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徹底検証!ノイキャンの圧倒的な性能向上に驚いた新型「AirPods Pro」

2022.10.01

■連載/石野純也のガチレビュー

 第2世代のAirPods Proが、2022年9月23日に発売された。製品名称にProのつくAirPodsが登場するのは、2019年以来で3年ぶりのこと。スタンダードモデルで開放型(オープンエアー)のAirPodsとは異なり、Proモデルはイヤーチップを装着する密閉型になる。アクティブノイズキャンセリングに対応する点がProモデルならではの特徴だ。常時装着しておけるよう、周囲の環境音をマイクで取り込んで聞こえるようにする「外音取り込み」にも対応する。

 こうした特徴の数々は、第2世代のAirPods Proにも受け継がれている。一方で、デザインや外寸は、初代AirPods Proとほぼ同じように見える。ハウジングから、ステムと呼ばれる棒状の短いパーツが伸びるデザインや色、サイズ感に至るまで、初代と第2世代を見分けられる人はほとんどいないはずだ。では、第2世代ならではの強化点はどこにあるのか。発売に先立ち実機を試用することができたので、その違いをお伝えしていきたい。

9月23日に発売された第2世代のAirPods Pro

デザインは前モデルを踏襲、ケースにはある変化が

 まずはそのデザインからチェックしていこう。本体の外観は、2019年に発売されたAirPods Proとほぼ同じだ。“ほぼ”という言葉をつけていいのかどうかわからないほど、違いはない。初代AirPodsと並べると、どちらが初代でどちらが第2世代かがわからなくなる可能性もあるため、両方持っているユーザーは混ざらないようにしておいた方がいい。そんな差分だ。

外観は、2019年に発売された初代AirPods Proを踏襲している

 イヤーピースは、SMLの3種類にXSが加わったが、付け外しが簡単なのは同じ。引っ張るとスポッと抜けるが、逆にはめる時はカチッとくっつく。シリコンのイヤーピースをかぶせるようにはめる他の製品とは大きく違うところで、細部に渡って快適かつ簡易的に使えるよう、配慮されていることがうかがえる。とは言え、この特徴も初代AirPods Pro譲り。第2世代ならではの設計というわけではない。

イヤーピースの付け外しが簡単なのも、AirPods Proの利点だ。この点も、前モデルから変わっていない

 唯一、外観でしっかり区別がつけられそうなのが、充電器を兼ねたケースだろう。こちらは、サイドにストラップホールが搭載され、ストラップを装着できるようになったのが、初代AirPods Proからの変化だ。アクセサリーとしては小型で、バッグの中からポロっと転がり出てしまう心配もあるが、ストラップがあれば、様々な場所に固定できる。バッグにつけておいてもいいし、ベルトに装着してポケットに入れておいてもいい。紛失しづらくなったのは、評価できるポイントだ。

ストラップホールを採用し、バッグやベルトにくくりつけておけるようになった

 もう1つ、ケースには初代AirPods Proとの違いがある。それが、スピーカーだ。底面にはスピーカーの穴が開けられており、ここで初代と第2世代の見分けがつく。スピーカーがあることで、iPhoneの「探す」アプリから音を鳴らせるようになった。これなら、どこにしまったかわからないようなシチュエーションでも探しやすい。音の大きさは、AirTagより少し大きい程度。甲高いサウンドが鳴るのは、発見しやすくするためだろう。見失ってしまいがちなアイテムゆえに、ありがたいアップデートだ。

底面にはスピーカーを搭載。「探す」アプリから音を鳴らすことができる

 スピーカーが搭載されたことで、ほかの場面でもサウンドが鳴るようになった。便利だと感じたのは、充電時。初代AirPods Proは、充電を開始してもLEDが点灯するだけで、サイズも小さかったのできちんと充電されているのかがわかりづらかった。ワイヤレス充電をする際には、なおさらそう感じた。置く場所がズレて、充電できていないことがあったからだ。これに対し、第2世代のケースは、充電が始まると「ピン」という音がなる。ちょっとした工夫ではあるが、使い勝手の向上につながっている印象を受けた。

大きく向上したノイズキャンセリング性能、先代との違いは歴然

 ただし、同じなのは外観だけ。使ってみると、3年間でAirPods Proが大きく進化したことがすぐにわかる。もっとも体感しやすいのは、アクティブノイズキャンセリングの効き具合だろう。オフィシャルには2倍の性能向上とうたわれているが、やや基準がわかりづらい。そこで、様々なシチュエーションでノイズキャンセリングを切り替えながら、効果を試してみた。第2世代のAirPods Proは、Apple Watchの騒音アプリで騒音がどの程度変わるのかを計測できる。これを使ってチェックした。

 まずはPCのファンやエアコンの送風音が鳴る室内だが、騒音はほとんどなくなる。ノイズキャンセリングをオンにした時の印象は、あたかも周囲を密閉された部屋のよう。シーンと静まりかえるため、逆にそわそわしてしまい、かえって目の前の作業に集中ができなくなってしまうほど。適度な雑音があった方がいいように感じた。この状態で聞く音楽は、外音が入ってこないこともあって、非常にクリアだ。

PCやエアコンのファンの音は、かき消してしまう。ノイズの低減ぶりも顕著だ

 次に、街中。こちらはさすがにすべてのノイズを消し切れるわけではないが、オンにしていると車や人のざわめきなどの大部分が非常に小さくなる。これで音楽を再生してしまうと、周囲の音はほとんど聞こえなくなってしまうため、歩きながらの場合、ノイズキャンセリングはオフにしたい。初代AirPods Proも、かなり騒音を消すことができた一方で、ざわざわしているのがわかる小さな音はそれなりに耳に入ってきた。こうした場所では、効果が高くなったことがすぐに感じ取れる。

