部下と家族を奪われたネイビーシールズの復讐譚を描いたAmazon Originalのアクションスリラー「ターミナル・リスト」
2022.09.24シリアでの特殊作戦中に何者かに陥れられて妻子までも殺害されたネイビーシールズのベテラン軍人が、部下と家族の仇を討つため巨悪に立ち向かう!
2022年7月1日よりPrime Videoで独占配信中のAmazon Original『ターミナル・リスト』は、アメリカで製作されたアクション・スリラー。
同じくPrime Videoで独占配信中『ジャック・ライアン』シリーズの脚本を手掛けるカールトン・キューズとグラハム・ローランド原案、ジャック・カーの同名小説(ハヤカワ文庫)原作。
主演は映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ、『ジュラシック・ワールド』シリーズなどのクリス・プラット。
現在シーズン1(全8話)が配信中。
あらすじ
アメリカ海軍特殊部隊(ネイビーシールズ)のチーム7を率いるジェームズ・リース少佐(クリス・プラット)は、化学兵器を開発するシリアの科学者カハニ確保のための特殊作戦“オーディンの剣”を進めていた。
しかし何者かの陰謀により作戦は失敗に終わり、隊員のほとんどが殉職。
帰国後、特殊作戦失敗の責任を追及されるリース少佐だが、通信記録と自身の記憶が一致せず混乱する。
チーム7唯一の生き残りであり共に帰国した隊員のブーザーは、しばらくして不審な自死を遂げる。
通信記録改ざんの可能性を指摘するが、任務中に脳しんとうを起こしたリース少佐の記憶違いとして、上層部からは一蹴されてしまう。
頭痛とめまいに悩まされていたリース少佐は病院でMRI検査を受けるが、その最中に暗殺未遂に遭う。
間一髪で撃退したリース少佐は、その直後に自宅で妻と娘が殺害されているのを発見する。
見どころ
自分自身の記憶を100%信用しきれなくなるほど、国のために肉体も精神も酷使。
作戦失敗の経緯や部下の不審な自死、そして通信記録の信憑性に疑問を抱きながらも、「任務の影響で体(脳)に異変があるようだから病院に電話しないと」と疲れきった表情で語るリース少佐。
そんなリース少佐を、涙目で優しく抱き締める妻。
なんとも哀愁ただよう遣る瀬ないシーンだが、その後に妻と娘は殺害されてしまうのだから、リース少佐はもちろんタブレットで本作を視聴していた筆者も怒り大爆発。
いったいリース少佐をどれだけ痛めつけたら気が済むんだ!
米軍を題材とする映画やドラマには、わりと本作のようなストーリー(優秀な軍人が国に見捨てられ部下も家族も奪われる)が昔から多いのだが、それでも視聴者を飽きさせない。
リース少佐から部下と家族を奪った黒幕の正体はエピソードが進むにつれて明らかになっていくが、序盤ではまったく予想できなかった意外な展開だった。
ちなみにタイトルの『ターミナル・リスト』とは、愛娘が生前描いた家族の絵の裏にリース少佐がターゲットの名前を書いた“復讐リスト”のことを意味している(泣ける)。
この説明だけで、“国に裏切られ見捨てられた軍人”の悲哀が、十分に伝わるのではないかと思う。
ここで筆者が胸を打たれたリース少佐のセリフを一つ紹介しよう。
「この世には悪魔がいて、大抵の人間はその悪魔と対峙する勇気がない。それをやるのが俺たちの仕事だ。お前らは税金を払って邪魔をしなければそれでいい」
国のために現実を引き受けてくれているのが、リース少佐や、その部下・家族のような人々だ。
彼らに感謝して敬意を払うどころか利用して捨て駒扱いしようとする人間に対して、本作では怒りの鉄槌が下される。
本作が気に入った方は、同じくAmazon Original『ウィズアウト・リモース』もオススメ。
『ジャック・ライアン』シリーズのスピンオフ作品で、トム・クランシー原作。
こちらも手に汗握る復讐劇となっている。
Amazon Original 『ターミナル・リスト』
Prime Videoで独占配信中
(c)Amazon Studios
文/吉野潤子