22年1月にスタートした三谷幸喜さん脚本・小栗旬さん主演のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。現在、佳境を迎えつつある本作において、特に視聴者の熱視線を浴びたシーンはどの場面なのだろうか?
家庭に人体認識技術を搭載した機器を設置し、テレビスクリーンの「視られている量」を測る企業・TVISION INSIGHTSでは、『鎌倉殿の13人』を毎放送回、視聴者がどのシーンに注目したのかについて分析している。
今回、8月21日に放送された第32回「災いの種」が、視聴者にどのように見られていたのかについて、テレビの視聴者の様子を1分毎の「TVISION推定視聴率」と、「テレビの前にいる人のうち、テレビ画面に視線を向けていた人の割合=注目度」のグラフから紐解いていく。
『鎌倉殿の13人』毎分の注視データで見る、視聴者が注目したシーンとは?
第32回は、頼家(金子大地さん)の病状が回復し、北条が比企能員(佐藤二朗さん)を討ち取ったことを知った頼家が激怒し、北条への恨みを膨らませるという回だった。
奇跡的に息を吹き返した頼家。しかし後鳥羽上皇(尾上松也さん)のもとには頼家危篤の報が届き、後鳥羽は考えを巡らせる。鎌倉では、政子(小池栄子さん)のもとに義時(小栗旬さん)、泰時(坂口健太郎さん)らが集まり、新たな体制について話し合っていた。
そんな中、一人で思いにふける比奈(堀田真由さん)。一方、先を見据えるりく(宮沢りえさん)は時政(坂東彌十郎さん)に京との関係をより深めるように説き、愛息・政範(中川翼さん)も胸を高鳴らせる。そして、三浦義村(山本耕史さん)は……というストーリーだった。
SNS上では実衣(宮澤エマさん)の言動に注目が集まった。比奈に対して放った「あの人には比企の血が」というセリフにネットは震えたようだ。また善児(梶原善さん)が一幡(相澤壮太さん)に対して見せた思いやりに対しても「トウ(山本千尋さん)を育てるうちに芽生えた情か」、「善児が人間になった」などの声が多数寄せられた。
最も注目されたのは、20時33分で、注目度は80.1%だった。義時がブランコに乗る一幡を殺すために近づくと、それを察したトウが一幡を連れ出す。これまで多くの人を斬ってきた善児が一幡への情から涙を流す。
しかし、義時の命令には従うほかなく、一幡が乗っていたブランコの紐を、感情を押し殺して切り、去って行った。今まで暗殺を担当してきた善児が初めて見せた他人への情と、変わってしまった義時の冷酷な態度に注目が集まったものと考えられる。SNSでも話題になったシーンだった。
2番目に注目されたのは、20時41から42分で、注目度は79.4%だった。庭で遊んでいる善哉(長尾翼さん)に生死が不明だった比企尼(草笛光子さん)が声をかけるシーンだった。比企尼は、「北条を許してはならない」と繰り返し、善哉こそが次の鎌倉殿になるべきだと語りかける。
困惑の善哉の顔がアップで映し出され、そこにつつじ(北香那さん)が来て善哉を抱きしめる。その後、次回予告まで注目された。比企尼の不気味な演技と、今後の伏線と思われる内容に注目が集まったものと考えられる。
注目度が一番低かったシーンは冒頭の20時02分から03分にかけてで、62.4%だった。政子の元に北条一族と大江広元(栗原英雄さん)が集まって、今後について話をしているシーンだった。頼家が息を吹き返す前の状態に戻そうと、義時が提案し、オープニングが始まる。その後、ナレーションが始まる前まで注目度が低迷した。
構成/こじへい