渋谷のスクランブル交差点でも、ノイズキャンセリングの効き具合を試した

71db前後あった騒音は、ノイズキャンセリングをオンにすると43db程度まで下がった。まったく音が聞こえないわけではないが、音楽をつけると耳ではほぼ周囲の様子がわからなくなる

 電車に乗りながらだと、さすがにノイズは残り、走行中なのがわかる。ただ、これも初代AirPods Proと比べると、効果は大きい。例えるなら、ガソリンで走る自動車が電気自動車になったかのよう。音は聞こえる一方で、非常に静かだ。車内アナウンスも聞こえるが、少し集中しないと、何を言っているのかがわかりづらい時もあった。音楽をかけていると、まったく聞き取れないレベルまで周囲の騒音は小さくなる。

電車の走行音も、かなり小さくなる。さすがにすべて消すのは難しいが、快適度は格段に上がる

 逆に、外音取り込みは非常に自然だ。AirPods Proは、耳にふたをしてしまう構造上、ノイズキャンセリングをしない時は、常に外部からマイクで音を取り込んでいる。耳に直接外部の音を入れるのではなく、あくまでAirPods Pro経由ということだ。この部分の処理が遅れてしまうと、大きな違和感が起こる。人の声が、口の動きとわずかにズレているシーンを想像していただければ、理解しやすいだろう。AirPods Proの外音取り込みには、そうした違和感がまったくない。

 これは、ごく当たり前のように聞こえるかもしれないが、実は処理能力の高さが必要なこと。第2世代のAirPods Proに搭載された「H2チップ」が、なせる技だ。この処理能力を生かし、同モデルは「適応型環境音除去」にも対応する。オンにした状態だと、工事のような大きな騒音が自動的に小さくなる。適用環境音除去は100dbや110dbといった大音量の場所で、自動的に85db程度までノイズを下げることが可能。ここまで大音量の場面に出くわすことは少ないかもしれないが、人の声などは聞きやすくなる。

適応型環境音除去に対応。この機能は標準でオンになっている

音量操作に対応して使い勝手がアップ、完成度はさらに高まった

 わずかな違いだが、操作性も向上している。最大の違いは、音量調整に対応したことだ。AirPodsは、スタンダードモデルはもちろん、Proも含め、これまではタッチ操作で音量の上げ下げができなかった。「ヘイ、Siri」と呼びかけて音声で操作することは可能だが(これは、第2世代のAirPods Proも同様)、街中や電車の中などでいきなりしゃべり出すのはかなり勇気がいる。iPhoneを取り出せば済む話ではあるが、カバンの中に入れっぱなしにしているような場合、AirPods単体で操作したくなるのが自然だ。

ステムのくぼみを上下にスワイプすると、ボリュームを調整できる

 次善策として、Apple Watchでも音量調整はできた一方で、すべてのユーザーがiPhone、AirPods、Apple Watchの“三点セット”をそろえているとは限らない。その意味で、AirPodsだけで音量の操作ができるようになったのは、大きな進化だ。操作は、ステム上の凹みを上下にスワイプするだけ。これだけ聞くと、軽く触れた際に誤操作してしまうことを心配する人もいそうだが、実際に使っている限り、意図せず音量が上がったり下がったりすることはなかった。

 これは、機械学習でユーザーが本当にスワイプしようとしているかどうかを、判定しているからだという。機械学習を使った各種機能は、iPhoneやApple Watchに当たり前のように採用されているが、操作の正確性を担保するために活用した点が興味深い。こうしたことが可能になったのも、先に挙げたH2チップを搭載したメリットと言えるだろう。わずかな機能の差分だが、利用頻度が高い操作なだけに、少しずつ溜まるストレスは大きい。その意味では、第2世代AriPods Proにとって、重要な機能の1つと言えそうだ。

 ステム部分の凹みには、感圧式のセンサーが内蔵されており、1回クリックすると音楽を再生可能。停止も1回クリックだ。ダブルクリックで曲送り、トリプルクリックで前の楽曲に戻れる。また、長押しするとノイズキャンセリングと外音取り込みモードを切り替えることが可能。初期設定では、左右両方とも長押しにノイズキャンセリングが割り当てられているが、片方だけSiriに設定し直してもいいだろう。

長押し時の各種操作の割り当ては、iPhone側で設定を変更することが可能だ

 AirPods Proは、常時装着しておくとiPhoneに届いた通知を読み上げてくれて非常に便利。メッセージの場合、中身もある程度自然な音声になる。外音取り込みモードの自然さが向上したため、常時装着しやすくなった。つけっぱなしにしておけば、iPhoneやApple Watchの画面に目を落とすことも少なくなるはずだ。ただし、密閉型のため、長時間つけすぎていると耳が痛くなってしまう人もいるだろう。筆者もそうで、イヤーピースのサイズを変更しても大きくは改善されなかった。こうした点は、遮音性とのトレードオフなのかもしれない。

 デザイン的には大きく変わっていない第2世代のAirPods Proだが、ここまで見てきたように、中身は一新している。バッテリーの持ちもよくなった。初めてAirPods Proを使うユーザーはもちろん、初代AirPods Proから買い替えるユーザーも満足できそうだ。Proゆえに3万9800円と少々値は張るが、長く使うことを考えればお勧めできる1台と言えるだろう。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★★
装着感       ★★★★
UI         ★★★★★
ノイキャン性能   ★★★★★
音楽性能      ★★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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