打つ。
引き締め策が投資リスクの低い「債券」の金利を上げると、そこに投資マネーが集まって株価は伸び悩む傾向にある。特にGAFAのようなハイテク企業はその影響を受けやすく、下図のように、引き締めが、米国の景気後退(リセッション)を起こすと予測しているデータもある。米国株はこの先どうなってしまうのか。マーケットのプロはこう分析する。
「一般に、金融政策の効果が浸透するまでには、半年から1年ほどの時間を要するとされます。米国は3月に利上げを開始したので、早ければ今年9月以降、雇用や物価に影響が強く現われ失業率上昇とインフレピークアウトの傾向がより明確になると思います」(市川さん、以下同)
ピークアウト感が出れば、利上げが緩和され、株価の水準が戻っていくのがセオリーだ。
「米国経済について、景気後退は回避できても低空飛行は続くと予想しています。米国株も厳しい状況を織り込んでおり、しばらく不安定な動きが見込まれるでしょう」
ほかにも米国株にとってネガティブ要因がある。目先は日本株に目を向けるほうが、投資リスクが小さくできるかもしれない。
経済学者の7割が「米国景気後退」を予想
米国株投資に慎重になるべき理由
【1】円安・ドル高の継続
円安・ドル高は、日本円で米国株を買おうとした場合、高いコストがかかることを意味する。もちろんここからさらにドル高(円安)になる可能性もあるが、諸国の金融政策から見るに、今からドルを調達して米国株投資をするのはリスクが大きくて、リターンが小さいとみていいだろう。
【2】金融引き締め政策の継続
米国はインフレを抑制すべく金融引き締め政策を継続していく。米国債の金利が上昇していくので、個人が米国債に投資するという選択肢は当然出てくるだろう。一方で、米国株については金融引き締め策の終了や緩和が明確に表明されるまでは慎重になるべきだろう。
【3】債券金利の逆イールド発生
逆イールドとは、「米国国債で短期金利よりも長期金利のほうが小さくなってしまう状態」をいう。「米国では過去6回逆イールドが起きているのですが、発生から一定期間後、過去平均では1年半後にもれなく景気後退が起きていますので、要注意のサインといえます」(市川さん)
【4】インフレの長期化
ロシア・ウクライナ問題によるエネルギー価格の上昇や、コロナ禍脱却後に労働市場に人が戻ってきていないなど、企業の生産コストが上昇しているのが、インフレの中身である。インフレを退治するために金融引き締め策すら過剰になるかもしれず、そうなると米国株はさらに下向く恐れがある。
取材・文/久我吉史
※情報は取材時(8月末時点)のものです。
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