ドコモ、AGC、NTT Comは、トヨタと共同で、建物の窓ガラスに設置したカメラで撮影した車や自転車、人などの移動する物体の映像を5G通信で伝送し、仮想空間のマップ上に表示する国内初の(※1)実証実験を2022年7月7日から実施し、9月8日に成功したことを確認した。
新しい情報インフラを構築、便利で安心に暮らせる街の実現をめざす実証実験
近年、現実の道路情報を仮想マップ上に再現し、安全運転を支援することなどに活用されているが、課題の一つは、移動体をリアルタイムにマップ上に表示すること。
本実験は建物などのインフラからこれらの位置情報をリアルタイムかつ正確に把握しデバイス上で可視化することで課題の解決をめざすものだ。
具体的には、建物の窓ガラスにカメラと5Gガラスアンテナ(※2)を設置し、撮影した映像を5G通信(※3)を介してクラウド サーバ上に送信する。
その後、AI動画解析技術を活用して移動体を判断し、それぞれの位置を高精度に把握し、 仮想マップ上に表示するものだ。
本実験では、AGCのガラスアンテナ「WAVEATTOCH」とドコモの5G通信および「docomo MECTM(※4)」を活用し、リアルタイム(※5)に仮想マップ上に表示し、利用者への送信を実現した。
利用者は、走行している車中などにおいてさまざまな視点で仮想マップの確認ができ、広範囲な危険情報を事前に予見できる。
さらに、GPSが届かないエリアにおける位置情報の正確な把握などができ、AIで処理された画像を可視化することで運転する際の支援情報をインフラとしてサポートも可能。また5Gガラスアンテナの活用により、カメラなどの設置場所の制約を低減することができる。
ドコモ、AGC、NTT Comは、トヨタと共同して今後も各社の強みを活かし、現実空間とメタバースを融合し、相互に情報を補完することで社会課題の解決に向けて取り組んでいくとのこと。
※1 AGC調べ。
※2 AGCが提供。ドコモとAGCが共同開発したガラスアンテナ「WAVEATTOCH」を使用。ガラスアンテナWAVEATTOCHは、建物の窓(室内側)に貼り付けることで、街の景観や建物の外観を損ねることなく、屋外をサービスエリア化することができる世界初の「窓を基地局化するアンテナ」。
※3 本実験では、5G Sub6 帯に加え、より高速・大容量なデータ送信を可能とする、5G 28GHz帯でも実証を行った。ガラスアンテナWAVEATTOCH®は、すでにLTEおよび5G Sub6 帯に対応しており、現在5G 28GHz帯に対応した製品開発を検討している。
※4 ドコモ網内の設備にクラウドコンピューティング設備を構築することで、5G時代に求められる低遅延・高セキュリティ通信を実現するMEC(Multi-access Edge Computing)を活用したソリューションが利用できるクラウドサービス。
※5 トヨタの東富士研究所内実験場に構築した試験環境下で遅延約0.3 秒を実現(各種条件により遅延時間は変動するため、ネットワークの伝送遅延が必ず一定以下になるといった保証をするものではない)
* 「docomo MEC」は株式会社NTTドコモの商標。
* 「WAVEATTOCH」はAGC株式会社の登録商標。
関連情報:https://www.docomo.ne.jp/
構成/Ara