大企業でも認められ始めた社員の副業。目的は収入アップだが、経費を活用すれば大きな節約効果も期待できる。
※こちらの情報は取材時(8月末時点)のものです。
20万円以下の雑所得にすれば副業収入は非課税に
副業で得た所得は、一般的に雑所得か事業所得となる。雑所得と事業所得の違いは曖昧で、元国税庁専門官の金融ライター小林さんは、「たまにする小遣い稼ぎのような仕事を雑所得、安定的に一定の収益が得られる仕事が事業所得という捉え方で構いません」という。
ここでは、主に本業はサラリーマン、副業はアルバイト的な仕事=雑所得を前提として話を進めよう。
雑所得は、所得が年間20万円を超えると、確定申告をする必要があり、超えた金額に税金がかかる。本業の給与所得に雑所得が加算されると、金額によっては税率が上がり、税金が大きく増える可能性がある。これでは副業の意味が薄れてしまう。
副業による税金の加算を防ぐには、雑所得を20万円以下に抑えることが重要。そこで活用するのが必要経費だ。雑所得による収入が50万円あったとしても、経費を30万円計上すれば課税所得は20万円となり、確定申告をする必要がなくなる。
経費として通用する可能性があるものは下のとおり。スマホやパソコンを仕事で使えば回線代を通信費、自宅での作業があれば光熱費を事務所経費として計上可能だ。
【 ココに注意!】家賃の経費計上は慎重に判断を!
家賃10万円の30平方メートルの賃貸マンションを、自宅兼仕事場として経費計上するケースを考えてみよう。仮に6畳(約10平方メートル)の部屋を仕事場にしていれば、仕事用スペースは3分の1。玄関やキッチン、トイレといったスペースも必要と考えられるため、家賃の2分の1=5万円は経費の許容範囲といえる。
光熱費や通信費も同様の考え方で、5割程度は経費計上ができる。「必要経費の割合には明確なルールはありません。基本的には5~6割くらいなら問題になることはないでしょう」(小林さん)。
ただし、持ち家で必要経費を計上する時には注意が必要だ。光熱費などは問題ないが、住宅ローンの利子や固定資産税の一部を事業用として経費計上してしまうと、経費の割合に応じて住宅ローン控除の控除額が減ることになる。住宅ローンの返済額のうち、元本部分は経費の対象とはならないため、住宅ローン控除のメリットのほうが大きい場合がほとんどだ。また、持ち家の一部を事業用にしてしまうと、自宅を売却する時に使える特例が、使えなくなる可能性が出てくる。マイホームの経費計上はくれぐれも慎重に。
【 ココに注意!】副業収入が300万円以下は事業所得でなく雑所得に?
2022年8月1日、国税庁は、「副業の収入が300万円以下のものは原則雑所得とする」という改正案を提案した。これまで、副業の収入は雑所得なのか事業所得なのか、区分の基準が曖昧だったが、はっきりと金額の基準を示した格好だ。この背景には、最近の副業ブームに乗じて、副業を事業所得として赤字を出し、給与所得と損益通算をして給与所得を減らすという不当な節税手法が目立ってきたことがある。この改正が実現すれば、事業規模の小さい副業は雑所得に区分され、給与所得と損益通算はできなくなる。
これは事業規模が小さくとも、事業所得としてきちんと収益を出してきた副業を営んでいる人には、デメリットが大きい。例えば、雑所得に区分されると、青色申告ができなくなり、特別控除などのメリットが使えなくなってしまう。「税金の負担が増す人は少なくないはず」(小林さん)。国はサラリーマンに副業を促す政策を打ち出しているが、今回の国税庁の改正案は、その流れに水を差すものといえる。よりはっきりとしたのは、今後、サラリーマンも税金の知識を身につける重要性がますます高まったということだろう。
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取材・文/松岡賢治
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