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なぜマンションを売買する時に手付金を支払う必要があるのか?

2022.09.26

マンションを売買する際には、買主から売主へ手付金が支払われるのが一般的です。

手付金は単なる「頭金」ではなく、売買の当事者双方による「手付解除」が認められる点に大きな意味があります。

今回は、マンション売買の手付金が持つ役割や法的な効果、手付金に関するよくある疑問への回答などをまとめました。

1. マンション売買の「手付金」とは?

マンション売買において、買主から売主に交付される手付金には、単なる「前金」以上の役割があります。

具体的な手付金額は、売主・買主間の交渉によって決まるため、ケースバイケースです。

1-1. 手付金の3つの役割

手付金には、以下の3つの役割があります。

①証約手付

売買契約が締結されたことを証する手付です。

すべての手付金には、証約手付としての役割があります。

②解約手付

買主であれば放棄、売主であれば倍額の提供により、売買契約を解除できる手付です(民法557条1項)。

③違約手付

債務不履行の発生時に、損害賠償として没収される手付です。手付金が違約手付に該当するのは、当事者が特に合意した場合に限られます。

3つのうち、最も重要なのは「解約手付」としての役割です。解約手付の具体的な効果については、後述します。

1-2. マンション売買の手付金の金額相場

マンション売買における手付金額は、売買価格の5%程度とするのが標準的です。

ただし、実際の手付金額は、売主・買主間の交渉によって決まります。買主側に頭金を準備する資力がないものの、売主がぜひ売りたいと考えれば、手付金額が売買価格の1~2%程度に抑えられるケースもあります。

2. マンション売買の「手付解除」が認められる条件

手付金が解約手付に当たる場合、買主は手付金を放棄して、売主はその倍額を現実に提供して、それぞれ売買契約を解除できます(民法557条1項)。

その際、相手方に対する損害賠償が不要となる点が、解約手付の重要な効果です(民法557条2項、545条4項)。

売買契約において別段の合意がなければ、手付金は解約手付に該当し、手付解除が認められます。実際には、手付解除権を一切認めないとする売買契約はあまり見かけませんが、手付解除の期限が設けられているケースが多いです。

ただし、マンションの売主が宅地建物取引業者(宅建業者)の場合、買主の手付解除権の一部または全部を排除することはできません(宅地建物取引業法39条3項)。

したがってこの場合、買主の手付解除権を一切認めない規定や、手付解除の期限を設ける規定などは無効となります。

なお手付解除は、相手方が契約の履行に着手して以降は認められません(民法557条1項但し書き)。

<履行の着手の例>

①売主による履行の着手

・マンションの引渡しおよび所有権移転登記の準備と、買主に対する通知
・マンションの引渡しに先立つ所有権移転登記
など

②買主による履行の着手

・売買代金を準備した状態での、売主に対する履行の催告
・引っ越し業者との契約
・新居でしか使えない大型家具の購入
など

3. マンション売買の手付金に関するよくある疑問

マンション売買の手付金に関して、法律上・契約上の取扱いを正確に理解している方は、意外に少ないかもしれません。売買当事者の方が抱きやすいよくある疑問点と、その回答をまとめました。

3-1. 手付金は使ってしまってよいのか?

売主は、買主から交付された手付金を使ってしまっても構いません。

手付金は「預かっている」わけではなく、すでに買主から売主へ「支払われた」ものです。支払われた時点以降、手付金の所有権は売主にありますので、売主の判断で自由に使うことができます。

ただし、売主が手付解除をする場合は、買主に対して、手付金の倍額を現実に提供する必要がある点にご注意ください。

3-2. 手付解除と「ローン特約解除」の違いは?

買主が住宅ローンを組んでマンションを購入する場合、手付解除とは別に、買主による「ローン特約解除」が認められるケースが多いです。

ローン特約とは、住宅ローンの審査に落ちた場合に、買主が無条件で売買契約を解除することを認める特約です。

住宅ローンを組めないのに、買主に売買代金の支払いを義務付けることは酷であるため、不動産仲介業者を通じたローン前提の売買契約では、ほぼ100%規定されています。

手付解除とローン特約解除の違いは、手付金の放棄を要するかどうかの点にあります。

手付解除の場合は、手付金を放棄しなければなりません。

これに対してローン特約解除の場合は、手付金の放棄は不要です。この場合、売主は買主に対して手付金を返還する義務を負います。

3-3. 相手方に売買契約を手付解除された場合、仲介手数料は発生するのか?

不動産仲介業者を通じてマンションの売買契約を締結した場合、仲介手数料の支払いが発生します。

不動産仲介業者に対して支払う仲介手数料は、相手方に売買契約を手付解除されたとしても発生する場合があります。

手付解除時の仲介手数料については、媒介契約の内容によりますが、正規料金の半額~全額が生じることになっているケースが多いのでご注意ください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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