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酒屋の3代目が造った名古屋のど真ん中にあるクラフトビール醸造所「Y.MARKET BREWING」

2022.10.09

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

クラフトビールの美味しさに感動した酒屋の3代目が立ち上げた醸造所

名古屋駅から徒歩7分ほど、名古屋の玄関口「名駅」にある「Y.MARKET BREWING」(以下、Y.MARKET)は、名古屋市内初のクラフトビールブルワリー。2014年1月に名古屋のど真ん中で開業したY.MARKETは、名古屋の台所でもあり、代表の山本康弘氏のふるさとでもある柳橋(Y)中央卸売市場(MARKET)が名前の由来だ。

Y.MARKETの母体は柳橋で約80年続く酒屋の「岡田屋」。岡田屋3代目で、「株式会社おかだや」代表取締役の山本氏が、酒屋として他社との差別化を模索していたときにクラフトビールに出合い、一口飲んで味わいに感動を覚えたことがきっかけとなり、当時はまだクラフトビールを扱う酒屋が少なかったこともあって、15年ほど前から取り扱いを始めた。

山本氏のクラフトビールに対する熱量は次第に増し、クラフトビールが飲める飲食店の経営にも着手、さらに「自分のところで造ったオリジナルビールを販売したい」と思いが芽生えた。

しかし、酒の販売は長けていても醸造に関しては未経験だったため、醸造技術を学ぶために長野県にあった「木曽路ビール(2018年閉鎖)」へ視察に赴いた。そのときに出会ったのが、現在ヘッドブルワーを務める加地真人氏だった。

「(山本代表が)設備について詳細に聞いてくるので、事情を聞くと『ビール造りを始めたい』と。話をしていくうちに新規立ち上げに関心が湧き、意気投合。当時、自分も新たな世界を見たいと考えていたこともあり、一緒に立ち上げをすることになりました。自分たちが、初めてクラフトビールを飲んだ時の驚きと感動を、もっと多くの方に感じてほしいという想いからビール造りをスタートしました」(加地氏)

Y.MARKETは名古屋のクラフトビールとして全国のビアパブでも取り扱われるようになり、クラフトビールファンの間で認知度が上昇。生産能力以上の要望が寄せられるようになったため、醸造開始から4年経った2018年に名古屋市西区に新工場を設立した。

新工場では品質の安定や技術の伝承のためにドイツ・ブラウコン社の最新醸造設備を導入。業務用樽生ビールに加えて、缶ビールの製造を開始した。現在は柳橋と西区の工場の2拠点で、それぞれの設備特徴を活かしたビールを醸造している。

「私たちが造るビールは、どんなビアスタイルでも、同じ銘柄を最後まで飲み続けられるぐらいドリンカビリティの高いもの、そして、ビールの楽しさ、遊び心を感じられるものです。だからこそ、作り手自身が楽しみながらビールに接することを大切にしたいと思っています。そこから生まれた、個性的で、自由で、奥深くて、驚くような感動もあって、ひたすら楽しい“クラフトビール”というカルチャーが当たり前の世界になることを目指しています」(加地氏)

「ライトなものからハイアルコールのフルボディまで、何杯飲んでも飲み飽きないのがY.MARKETのビール。クラシカルなスタイルから遊び心あるものまで幅広いスタイルのビールで、ビールの楽しさを感じていただきたいと思っています」(山本氏)

【AJの読み】美味しさに感動さえ覚えた「ルプリンネクター」でY.MARKETの虜に

Y.MARKETの醸造履歴リストに掲載されている銘柄は2022年10月現在で「384」。多彩なスタイルのバラエティ豊かな新作ビールが続々と登場し、かつては「Y.MARKETには定番商品がない」と言われるほどだった。

現在、定番シリーズとして位置づけられているのが「ヒステリック IPA」「イエロースカイペールエール」「パープルスカイペールエール」「ルプリンネクター」の4銘柄。Y.MARKETのビール未体験の人には、Y.MARKET定番ビール飲み比べセット「ワイマーケットフォー」で、ぜひその味を確かめて欲しい。

筆者が初めてY.MARKETのビールを飲んだのは阿佐ヶ谷のビアバー。「ルプリンネクター」のタップを飲んだのだが、ふんわりどころか、口に含んでもなお匂い零れるふくよかな香りと、ネクターの名の通りとろみのある白濁した液。フルーツのようだけど一体何の香りだろう?と思っていたが、生のホップを触れる機会があり、「ルプリン」とはホップに含まれる分泌腺でルプリンネクターはこの香りなのだと知った。

こんなに美味しいビールがあることに感動さえ覚え、以来、缶で購入するように。食事に合わせるとか、おつまみなどは必要なく、ひたすらビールだけを味わいたい、そんな存在になっている。

缶だけでは物足りず、樽生も飲みたいと思いが募り、名古屋は仕事で行く機会も度々あるため、名古屋に行った際は必ず、醸造所の2階にある「Y.MARKET BREWING KITCHEN」に立ち寄るようになった。ビールは直営店のみ取り扱いの樽生を含め最大10種類から選べる。

Y.MARKET創業当時から作られている原点ともいえる「ヒステリック IPA」は、まさに“ヒステリック”なほど5種類ものホップをふんだんに使っており、苦味を堪能しながらもフルーティーな香りと相まって、苦味の強いビールが苦手の筆者でもつい杯が進んでしまう。

「イエロースカイペールエール」は“ゆずのビール”で、柑橘系の爽やかさがあり肉料理のときに合わせることが多い。「パープルスカイペールエール」はシトラホップが香るライトミディアムなボディで、苦味も少なく軽やかに飲める(名古屋駅の髙島屋や矢場とんでパープルを購入し、新幹線内で飲むというパターンが多い)。迷ったら定番4種から銘柄を選んでみるのも良いかもしれない。

筆者は日本酒の好みの銘柄を見つけるために、機会があるごとに試飲を重ねる“長い旅”を続けているが(笑)、クラフトビールはY.MARKETが鉄板になった。これからもどのようなユニークなビールが生まれるのか楽しみが尽きない。

文/阿部純子

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