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EV市場はテスラとアップルの2強体制になるのか?

2022.09.29

テスラvsアップル〜電気自動車の覇権は米国ハイテク企業がリードする〜

年初から現在まで米国経済を苦しめている最重要課題がインフレ問題ですが、このインフレを抑制することを目的に、米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度)は現在も利上げ政策を継続しています。

これは米国の景気対策よりも「インフレ退治」を優先することを意味しており、少なくとも利上げが続く間は米国マーケットは厳しい展開が続くことが予想されます。

実際、米国株式市場は全てのセクターが下落を続けていますが、そのなかでも踏みとどまっている代表格がテスラ(TSLA)とアップル(AAPL)の2銘柄です。

これは米国のハイテク企業のなかでもリスクヘッジ先として人気が集まっていることが主な理由として考えられます。

そこで今回は今後の成長分野である電気自動車(以下、EV)を軸に、テスラとアップルについて解説していきます。

テスラの最大の強みとは

テスラ最大の強みは今後の成長性と独自半導体「D1チップ」の2つがあります。

まずEVの今後の成長性ですが、2030年にはガソリン車を上回るシェア51%になるとも言われており、実際、世界で最もEV市場が発展している米カリフォルニア州では州内で販売される全ての新車は2035年までにEVかプラグインハイブリッド車に義務付けることが定められています。

つまり2022年現在は世界各国がEVへとシフトする過渡期であり、そのEV市場を牽引しているのがテスラです。つまりテスラの販売台数の伸びはまだ序章に過ぎず、当然、EV市場が大きくなることで自然と売上高も伸びていくため、株価もさらに上昇することが予想されます。

またテスラは従来の自動車メーカーではなく「走るソフトウェア」と形容されるように、テスラオリジナルの半導体「D1チップ」が世界的な半導体不足の影響を受けていないことから、他の自動車メーカーの追随を許さないほど技術的にもリードしています。

こうした理由からテスラはリスクヘッジ先として、また長期投資という視点からも投資家の人気を集めているのです。

アップルCarPlayの可能性

アップルユーザーであってもその可能性にあまり気付いていないのが、アップルが提供する「CarPlay」の将来性です。そもそも現在のCarPlayは車とiPhoneを繋いでカーナビや音楽を聴くなど限定的なサービスに過ぎませんでした。

ところが今後は車内のUI(ユーザーインターフェース)を全てCarPlayによってコントロールが出来るようになります。具体的には室内温度やスピードメーターなど、従来の自動車メーカーは各部品毎に様々な下請け企業に発注していましたが、それらのサービスを一括してCarPlayが担うという画期的なサービスです。

日本の自動車メーカーでは日産やホンダがCarPlayの搭載を決めており、テスラのようなソフトウェアエンジニアの文化がない自動車メーカーにとって、アップルのサービス提供は願ってもない機会でもあります。

これにより将来のEV市場はテスラVSアップルの2強体制になるかもしれません。これはスマホ市場にのけるiPhoneVSアンドロイドと同じような構図がEV市場でも起こることが予想され、世界一の時価総額を誇るアップルは未だ成長の途中であり、盤石な経営体制と将来性からリスクヘッジ先として投資家の人気を集めています。

米国テック企業とEVの関わり

実はアップル以外にも米国のビックテック企業とEVの関わりはとても深いため、いくつかその事例を紹介します。

まずアマゾンですがEVスタートアップ企業であるリヴィアンと配達用のEVトラックの共同開発を進めており、今年の7月から実際に運用を開始しています。今のところ2022年末に数千台、2030年までに全米で10万台のEVトラックの導入が見込まれています。

次にグーグルの親会社アルファベットは傘下に「Waymo」という自動運転タクシーの開発を進めており、実際2021年8月にはサンフランシスコで自動運転タクシーサービスを開始しています。またサンフランシスコの市民は「Waymo One」というアプリを使用することで、このサービスを利用できるといいます。

このように従来の自動車メーカーとは異なるハイテク企業が参入するEV市場は、ソフトウェアのアップロードによって様々な最新サービスをユーザーに提供できる未来がそこまで迫っているといえるでしょう。

日本企業とEVの関わり

日本の自動車メーカーがEV市場への参入が遅れた理由は大きく2つあります。

1つ目はテスラの実力を過信したこと。2つ目は水素自動車の未来が来ると誤った予測をしていたこと。この2つが主な理由です。

特にトヨタは以前テスラとEVの共同開発を進めていましたが、EVは時期尚早であると判断したトヨタ側は提携を解消しています。仮に提携が進み、トヨタがテスラを買収していたとしたら、現在のEV市場におけるトヨタの立ち位置は随分と違うものになっていたかもしれません。

また日本の自動車メーカーはハイブリッドエンジンの技術を転用できる水素自動車の未来がやってくることを想定して動いていましたが、テスラの成功によって世界の流れが一気にEVへと潮流が動いたこともEV市場への参入が出遅れている要因です。いわば日本車包囲網とも考えられる世界の動きに対して、日本は政治的な駆け引きが適切であったかどうかは大きな疑問が残るでしょう。

いずれにせよ世界のEV市場から周回遅れとなった日本の自動車産業が衰退するとすれば、日本経済にとって更なる弱体化へと繋がるため、ここから巻き返しができるかどうかも大きなポイントです。

実際、2022年3月にソニーとホンダがモビリティ事業を行う新会社「ソニー・ホンダモビリティ株式会社」を設立しており、若手の人材を登用することで新たなEVの開発が期待されています。

このように日本企業の中でも異業種企業が両者の強みを活かして共同開発する動きが活発になることで、日本発のEVメーカーが世界的な競争力を持つ企業へと成長することが期待されます。

おわりに

今回はEV産業で2強体制となる可能性が高いテスラとアップルについて考察していきました。両社ともに驚かされるのは、グローバル企業でありながら今後の成長の余白が大きいことです。

つまり現状でも成熟した企業でありながらスタートアップ企業のようにアップサイドが大きいため、両社を凌ぐ企業は当面の間、出現しないのではないでしょうか。

今回はEVを軸にテスラとアップル、その他の米国企業や日本企業について解説させて頂きました。

文/鈴木林太郎

金融ライター/個人投資家。現代アートと工芸作品の収集を通じて「経済とアート」の関係を考えることがライフワーク。投資は米国株がメインなので、米国経済や米国企業の最新情報を届けている。現在は「マネー現代」などのメディアを中心に活動中。

編集/inox.

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